【完結】わがまま婚約者を断捨離したいと思います〜馬鹿な子ほど可愛いとは申しますが、我慢の限界です!〜

As-me.com

文字の大きさ
23 / 25

23。番外編 オスカー

しおりを挟む
 今では信じられないが、オスカーは生まれたときは弱々しい子供だった。

 え、絶対嘘だって?いや、マジで。

 三兄弟の可愛い末っ子。上のふたりとは違い特に特化した才能も見られない。次期国王は幼少期から多方面で才能を発揮した長男アレクシスで決定であるし、次男も優秀であることが証明され未来の国王の補佐役として決定されていた。つまりなんの才能も見られない末っ子は政略結婚の駒にしか使えないとすぐさま判断されていた。

 ただ、次男は髪や瞳が王家特有の色ではないからと一部の家臣から蔑まれていた為に王家の色を持った長男と三男……特に愛嬌のある三男が周りからは可愛がられていた。ちなみに国王は単純に「末っ子ラブ」な親馬鹿だった。国王本人は差別無く接していたつもりのようだったが、上のふたりがしっかりしすぎていた為に駄目な子であるオスカーをつい溺愛してしまっていたのだ。そう、駄目な子ほど可愛いものなのである。

 そんなひたすら甘やかされていただけのオスカーだったが、セレーネと出会ったことにより運命が一変した。本人は気にしていなかったが、端から見たらそれは凄まじかったのだ。


 それこそが、セレーネによるオスカー強化ブートキャンプなのである。


 セレーネはそんなつもりは全くなかったし、オスカー自身も全くわかっていなかった。……そう、とあるあの日からなんとなく始まったあの特訓は実は凄まじいものだったのだ

 例えば“小枝を投げてそれを追いかける走り込みの特訓”も、最初はセレーネが投げた小枝をオスカーが拾いに行くという和やかなものだった。

 だが、途中からは小枝を咥えたルドルフが超高速でそれをぶん投げて果てしなく遠くへ投げられた小枝を追いかけるオスカーの後ろからルドルフがオスカーを追い越し……オスカーにしかわからないようにドヤ顔で先に小枝をゲットしていた。そして対抗心を燃やしたオスカーがルドルフを追い越そうと奮闘する……の繰り返しでいつの間にかオスカーは強靭的な走り込み能力を開花させていた。

 その他、木登りや発声練習などのなんやかんやも途中から全てルドルフに負けないように対抗していた結果今のようになってしまったのだが、都合のよい事しか覚えないオスカーの脳みそはその記憶をセレーネとの楽しい戯れに書き換えていた。ある意味幸せなのかもしれない。

 ちなみにセレーネはこの時、オスカーが犬好きでルドルフと好んで戯れていたと思っている。ついでに言えばルドルフの身体能力をそれが普通の犬のものだと思っているのでオスカーが同じ動きをしていても特別だと思うことはなかったのだ。


 つまり、オスカーがセレーネにちょうきょ……仕込まれていたあれこれは実は常人ならば真っ青になるようなメニューであった。ルドルフがどんなに可愛らしい子犬に見えたにしても、その正体は宇宙からやって来た“星の子”。特別な生き物である。そんなルドルフと同じをするとなると、それこそなはずなのだが……オスカーは何回も繰り返す内にそれが当たり前となり、それもこれも全てはセレーネの気を引くためだったのだが……あの繰り返された最低発言のせいでその努力が実らなかったのはいうまでもない。


 ちなみにルドルフが後ろ足を蹴り上げると大岩を粉々に粉砕するのだが……それをまともに受けたオスカーは吹っ飛ばされても気絶はするがほぼ無傷である。ルドルフの影響なのかはわからないが、すっかり頑丈になっていた。回復力が早いのも、倒れてもすぐに立ち上がるとセレーネが「治るのが早いのですね」と褒めて(?)くれたからだ。もっと褒めて欲しいと、それからは回復するのがどんどん早くなり、もはやそうゆうものとして受け入れられてしまっている。

 そんなわけでセレーネに褒められたい一心でまさかの超回復を実現していたのだが、常人離れにも程がある。オスカーは色んな意味で思い込みの激しい一直線な男だった。







 そして例の婚約破棄騒動を乗り越え、ユーキと出会ったのだが……。




 オスカーはその昔、母親が言っていた事を思い出した。

 それは「女性の体にむやみに触ってはいけない」ということだ。ましてや婚約者でもない女性の体に触るということは、相手の女性の身も心も傷付けてしまうこと。男ならば責任を取る覚悟を必要とせねばならないこと。などなど、他にも大切なことを教わったはずだがオスカーは自分に都合のよい事しか覚えないので仕方がない。

 とどのつまり、オスカーが男爵令嬢や隣国の王女に指一本触れなかったのは(興味が無かったこともあるが)この教えを守っていたのだ。だが……オスカーは触ってしまった。

 そう、ユーキのおっぱいに。


 最初は悩んだ。ユーキに興味を持ってしまったのは確かだが、セレーネの時と同じかと言われたらよくわからない。しかしユーキはべったりくっついてくるどころか逃げていくし、香水臭くもない。爽やかな石鹸のいい匂いがした。

 それになにより…………。




「あいつは俺の初めてのおっぱい……やっぱり責任を取らねば!」


 オスカーは真剣だった。ユーキに「おっぱい星人」と呼ばれるくらい「おっぱい」を連呼して周りをドン引きさせても真剣だった。

 だから自分を閉じ込めるための牢屋の鍵がいつもより簡単に壊れたり、ロープや鎖もいつもより早く千切れたり、生き埋めにされた土がいつもより柔らかかったりしても全く気にしなかった。オスカーにとって重要なのはここを脱出してユーキにプロポーズしに行くことだからだ。

 セレーネには愛を確かめたいがために心にも無い婚約破棄宣言を繰り返していた。だが、それではダメなのだとオスカーは学習したのだ。



 自分の気持ちは、まっすぐ伝えないといけないと!



 その結果、ユーキに逃げられたのだが……オスカーはめげなかった。

「俺は必ず責任を取るぞ!待ってろ俺のおっぱい!」

 こうしてオスカーはその身体能力をフル活用してユーキを追いかけて行ったのだった。

 次の生きる目標を見つけたオスカーは生命力に溢れ、とても楽しそうだったそうな。




    
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?

Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。 簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。 一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。 ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。 そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。 オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。 オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。 「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」 「はい?」 ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。 *--*--* 覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾ ★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。 ★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓ このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。 第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」 第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」 第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」 どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ もしよかったら宜しくお願いしますね!

ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…

ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。 一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。 そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。 読んでいただけると嬉しいです。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。

ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」 その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。

今さら執着されても困ります

メイリリー
恋愛
「これから先も、俺が愛するのは彼女だけだ。君と結婚してからも、彼女を手放す気はない」 婚約者・リアムが寝室に連れ込んでいたのは、見知らぬ美しい女だった―― アンドレセン公爵令嬢のユリアナは、「呪われた子」として忌み嫌われながらも、政略結婚によりクロシェード公爵家の嫡男・リアムと婚約し、彼の屋敷に移り住んだ。 いつか家族になれると信じて献身的に尽くすが、リアムの隣にはいつも、彼の幼馴染であり愛人のアリスがいた。 蔑まれ、無視され、愛人の引き立て役として扱われる日々。 ある舞踏会の日、衆前で辱めを受けたユリアナの中で、何かがプツリと切れる。 「わかりました。もう、愛される努力はやめにします」 ユリアナがリアムへの関心を捨て、心を閉ざしたその夜。彼女は庭園で、謎めいた美しい青年・フィンレイと出会う。 彼との出会いが、凍りついていたユリアナの人生を劇的に変えていく。 一方、急に素っ気なくなったユリアナに、リアムは焦りと歪んだ執着を抱き始める。

婚約者が聖女を選ぶことくらい分かっていたので、先に婚約破棄します。

黒蜜きな粉
恋愛
魔王討伐を終え、王都に凱旋した英雄たち。 その中心には、異世界から来た聖女と、彼女に寄り添う王太子の姿があった。 王太子の婚約者として壇上に立ちながらも、私は自分が選ばれない側だと理解していた。 だから、泣かない。縋らない。 私は自分から婚約破棄を願い出る。 選ばれなかった人生を終わらせるために。 そして、私自身の人生を始めるために。 短いお話です。 ※第19回恋愛小説大賞にエントリーしております。

運命の番より真実の愛が欲しい

サトウミ
恋愛
田舎娘のゾーイは龍族の王子・シャウロンの『運命の番』だった。 ロマンチックな恋を夢見るゾーイは『運命の番』であるシャウロンと会えるのを楽しみにしていた。 しかし、シャウロンはゾーイに対して素っ気ない。 運命の番だからといって、必ずしも愛し合う関係だとは限らないらしい。 それを悟ったゾーイは、シャウロンのもとから去ることを決意した。

処理中です...