8 / 62
第三章
偶然の出逢い SIDE 仁①
しおりを挟む
今から数年前、俺はある出会いをする。
俺の父は、『世界の城之内』と言われているグルーブの社長だ。俺自身、小さい頃から英才教育を受け将来は城之内グルーブを継ぐ事が決まっている人生を歩んできた。
俺には、歳の離れた妹がいるが男兄弟はいないので、必然的に跡継ぎとして育てられた。
教育には厳しい両親だったが、私生活では俺を信用し、ある程度自由にさせてもらったと思う。やるべき事をして成績を維持していたら、遊んでいる事をとやかく言われる事はなかった。
ただ、『世界の城之内』のネームバリューに寄ってくる輩には気をつけろ!と幼少期から何度も言われた。
幼い頃は全く意味がわからなかった。
が、いつからだろう――
名門校に通い、裕福な家庭の子ばかり集まる学校ですら、いつからか派閥というのか上下関係というのか、優劣をつける輩が出て来たのだ。
その中でも俺の家はトップにあたる訳で、ゴマをすったり、取り入ろうとする奴らを散々見てきた。
もちろん、俺は群れる事はせず相手にしなかったが……。
俺には幼馴染みがいたので、そいつひとりで充分だったのだ。
幼馴染みの名前は、田沼春樹。こいつとの出会いは幼稚園の時だ。
うちの両親は、俺を小学校から父の母校に入学させると決めていたが、なぜか幼稚園は所謂一般家庭の子が行く普通の幼稚園に入れようと思い立ったらしい。
普通の幼稚園と言っても、実家がある場所自体が高級住宅街と言われる地域なので、会社の規模は別として父親が社長という子も多かったのだが……。
そんな中で、普通のサラリーマンの父と近所のスーパーでパートをする母をもつ春樹は、この幼稚園でも珍しい存在だった。
旦那の地位で人の優劣を決める母親達から、春樹の母が嫌味を言われているのを何度も目にした。この時点で俺は、嫌味を言う人間の醜さを学んだと言っても過言ではない。
だが春樹も春樹の母親も、何を言われようが気にせず常に明るく自分を貫いている。その姿に幼稚園児ながらに学んだ気がする。
春樹自身も、自分の家庭の状況と嫌味な母親達の言っている事の意味を理解して、受け入れている所に俺は惹かれたのだ。
だが春樹は、最初俺の事もお金持ちの子として相手にしてくれなかった――
俺の父は、『世界の城之内』と言われているグルーブの社長だ。俺自身、小さい頃から英才教育を受け将来は城之内グルーブを継ぐ事が決まっている人生を歩んできた。
俺には、歳の離れた妹がいるが男兄弟はいないので、必然的に跡継ぎとして育てられた。
教育には厳しい両親だったが、私生活では俺を信用し、ある程度自由にさせてもらったと思う。やるべき事をして成績を維持していたら、遊んでいる事をとやかく言われる事はなかった。
ただ、『世界の城之内』のネームバリューに寄ってくる輩には気をつけろ!と幼少期から何度も言われた。
幼い頃は全く意味がわからなかった。
が、いつからだろう――
名門校に通い、裕福な家庭の子ばかり集まる学校ですら、いつからか派閥というのか上下関係というのか、優劣をつける輩が出て来たのだ。
その中でも俺の家はトップにあたる訳で、ゴマをすったり、取り入ろうとする奴らを散々見てきた。
もちろん、俺は群れる事はせず相手にしなかったが……。
俺には幼馴染みがいたので、そいつひとりで充分だったのだ。
幼馴染みの名前は、田沼春樹。こいつとの出会いは幼稚園の時だ。
うちの両親は、俺を小学校から父の母校に入学させると決めていたが、なぜか幼稚園は所謂一般家庭の子が行く普通の幼稚園に入れようと思い立ったらしい。
普通の幼稚園と言っても、実家がある場所自体が高級住宅街と言われる地域なので、会社の規模は別として父親が社長という子も多かったのだが……。
そんな中で、普通のサラリーマンの父と近所のスーパーでパートをする母をもつ春樹は、この幼稚園でも珍しい存在だった。
旦那の地位で人の優劣を決める母親達から、春樹の母が嫌味を言われているのを何度も目にした。この時点で俺は、嫌味を言う人間の醜さを学んだと言っても過言ではない。
だが春樹も春樹の母親も、何を言われようが気にせず常に明るく自分を貫いている。その姿に幼稚園児ながらに学んだ気がする。
春樹自身も、自分の家庭の状況と嫌味な母親達の言っている事の意味を理解して、受け入れている所に俺は惹かれたのだ。
だが春樹は、最初俺の事もお金持ちの子として相手にしてくれなかった――
44
あなたにおすすめの小説
腹黒外科医に唆された件~恋人(仮)のはずが迫られています~
有木珠乃
恋愛
両親を亡くし、二人だけの姉妹になった一ノ瀬栞と琴美。
ある日、栞は轢き逃げ事故に遭い、姉の琴美が務める病院に入院することになる。
そこで初めて知る、琴美の婚約者の存在。
彼らの逢引きを確保するために利用される栞と外科医の岡。
「二人で自由にならないか?」を囁かれて……。
妖狐の嫁入り
山田あとり
恋愛
「――おまえを祓うなどできない。あきらめて、俺と生きてくれ」
稲荷神社の娘・遥香(はるか)は、妖狐の血をひくために狐憑きとさげすまれ、ひっそり生きてきた。
ある日、村八分となっている遥香を探して来たのは怨霊や魔物を祓う軍人・彰良(あきら)。
彼は陰陽師の名門・芳川家の男だった。
帝国陸軍で共に任務にあたることになった二人だったが、実は彰良にもある秘密が――。
自己評価は低いが芯に強さを秘める女が、理解者を得て才能を開花させる!
&
苦しみを抱え屈折した男が、真っ直ぐな優しさに触れ愛を知る!
明治中期風の横浜と帝都を駆ける、あやかし異能ロマンス譚です。
可愛い妖怪・豆腐小僧も戦うよ!
※この作品は、カクヨム・小説家になろうにも掲載しています
謎多きお見合い相手は、秘めた愛を彼女に注ぐ
玖羽 望月
恋愛
老舗医療機器メーカーのマーケティング・企画部で働く石田琴葉【いしだことは】(28)は、仕事一筋で生きてきた。
学生時代に恋愛で痛手を負った琴葉は、それから勉強と仕事を最優先に生きてきた。
ある日琴葉は、祖母にお見合いを勧められ、「会うだけなら」と渋々お見合いに臨んだ。
そこに現れたのは眉目秀麗という言葉が似合う榛名智臣【はるなともおみ】(33)だった。
智臣は琴葉の仕事や業界に精通していて、思いの外話しは弾む。ただ自身のことは多くを語らず、会話の端々に謎を残してお見合いは終わった。
その後何も連絡はなく、気になりながらも目の前の仕事に全力を尽くす琴葉。
やがて迎えた、上層部の集う重要会議。
緊張感の中、突如発表されたのはマーケティング・企画部長の異動と、新たな部長の着任だった。
そこに現れた新部長は――
※こちらのサイトのみ投稿中です
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる