35 / 62
第九章
全力の愛②
しおりを挟む
限られた人しか訪れる機会のない『城之内』のオフィスビルの最上階。
エレベーターが開き降りると直ぐにガラスドアがある。セキュリティが厳しいのだろう。扉の横にはインターホンとカードを翳すであろう機械がある。
ドキドキしながら、インターホンを押した。
『はい』
「城之内不動産の月野と申します」
「月野さん、今迎えに行きますので、少々お待ち下さい」
声と喋り方から、秘書の田沼さんのようだ。直ぐに中から扉が開いた。
「お待たせしました。どうぞお入り下さい」
「はい。失礼します」
一歩中に入ると、エレベーターホールとは違い豪華な内装。入ってすぐに受付があり、小柄な女性がひとり座っていた。
「いらっしゃいませ」と立って丁寧に挨拶してくれるが、全体から感じる威圧感と招かれざる客だとヒシヒシ感じる視線。
その様子に気づいた春樹は、内心溜息をつく。
「高橋さん、社長の大切なお客様です。最上階の受付を任されている方の態度とは思えませんが、それが答えだと受け取ってよろしいですね」
「そんな!」
「失礼な態度とご自覚は?」
「申し訳ございません」
謝罪はしているが、納得していないようだ。ただ、ここですぐに処分を下すと、怒りは真琴に向くだろうと予想できる春樹はグッと我慢する。だが対処が必要だ。
「以後気をつけて下さい」
「はい」
「では、行きましょうか」
敢えて真琴の名前は出さない。またすぐに、日本を離れる仁と春樹。真琴を直接守る事が出来ない。不安要素が残る……。
真琴も、先程の高橋の視線で強い敵意を感じ取り、黙り込んでしまった。城之内社長の隣に立つという現実は、かなりの敵意を向けられるという事。
レイチェルの件もあり、素直に受け入れる事は出来そうにない。
やはり、真琴とは世界が違う。人に見られたり目立つ事が苦手なのだから――
エレベーターが開き降りると直ぐにガラスドアがある。セキュリティが厳しいのだろう。扉の横にはインターホンとカードを翳すであろう機械がある。
ドキドキしながら、インターホンを押した。
『はい』
「城之内不動産の月野と申します」
「月野さん、今迎えに行きますので、少々お待ち下さい」
声と喋り方から、秘書の田沼さんのようだ。直ぐに中から扉が開いた。
「お待たせしました。どうぞお入り下さい」
「はい。失礼します」
一歩中に入ると、エレベーターホールとは違い豪華な内装。入ってすぐに受付があり、小柄な女性がひとり座っていた。
「いらっしゃいませ」と立って丁寧に挨拶してくれるが、全体から感じる威圧感と招かれざる客だとヒシヒシ感じる視線。
その様子に気づいた春樹は、内心溜息をつく。
「高橋さん、社長の大切なお客様です。最上階の受付を任されている方の態度とは思えませんが、それが答えだと受け取ってよろしいですね」
「そんな!」
「失礼な態度とご自覚は?」
「申し訳ございません」
謝罪はしているが、納得していないようだ。ただ、ここですぐに処分を下すと、怒りは真琴に向くだろうと予想できる春樹はグッと我慢する。だが対処が必要だ。
「以後気をつけて下さい」
「はい」
「では、行きましょうか」
敢えて真琴の名前は出さない。またすぐに、日本を離れる仁と春樹。真琴を直接守る事が出来ない。不安要素が残る……。
真琴も、先程の高橋の視線で強い敵意を感じ取り、黙り込んでしまった。城之内社長の隣に立つという現実は、かなりの敵意を向けられるという事。
レイチェルの件もあり、素直に受け入れる事は出来そうにない。
やはり、真琴とは世界が違う。人に見られたり目立つ事が苦手なのだから――
32
あなたにおすすめの小説
腹黒外科医に唆された件~恋人(仮)のはずが迫られています~
有木珠乃
恋愛
両親を亡くし、二人だけの姉妹になった一ノ瀬栞と琴美。
ある日、栞は轢き逃げ事故に遭い、姉の琴美が務める病院に入院することになる。
そこで初めて知る、琴美の婚約者の存在。
彼らの逢引きを確保するために利用される栞と外科医の岡。
「二人で自由にならないか?」を囁かれて……。
妖狐の嫁入り
山田あとり
恋愛
「――おまえを祓うなどできない。あきらめて、俺と生きてくれ」
稲荷神社の娘・遥香(はるか)は、妖狐の血をひくために狐憑きとさげすまれ、ひっそり生きてきた。
ある日、村八分となっている遥香を探して来たのは怨霊や魔物を祓う軍人・彰良(あきら)。
彼は陰陽師の名門・芳川家の男だった。
帝国陸軍で共に任務にあたることになった二人だったが、実は彰良にもある秘密が――。
自己評価は低いが芯に強さを秘める女が、理解者を得て才能を開花させる!
&
苦しみを抱え屈折した男が、真っ直ぐな優しさに触れ愛を知る!
明治中期風の横浜と帝都を駆ける、あやかし異能ロマンス譚です。
可愛い妖怪・豆腐小僧も戦うよ!
※この作品は、カクヨム・小説家になろうにも掲載しています
謎多きお見合い相手は、秘めた愛を彼女に注ぐ
玖羽 望月
恋愛
老舗医療機器メーカーのマーケティング・企画部で働く石田琴葉【いしだことは】(28)は、仕事一筋で生きてきた。
学生時代に恋愛で痛手を負った琴葉は、それから勉強と仕事を最優先に生きてきた。
ある日琴葉は、祖母にお見合いを勧められ、「会うだけなら」と渋々お見合いに臨んだ。
そこに現れたのは眉目秀麗という言葉が似合う榛名智臣【はるなともおみ】(33)だった。
智臣は琴葉の仕事や業界に精通していて、思いの外話しは弾む。ただ自身のことは多くを語らず、会話の端々に謎を残してお見合いは終わった。
その後何も連絡はなく、気になりながらも目の前の仕事に全力を尽くす琴葉。
やがて迎えた、上層部の集う重要会議。
緊張感の中、突如発表されたのはマーケティング・企画部長の異動と、新たな部長の着任だった。
そこに現れた新部長は――
※こちらのサイトのみ投稿中です
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる