【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。

いな@

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第一章 原作前

第50話 俺の味方は?

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「ミラさん、この鍋の蓋はありますか?」

「……こちらに」

 一瞬目の前から消えたよね! ストレージから出した風に見せておいてどこから持ってきたよね!

 ……ま、まあ、いいか。これで試作品を作れるし。

「ありがとうございます。では、これから大量生産するための試作品をこの場で作ってみたいと思います」

「何? 大量生産ができるのか?」

「はい。王様、確かに俺とリズが休まず作れば相当な本数は作れると思います」

「そうだな。だがそんなことをすれば二人が持たんだろうことはわかっていることだな」

「はい。なのでこうします」

 まずは鍋にさっき見た錬金術の魔法陣を書いていく。

「なんと! ドライは魔法陣も使えるのか!」

 いつの間にかみんなが立ち上がり、台車のまわりで俺の手元を見てくる。

「はい。鍋はこれで完成かな。次は蓋に浄化の魔法陣を書いちゃいます」

「聖魔法の魔法陣だと!」

「はい。これで……完成ですね。実際にやってみましょう」

 鍋に新しく水を入れ、ミラさんがいつの間にか持っていた薬草を受け取り、鍋に入れた。

「これで鍋の魔法陣に魔力さえ通せれば低級ポーションが作れて、蓋をして浄化の魔法陣に魔力通せば……えっと、誰かやってみますか?」

「ならば私がやろう」

 鍋に手を伸ばしたのは王様だ。ちょんと鍋に書いた魔法陣に触れて魔力を通してくれる。

 すると、薬草が水に溶け始め、あっという間に低級ポーションになった。

「これは素晴らしい……この私が低級ポーションを錬金できるとは。ならばこの蓋をして、魔力を通せば浄化ポーションができると言うのだな?」

「はい」

「よし! 蓋をして――ふん!」

 なにやら気合いを入れて魔力を通す王様。そこまで気張らなくても大丈夫なんですけどね。

 鑑定すると、しっかり低級ポーションから浄化ポーションに変わっていた。

「おお! この色はまさに浄化ポーションだ! 素晴らしい! ドライよ、お主が我が国のものであるならすぐにでも叙爵できるほどの功績だぞ」

「ドライ、本当に素晴らしいわ。さすがわたくしの婚約者ね」

 王様とファラが褒めてくれる。父さんと兄さんたちはうんうんとうなずいている。

「だけど……これは今回の熱病が終わるまでの期間限定にしなきゃ駄目ですよね」

「なぜそんなことを言うのだ? このような素晴らしい発明は大々的に広めねばもったいないだろう」

「そう、なのかもしれないですけど、これが広まると、錬金術師の仕事を奪っちゃうことになります。だから、熱病の流行を止めたあとは使用できる人を錬金術師だけに限定とかしなきゃ駄目だと思います」

 あれ? なにか変なこと言ったかな? みんな止まっちゃったぞ?

「えっと、どうしたの、ですか?」

「ふむ。クリーク辺境伯よ、こちらにファラフェルを嫁に出すのは止めて、グリフィン王家へ婿入りにせぬか?」

「それは……もしや」

 え? 婿入り? どういうこと?

「うむ。仕事が無くなる錬金術師のことを考えられるのなら、さぞ民のことも考えられるだろう。ならば将来的に私の後を継がせても良いかもしれん」

「お父様、それはいい考えね。わたくしの回復魔法の習得を邪魔するようなものたちより数万倍いいわ。ドライ、どう? 王様になっちゃう?」

「いやいやいやいや! なんでそうなるの! 王様とか無理ですから!」

「ふむ。ドライが王であるか。これは私たちも負けてられませんな兄上」

「そうだねツヴァイ。ドライ王に恥をかかせられないから、もっとクリーク辺境伯領を良い領地にしなきゃだね」

「いやいやいやいや、兄さんたちまでなに言ってるの!」

「ならばアイン、引き継ぎの教育を早めなければならんな。これまでの遅れを取り戻さねばならんし、ツヴァイもしっかりと兄を支えるのだぞ」

「父さんまで乗り気! ねえ王様、ファラも冗談ですよね?」

「いや、かなり本気だぞ? なあファラフェル」

「ですねお父様。グリフィン王国の未来はドライに任せれば安泰ね」

「俺の味方はいなかった!」





 その後も、俺の話は誰も聞いてくれず、この場にいた全員が浄化ポーションを作り始めた。

 後をつけてた人も、扉の前で護衛していた騎士たちもだ。

「これなら大量生産もできるな。クリーク辺境伯よ、この生産には我が国も協力しよう」

「ええ。おそらく全ての国で、必要になると思われますので、助かります」

「うむ。それにファラフェルの母方の帝国にも、他の国にも協力は……無理があるか。熱病の後も利権を手放さない国も出て来るだろうからな。供給だけとしよう。あとは黒幕だろう教国は……どうするべきか」

「そうですな……教国の民のことを考えるなら、浄化ポーションの供給はした方が良いかと」

「だ、な。残りの問題は呪いの石像だが……困ったのう」

「そうですね……」

 そう言って父さんと王様が俺を見てくる。

「よし。ファラフェルよ、ドライと共に教会を巡るのだ。今日乗ってきた飛龍も使って良いぞ」

 飛龍? ドラゴンみたいなものかな? それを貸してくれるってことか。

 そういえば帰ったばかりのファラが王様をつれて来てるってことをなぜ不思議に思わなかったんだよ。

 今日の乗り合い馬車でもあんなに時間がかかるのに、気付けよ俺。

「よろしいのですか? あれがないとお父様の好きな公務サボりができませんよ?」

「それは……我慢する」

 サボり用なのかよ! それで我慢するのかよ!

 でも飛龍ってのに乗れるのは楽しそうだ。教会の石像浄化はしたいと思っていたし、って教会ってどれだけあるんだ?

 クリークの街だけでも五つあるんだぞ? 百や二百……いや、千はあるんじゃないだろうか。二人じゃ無理だよな……。

 というかさ……俺が王様って話は無し……だよね?
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