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第六章・身を守る方法
36・ある公爵令嬢の誓い(キャロラインSide)
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私は寡黙な少女だった…小さい頃から可愛げがないと勝手なことを言われた。幼い頃に母は亡くなり、立場的に大勢の人に囲まれているけど、それを教えてくれる人がいなかったのね?だけどそれは自分のせいなんだと、甘んじて受け入れている。
そしてアロワ公爵家の長女として生まれた私…人から見たら、何て恵まれているんだと思うだろう。本当に?
自分で望んだ訳でもないその立場は、私自身を苦しめるだけ…。だけどお金には苦労しないでしょう?そんな声が聞こえる。そうよ!お金には困ったことなどない。お父様やお兄様は事業が非常に忙しく、私に構ってやれない心苦しさを、お金を与えることによって解消しようとする。だけど欲しいものはお金で買えない私にとって、それがどんな意味があるというの?もう限界…
おまけに私を苦しめるのは、たった三歳の時に結んだ王族との婚約。始めはこれ程までに関係は、拗れていなかったように思う。スティーブ殿下との顔合わせの時、私と同じくらい寡黙な方だったことにホッとする。そして眩しい程の金髪に凪いでいる海のような瞳…この方が王子様なの?と驚く。それからは毎月一度の殿下とのお茶会もあったが、それ程苦にならなかったように思う。殿下の方もそんな愛想のない私を嫌がっている様子もなく、ただ黙って二人の穏やかな時間が流れた。そして間もなく妃教育が始まり、億劫には思わずに没頭する。それどころか、叔母様である王妃様にお会い出来て嬉しかった。まるでお母様に会っているような気がして…
そして殿下も、王妃様にはとても懐いている。私などと居る時とは全く違い、明るい笑顔を見せていた。当時は、国同士の情勢が危ぶまれている状況の中、国王様はほぼ国にはいない。そして殿下のお母様である王妃様も、とっくにお亡くなりになっていることもあり、本当の親子のように仲が良いのね!そう微笑ましく思っていた…
そんな仲であった私達に転機が訪れる。この国が帝国になり、国王様は皇帝陛下に、そして叔母様は皇后陛下となった。それから直ぐ、皇后様の御妊娠が伝えられる…それからだろうか?殿下が少しずつ変わってしまったのは…
それでも妃教育の合間には、月に一度の面会が行われたし、私は公爵家の人間として誇りを持ち、将来の皇太子妃となるべく精一杯精進して来た。そしてそれが、完全に可怪しくなったのはそう!ルーシー・バーモント令嬢の登場。
バーモント令嬢はその可愛い容姿と明るい性格で、田舎の子爵家出身だというのに、たちまち人気になる。そんな令嬢がある時、何の因果か休学を余儀なくされることに…
帝都学園の中等部に入って直ぐに行われた合宿で、殿下がバーモント令嬢を怪我させてしまう…だけどそれは、私のせいでもあったの。初めての合宿で、そして初めての料理。私達は皆、それに四苦八苦することになる。流石に火起こしは無理で、料理の為に着火剤で火を付けることになる。私はたまたま殿下のグループの横を通り過ぎる時に「まだ火が着いてないようですね…」と声を掛けた。それが間違いだった!
実際は火は付いていた。だが、屋外だったことで、その火が見えづらくなっていたの…そんなこととはつゆ知らず、殿下は着火剤を追加してしまって…
突如燃え上がる炎…それに驚いたバーモント令嬢は、逃げようとして崖下に転げ落ちてしまった!その時の殿下の、愕然とした顔を忘れられない…私がその重い十字架を、殿下に背負わせてしまったのね?
それから約一年後に学園に戻って来たバーモント令嬢…少し前とは様子が違っていたように思う。そして何故か殿下に執着するようになる。
やってもないことをやったと主張し罪に陥れ、それにまんまと騙されるクラスメイト達。そんな意地の悪い人間なんだと、私を遠巻きに見るようになり、そして疎遠になった…私が一体何をしたと?
そう戸惑う私を更にどん底へと叩き付けるのは、婚約者である筈のスティーブ殿下。
何故私を信用しないの?何故私だけを叱責するの?そんな声は殿下には、一切聞こえないようだった。
そんな誰からも信用されず、庇ってくれる友人もいない…私は絶望し、孤独の中にいた。それは家でも…学園でも。
だけどある日、まるで天使のように現れた人…アリシア・ランドン伯爵令嬢。
そしてその人は…そう!初めて会ったその瞬間から私の味方だった。
にわかには信じられなかった…何の説明もいらない!ただ信用してくれる。そんな人が私の目の前にいる…この時の私の気持ちが分かる?
この世の私は、まるで泥舟に乗っているかのようだった。いつ沈んでも不思議ではない…それは不安定で、何の助けもない…そんな舟に一人きりで乗っていたの。そんな絶望から私を掬い上げてくれた人…
私がありのままでいていい…そしてそんなあなたが大好きよ!そう言ってくれる親友。
あの初めての出逢いを、今でも思い出すと涙が出るわ。あなたは私の希望…そして勇気。
私は全てを諦めていた…だけど私、これからは立ち向かうわ!あなたの為に…
そしてアロワ公爵家の長女として生まれた私…人から見たら、何て恵まれているんだと思うだろう。本当に?
自分で望んだ訳でもないその立場は、私自身を苦しめるだけ…。だけどお金には苦労しないでしょう?そんな声が聞こえる。そうよ!お金には困ったことなどない。お父様やお兄様は事業が非常に忙しく、私に構ってやれない心苦しさを、お金を与えることによって解消しようとする。だけど欲しいものはお金で買えない私にとって、それがどんな意味があるというの?もう限界…
おまけに私を苦しめるのは、たった三歳の時に結んだ王族との婚約。始めはこれ程までに関係は、拗れていなかったように思う。スティーブ殿下との顔合わせの時、私と同じくらい寡黙な方だったことにホッとする。そして眩しい程の金髪に凪いでいる海のような瞳…この方が王子様なの?と驚く。それからは毎月一度の殿下とのお茶会もあったが、それ程苦にならなかったように思う。殿下の方もそんな愛想のない私を嫌がっている様子もなく、ただ黙って二人の穏やかな時間が流れた。そして間もなく妃教育が始まり、億劫には思わずに没頭する。それどころか、叔母様である王妃様にお会い出来て嬉しかった。まるでお母様に会っているような気がして…
そして殿下も、王妃様にはとても懐いている。私などと居る時とは全く違い、明るい笑顔を見せていた。当時は、国同士の情勢が危ぶまれている状況の中、国王様はほぼ国にはいない。そして殿下のお母様である王妃様も、とっくにお亡くなりになっていることもあり、本当の親子のように仲が良いのね!そう微笑ましく思っていた…
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実際は火は付いていた。だが、屋外だったことで、その火が見えづらくなっていたの…そんなこととはつゆ知らず、殿下は着火剤を追加してしまって…
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そしてその人は…そう!初めて会ったその瞬間から私の味方だった。
にわかには信じられなかった…何の説明もいらない!ただ信用してくれる。そんな人が私の目の前にいる…この時の私の気持ちが分かる?
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私がありのままでいていい…そしてそんなあなたが大好きよ!そう言ってくれる親友。
あの初めての出逢いを、今でも思い出すと涙が出るわ。あなたは私の希望…そして勇気。
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