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第10章・危険な香り
76・驚きの連続
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あれから私達はインテリア雑貨のお店に向かい、どれにしようかあれこれ悩んだが、思ってもみないことで時間があっという間に過ぎていて、もうこれでいいや!と結局無難なペアのティーセットを購入した。好き嫌いが分かれる柄物ではなくて、白地に浮き出るような花の模様に、縁だけ金彩が施されている上品なものだ。まあ、贈り物としては定番だから失敗はないでしょ!御祝いする気持ちが大切だからね?そして別れ際に…
「ルーシー、あなたの家って近くなの?それに…誰も連れていないみたいだけど大丈夫なのかしら。良かったら送って行くけど…ルシードと一緒だけどね」
良く考えたら、うちの馬車じゃなかった…勝手にそう言っちゃったけど、ルシードなら許してくれるだろう。そしてチラッとルシードを見ると、ウンウン頷いている。
「家、ここから近いの!だから歩きで全然大丈夫。だけど…誰か連れていなかったら、危ないの?いつも私は一人だけど…」
な、何言ってるんだろう?この子…どうも、放って置かれているのは本当のようだ。そのことに複雑な思いになる…昔はルーシーのお母様も、とっても可愛いがってらしたのに。何があったのだろう?そして離婚のことも…
「それなら一人で大丈夫なのかい?良かったら、私の護衛を一人家まで付けるけど。それと…悪いんだが、私のことはお父上に黙っていてくれないか?お忍びで来ているから…」
そうルシードが言っていて、ハッとする。そうだ…さっきはルシードは名乗ることはしなかった。ワザとそうしたのね?無言で威圧していただけだったから。それはバーモント子爵に、自分のことを知られたらマズいからだわ。エルバリン国との密輸に関わっているのだし、その国の王子だなんて知れたら、間違いなく警戒されてしまう…悪くしたら、尚更命を狙われてしまうだろう。これは何とか誤魔化さなければ!とルーシーを見ると、不思議そうな顔をしている。うん…?
「あなたって?ルシードって、どこかのやんごとなきお方なの?知らないけど。何だか分からないけど、いいわよ!」
──し、知らないんだ!ルーシー、あなたって無頓着過ぎない?だけど、こんなところでおバカが役に立つなんて…
ルーシーにとっても、知らない方がいいんだと思う。そうでなかったら、いくらバーモント家の人間だといっても、そのことで危ない目合うかも知れないし…
だけど待てよ?いくらルーシーが黙っていたとしても、王妃のスパイがバーモント子爵に接近したとしたら…バレない?だけどそれもまた、抜け目ないルシードの策なのかも。ルーシーの口を塞いでおいて、王妃が密輸の件にも関わっているのかを知りたいのかも。
自分の息子の為に、ルシードを亡きものにしたい王妃。そしてその時に備えて、国家転覆までも準備している王妃の生家…その二つが完全に共謀しているのか、それぞれの思惑で単独で企んでいるのかを…だから、護衛の一人に送らせようとしている?
──うわあぁーっ!もう、こんな小娘の手には負えないでしょう?皇帝陛下やお兄様達にお任せする他はないわね。
「さあ、日も落ちて来たことだし帰ろうか?悪いけどフィリップ、贈り物を保管してくれるかい?また学園に持って来てくれ」
「はい、構いません。それと先程のこと、ガーイン伯爵家には伝えた方がいいでしょうか?その…子爵が近付いてくるかも知れないと」
フィリップは不安そうに、そうルシードに小声で尋ねている。そしてルーシーをチラッと見たけど、全く気にしている様子もない。こういう時は、ホントにこの子の無頓着さが有り難い!興味すらなさそうだもの。そしてガーイン家か…フィリップのお母様の実家のことだから、それは心配だろうと思う。そして私も知らない間柄でもないからねぇ。
「そうだなぁ…これから接近する可能性が高いだろう。だからもし、そのような気配があれば知らせて貰ったらどうだろうか?」
「分かりました。そうします!」
そう話がついたところで、ルシードの護衛と侍従が共に戻って来た。丁度良いタイミングだと思っていると…
「こちらの令嬢を家まで送ってくれるかい?」
ルシードが護衛達に向かってそう声を掛ける。それにすかさず反応したのは…
「それでは私が、こちらのご令嬢をお送り致します」
そんな声に振り向くと、若い方の護衛がそう志願している。この人が怪しい方だったわよね?それにどうするのかルシードを見上げると、何故かフフッと笑っていて…
「いや…ロラン卿は私と来てくれ!ではマクスウェル卿、ルーシーを家まで送ってやってくれるかい?その後遅くなってしまったが、休憩を取ってくれて構わないから」
それに頷き礼をとったマクスウェル卿は、ルーシーに近付き「お送り致します」と声を掛ける。それにルーシーは、ちょっと戸惑いながらも…
「あ、ありがとう!ホントは大丈夫なんだけどね…。じゃあアリシア、またね~」
他の二人には挨拶しないの?と思ったが、ルーシーはにこやかにマクスウェル卿と去って行く。あの子、ホントに天然だわね?と思いながら二人の背中を見送った。それから…これは上手いなぁ~と感心する。恐らくだけど、あの若い騎士…ロラン卿だっけ?自らルーシーを送ると言ったけど、それを許可することはなかったルシード。それは…動き出すのを待つつもりかも?どうしても子爵に会いたいと思うなら、自分で行くしかない。その現場を押さえようとしてるんじゃないかと…
それから再び皇居の馬車に乗ってランドン邸に向かって走りだす。とっても静かなその馬車は、乗っているとまるで揺りかごのようで…めっちゃ眠い!だけど寝てしまうなんて失礼過ぎるし…と、苦虫を噛み潰したような顔で何とか我慢していると…
「アハハハッ、寝ていいよ?今日は色々あって疲れただろう。着くまではもう少しかかるし、一眠りするといい」
そんなルシードの声さえも子守唄のようになり、眠っちゃいけないと思う程に眠たくなって…
「アリ…アリシア…起きたかい?」
その聞き覚えのある声にパチっと目を開ける。すると…馬車の向こうの席には誰も乗っていない。あれ、ルシードは?そうぼんやりと思っていると…
「起きた?アリシア」
突如、頭の上から声が聞こえる。それにバッと見上げると…ルシードと目が合う。どゆこと?
「あれっ?どうなって…」
何故か別々に座っていたのが、同じ側の席に並んで座っている。それに困惑して…
「君が寝ちゃって、危ないと思ってこっちに座ったんだ。そしたら、よしかかられて…気持ち良さそうだなって」
「お、起こしてくれればいいのにーっ!」
何という失態!ああ…他国の王族によしかかって寝るなんて、私が最初じゃない?もーう!おまけに何だか、いい匂いがするし~
「ハハッ、大丈夫だよ?貴重な経験だったよね~。もう少しで着きそうだったから起こしたんだ。ほらもう…あれっ?君の家の前に、大きな馬車が止まっているけど。お客様だろうか」
ルシードがそう言うので、目を擦りながら車窓に目を向ける。すると…見覚えのある大きな馬車が、屋敷の前に止まっていて。あれは、アロワ公爵家の馬車かしら?
もしかして、キャロラインが来ている?だけどもう夕方だけど…と不思議に思いながらも馬車を降りて、ルシードにお礼を言おうとすると…
「アリシア!大変なの…ク、クリスティーヌが皇子妃になるって!」
キャロラインがランドン邸から飛び出して来て、そんなことを叫ぶ。その内容のあまりの驚きに息が止まる!ああ…今日って、本当に盛りだくさんね?
「ルーシー、あなたの家って近くなの?それに…誰も連れていないみたいだけど大丈夫なのかしら。良かったら送って行くけど…ルシードと一緒だけどね」
良く考えたら、うちの馬車じゃなかった…勝手にそう言っちゃったけど、ルシードなら許してくれるだろう。そしてチラッとルシードを見ると、ウンウン頷いている。
「家、ここから近いの!だから歩きで全然大丈夫。だけど…誰か連れていなかったら、危ないの?いつも私は一人だけど…」
な、何言ってるんだろう?この子…どうも、放って置かれているのは本当のようだ。そのことに複雑な思いになる…昔はルーシーのお母様も、とっても可愛いがってらしたのに。何があったのだろう?そして離婚のことも…
「それなら一人で大丈夫なのかい?良かったら、私の護衛を一人家まで付けるけど。それと…悪いんだが、私のことはお父上に黙っていてくれないか?お忍びで来ているから…」
そうルシードが言っていて、ハッとする。そうだ…さっきはルシードは名乗ることはしなかった。ワザとそうしたのね?無言で威圧していただけだったから。それはバーモント子爵に、自分のことを知られたらマズいからだわ。エルバリン国との密輸に関わっているのだし、その国の王子だなんて知れたら、間違いなく警戒されてしまう…悪くしたら、尚更命を狙われてしまうだろう。これは何とか誤魔化さなければ!とルーシーを見ると、不思議そうな顔をしている。うん…?
「あなたって?ルシードって、どこかのやんごとなきお方なの?知らないけど。何だか分からないけど、いいわよ!」
──し、知らないんだ!ルーシー、あなたって無頓着過ぎない?だけど、こんなところでおバカが役に立つなんて…
ルーシーにとっても、知らない方がいいんだと思う。そうでなかったら、いくらバーモント家の人間だといっても、そのことで危ない目合うかも知れないし…
だけど待てよ?いくらルーシーが黙っていたとしても、王妃のスパイがバーモント子爵に接近したとしたら…バレない?だけどそれもまた、抜け目ないルシードの策なのかも。ルーシーの口を塞いでおいて、王妃が密輸の件にも関わっているのかを知りたいのかも。
自分の息子の為に、ルシードを亡きものにしたい王妃。そしてその時に備えて、国家転覆までも準備している王妃の生家…その二つが完全に共謀しているのか、それぞれの思惑で単独で企んでいるのかを…だから、護衛の一人に送らせようとしている?
──うわあぁーっ!もう、こんな小娘の手には負えないでしょう?皇帝陛下やお兄様達にお任せする他はないわね。
「さあ、日も落ちて来たことだし帰ろうか?悪いけどフィリップ、贈り物を保管してくれるかい?また学園に持って来てくれ」
「はい、構いません。それと先程のこと、ガーイン伯爵家には伝えた方がいいでしょうか?その…子爵が近付いてくるかも知れないと」
フィリップは不安そうに、そうルシードに小声で尋ねている。そしてルーシーをチラッと見たけど、全く気にしている様子もない。こういう時は、ホントにこの子の無頓着さが有り難い!興味すらなさそうだもの。そしてガーイン家か…フィリップのお母様の実家のことだから、それは心配だろうと思う。そして私も知らない間柄でもないからねぇ。
「そうだなぁ…これから接近する可能性が高いだろう。だからもし、そのような気配があれば知らせて貰ったらどうだろうか?」
「分かりました。そうします!」
そう話がついたところで、ルシードの護衛と侍従が共に戻って来た。丁度良いタイミングだと思っていると…
「こちらの令嬢を家まで送ってくれるかい?」
ルシードが護衛達に向かってそう声を掛ける。それにすかさず反応したのは…
「それでは私が、こちらのご令嬢をお送り致します」
そんな声に振り向くと、若い方の護衛がそう志願している。この人が怪しい方だったわよね?それにどうするのかルシードを見上げると、何故かフフッと笑っていて…
「いや…ロラン卿は私と来てくれ!ではマクスウェル卿、ルーシーを家まで送ってやってくれるかい?その後遅くなってしまったが、休憩を取ってくれて構わないから」
それに頷き礼をとったマクスウェル卿は、ルーシーに近付き「お送り致します」と声を掛ける。それにルーシーは、ちょっと戸惑いながらも…
「あ、ありがとう!ホントは大丈夫なんだけどね…。じゃあアリシア、またね~」
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それから再び皇居の馬車に乗ってランドン邸に向かって走りだす。とっても静かなその馬車は、乗っているとまるで揺りかごのようで…めっちゃ眠い!だけど寝てしまうなんて失礼過ぎるし…と、苦虫を噛み潰したような顔で何とか我慢していると…
「アハハハッ、寝ていいよ?今日は色々あって疲れただろう。着くまではもう少しかかるし、一眠りするといい」
そんなルシードの声さえも子守唄のようになり、眠っちゃいけないと思う程に眠たくなって…
「アリ…アリシア…起きたかい?」
その聞き覚えのある声にパチっと目を開ける。すると…馬車の向こうの席には誰も乗っていない。あれ、ルシードは?そうぼんやりと思っていると…
「起きた?アリシア」
突如、頭の上から声が聞こえる。それにバッと見上げると…ルシードと目が合う。どゆこと?
「あれっ?どうなって…」
何故か別々に座っていたのが、同じ側の席に並んで座っている。それに困惑して…
「君が寝ちゃって、危ないと思ってこっちに座ったんだ。そしたら、よしかかられて…気持ち良さそうだなって」
「お、起こしてくれればいいのにーっ!」
何という失態!ああ…他国の王族によしかかって寝るなんて、私が最初じゃない?もーう!おまけに何だか、いい匂いがするし~
「ハハッ、大丈夫だよ?貴重な経験だったよね~。もう少しで着きそうだったから起こしたんだ。ほらもう…あれっ?君の家の前に、大きな馬車が止まっているけど。お客様だろうか」
ルシードがそう言うので、目を擦りながら車窓に目を向ける。すると…見覚えのある大きな馬車が、屋敷の前に止まっていて。あれは、アロワ公爵家の馬車かしら?
もしかして、キャロラインが来ている?だけどもう夕方だけど…と不思議に思いながらも馬車を降りて、ルシードにお礼を言おうとすると…
「アリシア!大変なの…ク、クリスティーヌが皇子妃になるって!」
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