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永遠の幸せ
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新しい年も、小夜と想は互いの愛を深めていく。
週末には小夜のピアノ演奏のあとに二人の時間を過ごした。
想の誕生日、そして小夜の誕生日も一緒にお祝いする。
出逢ったころは二十六歳と二十三歳だった二人は、それぞれ二十八歳と二十五歳になっていた。
想の仕事も好調で、新曲はリリースする度に売り上げランキングトップになる。
知名度も上がり、コンサートやテレビ出演の機会も増え、小夜はますます想に会うのに慎重になっていた。
ひた隠しにしているせいか、想の恋人の噂はいつの間にかなくなっていた。
週刊誌にも、想は自分の車で職場と自宅マンションを行き来するだけの生活と書かれた。
【あれだけ純愛ぶっておいて、あっさり別れたんだね】
【なんかがっかり。ラブソングも急に嘘くさく感じちゃう】
【想にはピュアな愛を貫いてほしかったよね】
そんなSNSのコメントに、想は、くーっ!と身悶えた。
「勝手に破局させるなってーの!」
「まあまあ。落ち着けよ、想」
本田は苦笑いで慰める。
「いい流れじゃないか」
「どこがですか!?」
「だってこれで小夜ちゃんと婚姻届を提出したってなったら、やっぱり純愛を実らせたんだ! ってプラスイメージになる」
「どんなイメージでも俺は小夜と結婚します! なにがあってもそれだけは変わりませんから」
「はいはい。ごちそう様です」
じりじりと身を焦がされる想は、週末に小夜と会う度に、熱い想いをぶつけるように小夜を愛した。
次のブルームーンが現れる日。
ただその日を待ち焦がれながら……。
◇
二〇二八年十二月三十一日の大みそか。
ついにその日を迎えた。
想は歌番組の生出演を終えると、車で小夜のマンションに行く。
小夜を乗せるとそのまま二人で区役所へ向かった。
時間外窓口に、ようやく婚姻届を提出する。
「はい、確かにお預かりしました。不備がなければこのまま受理となります。おめでとうございます」
「ありがとうございます」
お礼を言って、二人で微笑み合う。
手を繋いで駐車場へと戻った。
「これで私も、来栖 小夜になったんだよね」
「ああ。はー、長かった。どれだけこの日を待ちわびたか」
「ごめんなさい。どうしてもファンの人の気持ちが気になって、先延ばしにしてって言い出したりして」
「わかってる。ありがとう、小夜。でも今夜からは絶対に片時も離してやらないからな。覚悟しろ」
冗談とも本気ともつかない脅し文句のような口調で言い、想はグッと小夜の肩を抱く。
はい、と小さく頷くと、想はいきなり小夜の頬にキスをした。
「ちょ、想! こんなところでなにするのよ?」
「いいだろ? 小夜はもう俺の奥さんなんだから」
「でもまだマスコミに発表してないでしょう?」
「ああ、そうか。今、本田さんに連絡する。婚姻届を提出したら、マスコミ各社に一斉にメールでお知らせすることになってるんだ」
想は片手でスマートフォンを操作して、本田に電話をかける。
「もしもし本田さん、お疲れ様です。……はい、無事に提出してきました」
すると小夜の耳にも『おめでとう!』という本田の声が聞こえてきた。
「ありがとうございます。本田さん、マスコミへの発表をよろしくお願いします。年内に間に合いそうですね。……はい、小夜はこのまま俺のマンションに連れて帰りますので。はい、わかりました。それでは」
通話を終えると、想はまたしても小夜の肩を抱き寄せる。
「マスコミがマンションに張り込むだろうから、ちゃんと小夜を守ってやれって。一歩も外に出さないからな、小夜」
「そ、それって、軟禁って言うんじゃ……」
「失礼な。正月休みの三日間、俺がたっぷり愛してやる」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべる想に、小夜はドギマギとうつむく。
これから始まる結婚生活、果たしてこんな調子で身がもつだろうかと真剣に考え込んだ。
◇
本田はすぐに用意してあったコメントを発表したらしく、一気にSNSが賑わう。
想のマンションに着くと、小夜はすぐさまスマートフォンでチェックした。
【シンガーソングライター、想。ついに結婚! 大みそかの婚姻届】
そんな見出しが躍り、コメントが飛ぶように寄せられる。
【え、去年の五月頃に公表した相手とってことだよね?】
【続いてたんだ! てっきり別れたと思ってた】
【そうそう。純愛だって言われてたけど、結局は口先だけだなって思ってたのに】
【なんかよかったよね、結婚してくれて。これで想の曲を、純粋にそのまま受け止められるもん】
【うん。ラブソングもちゃんと想の本当の言葉だって思えるね】
ファンたちのコメントに、小夜は心底ホッとした。
「小夜、ソファに座ってて。せっかくだから乾杯しよう」
想は小夜にそう言って、とっておきのシャンパンを取り出した。
「乾杯。今夜からよろしくな、俺の奥さん」
「はい。末永くよろしくお願いします」
はにかみながら、小夜は想と乾杯する。
窓の外には綺麗な満月が浮かんでいた。
「あの日、ブルームーンの夜に起きた、小夜との小さな奇跡。それが大きな愛になって、今こうして結ばれた。また巡ってきたブルームーンに見守られて」
「うん。ブルームーンがくれた奇跡を、想が大きな愛に変えてくれた。やっと結婚できた私たちを、ブルームーンが祝福してくれてるみたい」
肩を寄せ合い、月を見ながら二人で静かに語り合う。
「俺と結婚してくれてありがとう、小夜。小夜がいてくれれば、俺の音楽は尽きることがない。俺の小夜への愛と一緒に」
「私こそ。こんな私と結婚してくれてありがとう、想。あなたといれば、私はずっと幸せでいられます。あなたの音楽と愛情に包まれて」
「ああ。俺の愛も音楽も、すべて小夜に捧げる。必ず小夜を幸せにすると誓うよ」
「もう充分幸せです。私も想を幸せにしたい」
「それならずっと俺のそばにいて。ただそれだけでいい」
「はい。なにがあってもあなたをそばで支えます」
微笑み合い、見つめ合って、どちらからともなく顔を寄せる。
そっと交わした口づけは、まるで初めての時のように胸を切なく締めつけた。
ブルームーンの夜に始まった恋。
これから先、あと何回二人でブルームーンを見上げることができるだろう。
でもこれだけは確かだ。
次も、そのまた次も、ブルームーンの夜には二人で一緒に空を見上げる。
更に深まった互いへの愛情を胸に。
そう信じて、二人はまた見つめ合う。
ブルームーンの美しく透明な輝きが、二人をキラキラと明るく照らしていた。
まるで二人を祝福し、永遠の幸せを約束するかのように……。
(完)
週末には小夜のピアノ演奏のあとに二人の時間を過ごした。
想の誕生日、そして小夜の誕生日も一緒にお祝いする。
出逢ったころは二十六歳と二十三歳だった二人は、それぞれ二十八歳と二十五歳になっていた。
想の仕事も好調で、新曲はリリースする度に売り上げランキングトップになる。
知名度も上がり、コンサートやテレビ出演の機会も増え、小夜はますます想に会うのに慎重になっていた。
ひた隠しにしているせいか、想の恋人の噂はいつの間にかなくなっていた。
週刊誌にも、想は自分の車で職場と自宅マンションを行き来するだけの生活と書かれた。
【あれだけ純愛ぶっておいて、あっさり別れたんだね】
【なんかがっかり。ラブソングも急に嘘くさく感じちゃう】
【想にはピュアな愛を貫いてほしかったよね】
そんなSNSのコメントに、想は、くーっ!と身悶えた。
「勝手に破局させるなってーの!」
「まあまあ。落ち着けよ、想」
本田は苦笑いで慰める。
「いい流れじゃないか」
「どこがですか!?」
「だってこれで小夜ちゃんと婚姻届を提出したってなったら、やっぱり純愛を実らせたんだ! ってプラスイメージになる」
「どんなイメージでも俺は小夜と結婚します! なにがあってもそれだけは変わりませんから」
「はいはい。ごちそう様です」
じりじりと身を焦がされる想は、週末に小夜と会う度に、熱い想いをぶつけるように小夜を愛した。
次のブルームーンが現れる日。
ただその日を待ち焦がれながら……。
◇
二〇二八年十二月三十一日の大みそか。
ついにその日を迎えた。
想は歌番組の生出演を終えると、車で小夜のマンションに行く。
小夜を乗せるとそのまま二人で区役所へ向かった。
時間外窓口に、ようやく婚姻届を提出する。
「はい、確かにお預かりしました。不備がなければこのまま受理となります。おめでとうございます」
「ありがとうございます」
お礼を言って、二人で微笑み合う。
手を繋いで駐車場へと戻った。
「これで私も、来栖 小夜になったんだよね」
「ああ。はー、長かった。どれだけこの日を待ちわびたか」
「ごめんなさい。どうしてもファンの人の気持ちが気になって、先延ばしにしてって言い出したりして」
「わかってる。ありがとう、小夜。でも今夜からは絶対に片時も離してやらないからな。覚悟しろ」
冗談とも本気ともつかない脅し文句のような口調で言い、想はグッと小夜の肩を抱く。
はい、と小さく頷くと、想はいきなり小夜の頬にキスをした。
「ちょ、想! こんなところでなにするのよ?」
「いいだろ? 小夜はもう俺の奥さんなんだから」
「でもまだマスコミに発表してないでしょう?」
「ああ、そうか。今、本田さんに連絡する。婚姻届を提出したら、マスコミ各社に一斉にメールでお知らせすることになってるんだ」
想は片手でスマートフォンを操作して、本田に電話をかける。
「もしもし本田さん、お疲れ様です。……はい、無事に提出してきました」
すると小夜の耳にも『おめでとう!』という本田の声が聞こえてきた。
「ありがとうございます。本田さん、マスコミへの発表をよろしくお願いします。年内に間に合いそうですね。……はい、小夜はこのまま俺のマンションに連れて帰りますので。はい、わかりました。それでは」
通話を終えると、想はまたしても小夜の肩を抱き寄せる。
「マスコミがマンションに張り込むだろうから、ちゃんと小夜を守ってやれって。一歩も外に出さないからな、小夜」
「そ、それって、軟禁って言うんじゃ……」
「失礼な。正月休みの三日間、俺がたっぷり愛してやる」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべる想に、小夜はドギマギとうつむく。
これから始まる結婚生活、果たしてこんな調子で身がもつだろうかと真剣に考え込んだ。
◇
本田はすぐに用意してあったコメントを発表したらしく、一気にSNSが賑わう。
想のマンションに着くと、小夜はすぐさまスマートフォンでチェックした。
【シンガーソングライター、想。ついに結婚! 大みそかの婚姻届】
そんな見出しが躍り、コメントが飛ぶように寄せられる。
【え、去年の五月頃に公表した相手とってことだよね?】
【続いてたんだ! てっきり別れたと思ってた】
【そうそう。純愛だって言われてたけど、結局は口先だけだなって思ってたのに】
【なんかよかったよね、結婚してくれて。これで想の曲を、純粋にそのまま受け止められるもん】
【うん。ラブソングもちゃんと想の本当の言葉だって思えるね】
ファンたちのコメントに、小夜は心底ホッとした。
「小夜、ソファに座ってて。せっかくだから乾杯しよう」
想は小夜にそう言って、とっておきのシャンパンを取り出した。
「乾杯。今夜からよろしくな、俺の奥さん」
「はい。末永くよろしくお願いします」
はにかみながら、小夜は想と乾杯する。
窓の外には綺麗な満月が浮かんでいた。
「あの日、ブルームーンの夜に起きた、小夜との小さな奇跡。それが大きな愛になって、今こうして結ばれた。また巡ってきたブルームーンに見守られて」
「うん。ブルームーンがくれた奇跡を、想が大きな愛に変えてくれた。やっと結婚できた私たちを、ブルームーンが祝福してくれてるみたい」
肩を寄せ合い、月を見ながら二人で静かに語り合う。
「俺と結婚してくれてありがとう、小夜。小夜がいてくれれば、俺の音楽は尽きることがない。俺の小夜への愛と一緒に」
「私こそ。こんな私と結婚してくれてありがとう、想。あなたといれば、私はずっと幸せでいられます。あなたの音楽と愛情に包まれて」
「ああ。俺の愛も音楽も、すべて小夜に捧げる。必ず小夜を幸せにすると誓うよ」
「もう充分幸せです。私も想を幸せにしたい」
「それならずっと俺のそばにいて。ただそれだけでいい」
「はい。なにがあってもあなたをそばで支えます」
微笑み合い、見つめ合って、どちらからともなく顔を寄せる。
そっと交わした口づけは、まるで初めての時のように胸を切なく締めつけた。
ブルームーンの夜に始まった恋。
これから先、あと何回二人でブルームーンを見上げることができるだろう。
でもこれだけは確かだ。
次も、そのまた次も、ブルームーンの夜には二人で一緒に空を見上げる。
更に深まった互いへの愛情を胸に。
そう信じて、二人はまた見つめ合う。
ブルームーンの美しく透明な輝きが、二人をキラキラと明るく照らしていた。
まるで二人を祝福し、永遠の幸せを約束するかのように……。
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