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第1章 リアル人狼ゲームへようこそ(1日目)
1ー4 38人のスタート
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シュルティは立ち上がった。
そうだとアディティもニルマラも拳を振り上げる。
「皆いるの? 他にいない人いない?」
ニルマラが言えばざわめきが広がる。
「ルクミニー先生はどちらにいらっしゃいますか!」
天井へ叫ぶスティーブンの声が広間を切る。
「僕たちと同じバスに乗っていらした、皆が大変お世話になっている担任の先生です」
(そういえば……)
「ルクミニー・シャルマ先生とマヤ・チョウドリーさん。ふたりはあなたがたの手の中にいるんですか? もしそうなら丁重な扱いを望みます」
『「リアル人狼ゲーム」のプレイヤーはここにいる38人のみです』
クラス40人のうち校外学習欠席が2人で今日の出席者は38人。
マヤ不在では数が合わない。
「37人のはずです! マヤがいないんですから」
『ただ今通告した通りです。現在ゲーム会場にいる38人が今回ゲームのプレイヤーです。その他ことは私の範疇ではありません』
「違うのっ! マヤはどこ?!」
崩れ込むシュルティの耳に今までの英語ではなくヒンディー語が飛び込んできた。
「何をおっしゃっているのか全然わかりません! わたしは何をすればいいのでしょうか。ヒンディー語で教えていただけないでしょうか?」
テーブル向こうで立ち上がったのは見覚えのないソバカス顔の少年だった。
(そうだ)
トラブルでバス荷物室に閉じ込められてしまった学校雑役夫の子がいた。
彼がいてマヤがいなければ丁度38人。だがー
毛羽だって穴も空いてそうな紺のチェックのシャツの少年が手を擦り合わせるのに男子から声がかかる。
「お前、英語わからないんだな」
頷く彼にスティーブンが歩み寄った。自分が代理で聞くと言い、彼は英語で天井に向かって声を張り上げ、返事を聞いて小さく口を引き結んだ。
「えっと名前何だったか?」
「ラジュー、です」
「お前のことを聞いてみた。うちの学生じゃない部外者で、間違ってバスに閉じ込められて巻き込まれただけだからお前だけでも返してくれないかって頼んだんだが、」
首を横に振る。
その時天井からうるさいほどのファンファーレが響き渡った。
『Now let's start the "Real Werewolf Game"!』
首をすくめたシュルティは次の言葉に動きを止めた。
『なおゲームの勝者に与えられる賞金は2500万ルピーとなります。これは当ゲームご鑑賞の皆さま方からの提供です』
想像も出来ない大金だ。
『総額ではありますが現在のプレイヤー38人で割ってもおよそ65万ルピーです。これから進学を控え何かと物入りな皆様には狙うべき金額ではないでしょうか』
各々の表情の変化を感じとりつつシュルティも想像した。
それだけあれば弟に留学させてやれるかもー
『実際には生き残り栄光の勝者となるのはこの中でもごく一握り、賞金はもっと莫大な金額になります。このゲームのプレイヤーに選ばれた幸運を皆様に伝えられることを大変うれしく思いつつ解説を終わります。Thank you.』
時計は20時10分を指している。その後は誰が何を叫んでももう何も返って来なかった。
「さっきの続きだが、上が言うにはここにいる全員がゲームのプレイヤーだってさ」
スティーブンがラジューに両腕を広げる。
「ゲーム、とは……?」
「僕も内容を再確認したいし英語がわからない人間もいるからヒンディー語で説明し直してくれと言ったんだが『当ゲームの公用語は英語です』で断られた」
少し間をあけて少年は前屈み気味に尋ねる。
「……あの、わたしはどうすれば……」
「誰もわかんねんだよ! オレたち訳わかんない奴に捕まっちまったんだ」
横から男子が吐き捨て、
「そう。僕たちも現状を理解していない。お前に説明しないのは意地悪しているんじゃない」
説くスティーブンにすみませんとラジューは小さく肩を縮める。
「スティーブン! ルールあるぞ」
テーブル上で男子が紙をひらひらとさせる。反射するのはラミネートか。
「英語か?」
「That’s right!」
小さく首を振るラジューにスティーブンは自分も確認しつつ訳すからと言いテーブルに近づく。
「おれも手伝うよ。なあラジュー、お前20番だろ? おれはスレーシュ。19番で同じ部屋みたいだから頼りにしてくれていいぜ」
モニターは案内図が表示されたまま止まっている。
「学生さんと同じお部屋なんて……」
スレーシュの言葉にラジューは震えるように首を横に振る。
そばで18番、彼らと同室のヴィノードも顔をしかめる。それはそうだろう。使用人と主人が同じ部屋で寝るなどあり得ない。少年は自分たちとは年が近いようだから余計だ。
「おれたちを捕まえた悪い奴がそうしろってよ。お前も気づまりだろうし、変えられるかどうかも含めて一緒に確認しようぜ」
スレーシュは親指を立てる。
「シュルティ。まずご飯食べて力付けてその後マヤを探しに行こう」
アディティに腕を取られシュルティはノンベジ食堂へ向かった。
(マヤ。どうしてあなただけいないの)
ルクミニー先生が一緒らしいことがせめてもだがー
女子棟に近い側にあるノンベジ食堂に着く前に、
「ヒャアアアアアアッ!」
引き裂くような悲鳴と、
「オイ! オイっ!」
怒号が聞こえてきた。
そうだとアディティもニルマラも拳を振り上げる。
「皆いるの? 他にいない人いない?」
ニルマラが言えばざわめきが広がる。
「ルクミニー先生はどちらにいらっしゃいますか!」
天井へ叫ぶスティーブンの声が広間を切る。
「僕たちと同じバスに乗っていらした、皆が大変お世話になっている担任の先生です」
(そういえば……)
「ルクミニー・シャルマ先生とマヤ・チョウドリーさん。ふたりはあなたがたの手の中にいるんですか? もしそうなら丁重な扱いを望みます」
『「リアル人狼ゲーム」のプレイヤーはここにいる38人のみです』
クラス40人のうち校外学習欠席が2人で今日の出席者は38人。
マヤ不在では数が合わない。
「37人のはずです! マヤがいないんですから」
『ただ今通告した通りです。現在ゲーム会場にいる38人が今回ゲームのプレイヤーです。その他ことは私の範疇ではありません』
「違うのっ! マヤはどこ?!」
崩れ込むシュルティの耳に今までの英語ではなくヒンディー語が飛び込んできた。
「何をおっしゃっているのか全然わかりません! わたしは何をすればいいのでしょうか。ヒンディー語で教えていただけないでしょうか?」
テーブル向こうで立ち上がったのは見覚えのないソバカス顔の少年だった。
(そうだ)
トラブルでバス荷物室に閉じ込められてしまった学校雑役夫の子がいた。
彼がいてマヤがいなければ丁度38人。だがー
毛羽だって穴も空いてそうな紺のチェックのシャツの少年が手を擦り合わせるのに男子から声がかかる。
「お前、英語わからないんだな」
頷く彼にスティーブンが歩み寄った。自分が代理で聞くと言い、彼は英語で天井に向かって声を張り上げ、返事を聞いて小さく口を引き結んだ。
「えっと名前何だったか?」
「ラジュー、です」
「お前のことを聞いてみた。うちの学生じゃない部外者で、間違ってバスに閉じ込められて巻き込まれただけだからお前だけでも返してくれないかって頼んだんだが、」
首を横に振る。
その時天井からうるさいほどのファンファーレが響き渡った。
『Now let's start the "Real Werewolf Game"!』
首をすくめたシュルティは次の言葉に動きを止めた。
『なおゲームの勝者に与えられる賞金は2500万ルピーとなります。これは当ゲームご鑑賞の皆さま方からの提供です』
想像も出来ない大金だ。
『総額ではありますが現在のプレイヤー38人で割ってもおよそ65万ルピーです。これから進学を控え何かと物入りな皆様には狙うべき金額ではないでしょうか』
各々の表情の変化を感じとりつつシュルティも想像した。
それだけあれば弟に留学させてやれるかもー
『実際には生き残り栄光の勝者となるのはこの中でもごく一握り、賞金はもっと莫大な金額になります。このゲームのプレイヤーに選ばれた幸運を皆様に伝えられることを大変うれしく思いつつ解説を終わります。Thank you.』
時計は20時10分を指している。その後は誰が何を叫んでももう何も返って来なかった。
「さっきの続きだが、上が言うにはここにいる全員がゲームのプレイヤーだってさ」
スティーブンがラジューに両腕を広げる。
「ゲーム、とは……?」
「僕も内容を再確認したいし英語がわからない人間もいるからヒンディー語で説明し直してくれと言ったんだが『当ゲームの公用語は英語です』で断られた」
少し間をあけて少年は前屈み気味に尋ねる。
「……あの、わたしはどうすれば……」
「誰もわかんねんだよ! オレたち訳わかんない奴に捕まっちまったんだ」
横から男子が吐き捨て、
「そう。僕たちも現状を理解していない。お前に説明しないのは意地悪しているんじゃない」
説くスティーブンにすみませんとラジューは小さく肩を縮める。
「スティーブン! ルールあるぞ」
テーブル上で男子が紙をひらひらとさせる。反射するのはラミネートか。
「英語か?」
「That’s right!」
小さく首を振るラジューにスティーブンは自分も確認しつつ訳すからと言いテーブルに近づく。
「おれも手伝うよ。なあラジュー、お前20番だろ? おれはスレーシュ。19番で同じ部屋みたいだから頼りにしてくれていいぜ」
モニターは案内図が表示されたまま止まっている。
「学生さんと同じお部屋なんて……」
スレーシュの言葉にラジューは震えるように首を横に振る。
そばで18番、彼らと同室のヴィノードも顔をしかめる。それはそうだろう。使用人と主人が同じ部屋で寝るなどあり得ない。少年は自分たちとは年が近いようだから余計だ。
「おれたちを捕まえた悪い奴がそうしろってよ。お前も気づまりだろうし、変えられるかどうかも含めて一緒に確認しようぜ」
スレーシュは親指を立てる。
「シュルティ。まずご飯食べて力付けてその後マヤを探しに行こう」
アディティに腕を取られシュルティはノンベジ食堂へ向かった。
(マヤ。どうしてあなただけいないの)
ルクミニー先生が一緒らしいことがせめてもだがー
女子棟に近い側にあるノンベジ食堂に着く前に、
「ヒャアアアアアアッ!」
引き裂くような悲鳴と、
「オイ! オイっ!」
怒号が聞こえてきた。
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