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5 初登校
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あれからアルベルト殿下にはお会いしていない。
こんなに長く顔を見なかったのは初めてだ。
殿下からは、何度も面会の要請が来ているが「まだ体調が回復しないから」と、やんわりお断りしている。
手紙や花束も届くが、執事に開封して貰い、必要な情報だけを伝えて貰っている。
花束は応接室やお父様の執務室など、普段余り私が入らない部屋に飾って貰っている。
家族は当然、私の様子がおかしい事に気付いていて、殿下との間になにかあったのだと分かっているが、まだそっとしておいてくれている。
心配と迷惑をかけて、申し訳ない。
学院の入学の前日、殿下からの手紙で、留学して来た隣国の王女の世話係になってしまった為、約束していた通学時の送り迎えが出来なくなったと知らされた。
少し前までは、殿下と毎日登校できるのを楽しみにしていたのだが・・・・・・。
彼と一緒にいる時間が減る事は、今となっては好都合だ。
学院は四年制なので、お兄様は私の入学と同時に卒業する。
私は一人で通学しても良かったのだが、様子がおかしい私を心配して、従兄妹のフェリクス兄様が一緒に登校しようと申し出てくれた。
「おはよう。リリ、久し振りだな」
「フェリクス兄様、おはようございます。
今日から、よろしくお願いします」
ペコリと下げた頭を、乱暴に撫でられる。
「きゃっ・・・!やめて下さいませ。
髪型が崩れます!」
頬を膨らませて軽く睨むと、兄様はいつもの様に優しい笑みを浮かべた。
「ハハッ!思ったよりは元気そうで安心したよ」
「ご心配おかけして、申し訳ありません」
乱れた髪を手櫛で整えながら、兄様を見上げる。
「いいよ。リリは俺の妹みたいなもんだから、心配するのは当然だろ?」
「ええ。本当の兄より頼りにしてますわ」
「お前の兄貴に聞かれたら、きっと殺されるな」
私は久し振りに心から笑う事が出来た。
昔から、お兄様とフェリクス兄様は、二人で私を守ってくれた。
でも、アルベルト殿下と婚約してからは、フェリクス兄様とは少し距離を置いていたのだ。
いくら従兄妹で兄妹のように育ったとは言え、血の繋がりは薄い。
従兄妹同士であれば結婚も出来るのだから、おかしな噂が立たないとも限らない。
しかし、今回フェリクス兄様と登校するのが許されたと言う事は、お父様達は婚約解消を視野に入れているのかもしれない。
私の様子を見て、継続は難しいと感じているのかも。
「リリアナ?」
学院に到着して、フェリクス兄様に手を貸して貰い馬車を降りたところで、名を呼ばれた。
「アルベルト殿下、ご機嫌よう」
目の前のアルベルト殿下は私達を見て、微かに右の眉を吊り上げた。
見覚えのない女性を連れている。
彼女が隣国の王女だろう。
明るい金髪に、水色の瞳。人形の様に美しい人だった。
「ミランダ王女、こちらリリアナ・ロイエンタール嬢。僕の婚約者です。
お隣は、フェリクス・シャウマン殿。
彼女の従兄妹です」
アルベルト殿下が私達を王女様に紹介してくれる。
彼は、笑みを浮かべているものの、何だか少し不機嫌そうだ。
「リリアナ・ロイエンタールと申します。初めまして、王女殿下」
「へぇ・・・・・・貴女が」
王女殿下は私の事を上から下まで舐めるように見て、ふっと小さく笑った。
女の勘が私に告げる。
彼女はアルベルト殿下の事がお好きなのだと。
私に対する敵意のようなものを、強く感じた。
そんなに威嚇しなくても、彼は私を愛していないのだし、それを知ってしまった私も、彼に執着したりはしないのに。
王女なら、権力だってあるのだから、自分の力でアルベルト殿下を手に入れれば良いじゃないか。
巻き込まないで頂きたい。
「済みませんが、そろそろ入学式が始まりますので失礼します。
・・・リリ、行こう」
フェリクス兄様は、私の手を引くと、大股で講堂へと向かった。
私は慌てて小走りで付いて行く。
「なんなんだ、あの女。
さっさと自国に帰ればいいのに」
眉間に皺を寄せて、憎々し気に呟く兄様。
「不敬ですよ」
一応窘めるポーズは取ったが、私の代わりに怒ってくれるフェリクス兄様に、少し心が温かくなった。
こんなに長く顔を見なかったのは初めてだ。
殿下からは、何度も面会の要請が来ているが「まだ体調が回復しないから」と、やんわりお断りしている。
手紙や花束も届くが、執事に開封して貰い、必要な情報だけを伝えて貰っている。
花束は応接室やお父様の執務室など、普段余り私が入らない部屋に飾って貰っている。
家族は当然、私の様子がおかしい事に気付いていて、殿下との間になにかあったのだと分かっているが、まだそっとしておいてくれている。
心配と迷惑をかけて、申し訳ない。
学院の入学の前日、殿下からの手紙で、留学して来た隣国の王女の世話係になってしまった為、約束していた通学時の送り迎えが出来なくなったと知らされた。
少し前までは、殿下と毎日登校できるのを楽しみにしていたのだが・・・・・・。
彼と一緒にいる時間が減る事は、今となっては好都合だ。
学院は四年制なので、お兄様は私の入学と同時に卒業する。
私は一人で通学しても良かったのだが、様子がおかしい私を心配して、従兄妹のフェリクス兄様が一緒に登校しようと申し出てくれた。
「おはよう。リリ、久し振りだな」
「フェリクス兄様、おはようございます。
今日から、よろしくお願いします」
ペコリと下げた頭を、乱暴に撫でられる。
「きゃっ・・・!やめて下さいませ。
髪型が崩れます!」
頬を膨らませて軽く睨むと、兄様はいつもの様に優しい笑みを浮かべた。
「ハハッ!思ったよりは元気そうで安心したよ」
「ご心配おかけして、申し訳ありません」
乱れた髪を手櫛で整えながら、兄様を見上げる。
「いいよ。リリは俺の妹みたいなもんだから、心配するのは当然だろ?」
「ええ。本当の兄より頼りにしてますわ」
「お前の兄貴に聞かれたら、きっと殺されるな」
私は久し振りに心から笑う事が出来た。
昔から、お兄様とフェリクス兄様は、二人で私を守ってくれた。
でも、アルベルト殿下と婚約してからは、フェリクス兄様とは少し距離を置いていたのだ。
いくら従兄妹で兄妹のように育ったとは言え、血の繋がりは薄い。
従兄妹同士であれば結婚も出来るのだから、おかしな噂が立たないとも限らない。
しかし、今回フェリクス兄様と登校するのが許されたと言う事は、お父様達は婚約解消を視野に入れているのかもしれない。
私の様子を見て、継続は難しいと感じているのかも。
「リリアナ?」
学院に到着して、フェリクス兄様に手を貸して貰い馬車を降りたところで、名を呼ばれた。
「アルベルト殿下、ご機嫌よう」
目の前のアルベルト殿下は私達を見て、微かに右の眉を吊り上げた。
見覚えのない女性を連れている。
彼女が隣国の王女だろう。
明るい金髪に、水色の瞳。人形の様に美しい人だった。
「ミランダ王女、こちらリリアナ・ロイエンタール嬢。僕の婚約者です。
お隣は、フェリクス・シャウマン殿。
彼女の従兄妹です」
アルベルト殿下が私達を王女様に紹介してくれる。
彼は、笑みを浮かべているものの、何だか少し不機嫌そうだ。
「リリアナ・ロイエンタールと申します。初めまして、王女殿下」
「へぇ・・・・・・貴女が」
王女殿下は私の事を上から下まで舐めるように見て、ふっと小さく笑った。
女の勘が私に告げる。
彼女はアルベルト殿下の事がお好きなのだと。
私に対する敵意のようなものを、強く感じた。
そんなに威嚇しなくても、彼は私を愛していないのだし、それを知ってしまった私も、彼に執着したりはしないのに。
王女なら、権力だってあるのだから、自分の力でアルベルト殿下を手に入れれば良いじゃないか。
巻き込まないで頂きたい。
「済みませんが、そろそろ入学式が始まりますので失礼します。
・・・リリ、行こう」
フェリクス兄様は、私の手を引くと、大股で講堂へと向かった。
私は慌てて小走りで付いて行く。
「なんなんだ、あの女。
さっさと自国に帰ればいいのに」
眉間に皺を寄せて、憎々し気に呟く兄様。
「不敬ですよ」
一応窘めるポーズは取ったが、私の代わりに怒ってくれるフェリクス兄様に、少し心が温かくなった。
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