【完結】お荷物王女は婚約解消を願う

miniko

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11 消えた信者達

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あの日、影として付いていた者達は、アンジェリーナの嘆願のお陰で重い処分は受けずに済んだ。
とは言え、長時間正座させられての説教は避けられなかったのだが。


そして、画鋲事件から一週間が経った頃、あのご令嬢達は一人減り二人減り・・・・・・とうとう三人共、学園には来なくなった。

「そう言えば、あの画鋲の時の三人組、最近見かけないわね。
どうしたのかしら?」

アンジェリーナが不思議に思っていた所、マリエッタから情報がもたらされた。

「ああ、あの子達なら退学になったらしいわよ」

相変わらず耳聡いマリエッタである。

「退学・・・・・・」

貴族の子女が王立学園に通うのはこの国の義務である。
つまり退学になるという事は、貴族籍を剥奪され家を追い出されたのか、家門が潰れたのかのどちらかだろうとアンジェリーナは予想した。

(やはり、お兄様達かエル兄様が何かしたのよね・・・)

そう思ってゾクリと背筋が寒くなるアンジェリーナ。
何をどうしたのか、具体的な事は出来れば考えたく無い。
触らぬ神に祟りなし。

あの三人娘に関しては、実はアンジェリーナの頭に浮かんでいるよりもかなりが行われたのだが、優しい彼女にそれを知らせる者はいない。


思い返せば入学以来、数人の生徒が学園を去り、そのうちの何人かの家は不正が暴かれ、当主が交代になったり家門まで潰れたりしている。
どの家も熱心なルーナリア教徒ばかりだ。
同じ宗教を信じる家ばかりが立て続けに検挙されるのは異例の事態であり、ともすれば宗教弾圧だと言われかねない状況なのだが、その罪状はしっかりしていて証拠も充分なので、今の所反発の声は上がっていない。



実は、公爵家の目が届きにくい学園内を狙って、アンジェリーナを害そうとする生徒は今迄もそれなりに居たのだ。
しかし、アンジェリーナ本人も察していた通り、その暴挙は影が未然に防いでおり、兄王子達に報告を上げていた。
報告を受けた兄達は、その生徒の家を徹底的に調べ上げ、不正を見つけては断罪して来た。

ルーナリア教の熱心過ぎる信者達は、教団に多額の献金をしている者が多い。
その為に脱税や横領や密輸入など、不正な手段で大金を稼いでいる場合があるのだ。

何も無い所から巧妙に隠された不正を見つけるのは難しいが、調べる家が限定されれば不可能ではない。
アンジェリーナに手を出す者を調べれば、高確率で不正が見つかる。
彼女を守る事も出来て、犯罪者も捕縛出来るので一石二鳥だ。

彼等も教団の資金源として利用されているという点ではある意味被害者と言えるのかもしれないが、不正を働き、あまつさえ王女を害そうとした時点で大罪人となり、保護の対象では無くなってしまった。
同情出来る部分も多少はあるが、自業自得でもある。


資金源が徐々に減っていくルーナリア教団の幹部達は焦っていた。
彼等は何も王女をどうにかしようだなんて、大それた事を考えてなどいない。
寧ろ、暴走する狂信者を制御し切れずに困っているのが実状なのだ。
だが、それも、不安を煽り献金を増やす目的で、長年に渡って過激な思想を信者達に植え付けて来た自分達の責任である。


ルーナリア教団の中にも、信仰によって信者達の心を救いたいと考えるまともな人間がいない訳ではないのだが、残念ながら現状教団を支配しているのは、自己の利益しか考えない人間達であった。


しかし、その幹部達の力は少しづつ削がれている。
彼等が失脚するのも、時間の問題だろう。




因みにルーナリア教とは無関係だが、マッシモの様に嫌がるアンジェリーナにしつこく付き纏う令息や、明らかに持参金目当ての令息達も皆、しばらくするといつの間にか彼女に近付かなくなる。
それらは全てエルヴィーノが裏で糸を引いていた。
どんな人間にも、暴かれたく無い秘密の一つや二つはある物。
流石に家門を潰される事は無いけれど、エルヴィーノが一部の貴族から密かに恐れられているのは言うまでも無い。

なお、こちらに関しては、アンジェリーナは全く気付いていない。
単純に自分が令息達に飽きられたのだろうと思っているのである。


今日もまた、一人の男子生徒を密かに排除したエルヴィーノは、素知らぬ顔でアンジェリーナに微笑み掛ける。
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