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第三十八話 念願の勉強を
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アルフレッド様やフェルト殿下と一緒に朝食を済ませた後、私は自室に待機しているように言われた。なので、言われた通りに自室にいると、とある女性がやってきた。
金色の長い髪と綺麗な顔立ちが特徴的な彼女は、全身を包むローブ、そして大きなつばのとんがり帽子を身に着けており、いかにも魔法使いといった風貌だ。
「はじめまして、セリア様。私はアルフレッド様の魔法の教師をしております、レイラと申します。本日から、アルフレッド様の命により、あなた様に魔法の授業をさせていただきます」
魔法の授業ですって……!? アルフレッド様、こんなに早く魔法の勉強の場を設けてくれるだなんて!
私には、一生縁がないと思っていた魔法の勉強が出来るだなんて、夢みたい!
「お初にお目にかかります、レイラ様。セリア・カルネシアラですわ」
独りで盛り上がっていたら、変に思われるかと思って、いつもの癖で、ついフルネームで名乗ってしまったけど、今の私は既に祖国を出て、アルフレッド様と婚約をしているのだから、カルネシアラを名乗るのは不自然だったかもしれない。
そうなると、ソリアンを名乗ることに……えへへ、アルフレッド様と結婚して、ソリアンを名乗る……えへへ……。
「授業の前にお伺いしますが、魔法の勉強はどれほど受けられておりましたか?」
「実は、一切経験がありませんの」
「そうでしたか。では、使える魔法はございますか?」
「初歩の初歩なら。あと、物を動かす魔法を少々……」
「かしこまりました。では、午前の授業は初級の座学を行い、午後の授業は実技を行いましょう」
レイラ様から手渡されたものは、私がずっと読みたくても、触らせてすらもらえなかった、魔法の勉強に使う魔導書だった。
私が、これを手に取る日が来るだなんて。やっぱり、これは夢じゃないだろうか? いくら現実だと自分に言い聞かせても、実感がいつまでたっても沸いてこない。
「では、最初の一ページを開いてください」
言われた通りに、ぺらりとページをめくると、そこには魔法について色々な項目をまとめた目次だった。
どれだけかかるかは、全然わからないけど、今からこの本の内容が勉強できると考えると、ワクワクが止まらないわ……!
****
レイラ様の分かりやすい午前の授業を終えた私は、リズと合流して、一緒にバルコニーで昼食をいただいた。
今日は、私が好きなサンドウィッチを用意してくれたようだ。色とりどりで、とてもおいしかった。正直、ちょっと食べ過ぎてしまったかもしれない。
……最近、毎食食べ過ぎたって思っている気がする。これでは太ってしまうわ……それでアルフレッド様に嫌われてしまったら、絶対に後悔する。食べる量には気をつけないと。
「セリア様、この後も授業ですよね?」
「ええ」
「わたし、少し時間があるので、見学してもいいですか?」
「恐らく大丈夫かと。行って聞いてみましょう」
私は、魔法の練習場である広場に先に来ていたレイラ様に話をすると、快く引き受けてくれた。
「では、これから先程の座学で得た知識を使った実技です。座学で教えた通り、ここでやってみて――」
「レイラ、僕にも彼女に魔法を教えても良いかい?」
授業の間に割って入ってきたのは、いたずら小僧のように楽しそうに笑う、アルフレッド様だった。
「アルフレッド様、来てくださったのですね!」
「僕は約束を守る男だからね。レイラ、僕にも彼女に魔法を教えさせてくれないかな?」
「……アルフレッド様。お言葉ですが、あなたに魔法を教えることが出来るとは、到底思えないのですが」
「そ、そんなことはないぞ! ほらセリア様、見ていてくれ!」
アルフレッド様は、頭上に巨大な赤い魔法陣を描いた直後に、魔法陣から無数の火の玉? のようなものが空に伸びていき……色とりどりの炎となって、爆発するように散っていった。
「すっご~い……!」
「綺麗……確か、今のは花火というのですよね?」
「そう。我が祖国に伝わる文化さ。君に一度見せたくてさ。本当は夜にやるものだけど、昼にやってはいけない決まりはないからね」
「そうだったのですね。私にも出来るでしょうか?」
「もちろんさ! だが、まずは初級から頑張ろう! 初級は、ドーンとして、バーンで、ズドドーン……!!」
「ドーンとして、バーンで、ズドドーン……??」
「その通り! さあ、セリア様もやってみるといいよ!」
「えーっと……?? ど、ドーン! バーン! ズドドーン!!」
アルフレッド様の説明が、あまりにも……なんていうか、高度なものすぎて理解できなかった私は、とりあえずアルフレッド様の仰った言葉を言いながら、炎の魔法を使ってみる。
……当然、魔法は全く発動せず、残ったのは形容し難い恥ずかしさだけだった。
「うーん、今回は失敗だったけど、次はうまくいくさ! 何事も諦めない心が肝心!」
「セリア様に今一番必要なものは、正確な学びです。あなた様のように、感覚で魔法を使えるお方はおりませんので、余計な口出しはしないでください」
「うぐっ……わ、わかったよ」
……レイラ様に完全に言い負かされてしょんぼりするアルフレッド様、可愛らしくて、胸がキュンキュンしてしまう。抱きしめて、よしよししてあげたい。
「ではセリア様。改めまして、授業を再開しましょう。座学でやった通りに魔力をコントロールして魔法陣を描き、魔法を発動させてください」
今度こそ魔法を発動させるために、初歩の魔法を順番にやっていくが、中々うまくいかない。ろうそくに火をつけたり、水を動かしたり、岩を出したりといった、初歩の魔法なのに……。
「セリア様、すごいぞー! その感じをキープだ!!」
え、アルフレッド様? どう見ても凄くは……いえ、ふてくされていないで、次の魔法をやるのよ。継続は力!
「はぁぁぁぁぁ!!」
「いいじゃないか! 滴る汗が、まるでダイヤモンドのような輝きを放っているぞ! 初めての授業でそんなに出来るなんて、セリア様は天才だったか! くぅ……美人で愛らしくて魔法の才能まであるなんて……神はどれだけ与えたというんだ!?」
「あっ……またうまくいかなかった……」
「失敗なんて気にするな! 失敗は成功の母という! 俺も何千も失敗している! だから失敗を恐れるな! 大丈夫、気になるようなら僕と一緒に笑えば解決だ!」
さっきから、アルフレッド様の褒め方が……尋常じゃない! こんなに褒められたことなんて無いせいで、嬉しいけど恥ずかしくて、体がむずむずしてくる!
ああもうっ! 嬉しすぎてくっつきたくなっちゃう! でも、せっかく来てくれたレイラ様に迷惑はかけたくないし!
「リズ嬢も、一緒に大きな声で応援しよう!」
「お任せください! セリア様、がんばれぇぇぇ!!」
「うおおおおお! セリア様、最高だぁぁぁぁぁ!!」
「いけいけセリア様! がんばれがんばれセリア様~!」
「……あの、お二人共。応援するのは良いのですが、あまり大きな声は、彼女の集中力を乱すだけですが……」
「「がんばれ、セリア様ぁぁぁぁ!!」」
「聞いてませんわね……はぁ」
金色の長い髪と綺麗な顔立ちが特徴的な彼女は、全身を包むローブ、そして大きなつばのとんがり帽子を身に着けており、いかにも魔法使いといった風貌だ。
「はじめまして、セリア様。私はアルフレッド様の魔法の教師をしております、レイラと申します。本日から、アルフレッド様の命により、あなた様に魔法の授業をさせていただきます」
魔法の授業ですって……!? アルフレッド様、こんなに早く魔法の勉強の場を設けてくれるだなんて!
私には、一生縁がないと思っていた魔法の勉強が出来るだなんて、夢みたい!
「お初にお目にかかります、レイラ様。セリア・カルネシアラですわ」
独りで盛り上がっていたら、変に思われるかと思って、いつもの癖で、ついフルネームで名乗ってしまったけど、今の私は既に祖国を出て、アルフレッド様と婚約をしているのだから、カルネシアラを名乗るのは不自然だったかもしれない。
そうなると、ソリアンを名乗ることに……えへへ、アルフレッド様と結婚して、ソリアンを名乗る……えへへ……。
「授業の前にお伺いしますが、魔法の勉強はどれほど受けられておりましたか?」
「実は、一切経験がありませんの」
「そうでしたか。では、使える魔法はございますか?」
「初歩の初歩なら。あと、物を動かす魔法を少々……」
「かしこまりました。では、午前の授業は初級の座学を行い、午後の授業は実技を行いましょう」
レイラ様から手渡されたものは、私がずっと読みたくても、触らせてすらもらえなかった、魔法の勉強に使う魔導書だった。
私が、これを手に取る日が来るだなんて。やっぱり、これは夢じゃないだろうか? いくら現実だと自分に言い聞かせても、実感がいつまでたっても沸いてこない。
「では、最初の一ページを開いてください」
言われた通りに、ぺらりとページをめくると、そこには魔法について色々な項目をまとめた目次だった。
どれだけかかるかは、全然わからないけど、今からこの本の内容が勉強できると考えると、ワクワクが止まらないわ……!
****
レイラ様の分かりやすい午前の授業を終えた私は、リズと合流して、一緒にバルコニーで昼食をいただいた。
今日は、私が好きなサンドウィッチを用意してくれたようだ。色とりどりで、とてもおいしかった。正直、ちょっと食べ過ぎてしまったかもしれない。
……最近、毎食食べ過ぎたって思っている気がする。これでは太ってしまうわ……それでアルフレッド様に嫌われてしまったら、絶対に後悔する。食べる量には気をつけないと。
「セリア様、この後も授業ですよね?」
「ええ」
「わたし、少し時間があるので、見学してもいいですか?」
「恐らく大丈夫かと。行って聞いてみましょう」
私は、魔法の練習場である広場に先に来ていたレイラ様に話をすると、快く引き受けてくれた。
「では、これから先程の座学で得た知識を使った実技です。座学で教えた通り、ここでやってみて――」
「レイラ、僕にも彼女に魔法を教えても良いかい?」
授業の間に割って入ってきたのは、いたずら小僧のように楽しそうに笑う、アルフレッド様だった。
「アルフレッド様、来てくださったのですね!」
「僕は約束を守る男だからね。レイラ、僕にも彼女に魔法を教えさせてくれないかな?」
「……アルフレッド様。お言葉ですが、あなたに魔法を教えることが出来るとは、到底思えないのですが」
「そ、そんなことはないぞ! ほらセリア様、見ていてくれ!」
アルフレッド様は、頭上に巨大な赤い魔法陣を描いた直後に、魔法陣から無数の火の玉? のようなものが空に伸びていき……色とりどりの炎となって、爆発するように散っていった。
「すっご~い……!」
「綺麗……確か、今のは花火というのですよね?」
「そう。我が祖国に伝わる文化さ。君に一度見せたくてさ。本当は夜にやるものだけど、昼にやってはいけない決まりはないからね」
「そうだったのですね。私にも出来るでしょうか?」
「もちろんさ! だが、まずは初級から頑張ろう! 初級は、ドーンとして、バーンで、ズドドーン……!!」
「ドーンとして、バーンで、ズドドーン……??」
「その通り! さあ、セリア様もやってみるといいよ!」
「えーっと……?? ど、ドーン! バーン! ズドドーン!!」
アルフレッド様の説明が、あまりにも……なんていうか、高度なものすぎて理解できなかった私は、とりあえずアルフレッド様の仰った言葉を言いながら、炎の魔法を使ってみる。
……当然、魔法は全く発動せず、残ったのは形容し難い恥ずかしさだけだった。
「うーん、今回は失敗だったけど、次はうまくいくさ! 何事も諦めない心が肝心!」
「セリア様に今一番必要なものは、正確な学びです。あなた様のように、感覚で魔法を使えるお方はおりませんので、余計な口出しはしないでください」
「うぐっ……わ、わかったよ」
……レイラ様に完全に言い負かされてしょんぼりするアルフレッド様、可愛らしくて、胸がキュンキュンしてしまう。抱きしめて、よしよししてあげたい。
「ではセリア様。改めまして、授業を再開しましょう。座学でやった通りに魔力をコントロールして魔法陣を描き、魔法を発動させてください」
今度こそ魔法を発動させるために、初歩の魔法を順番にやっていくが、中々うまくいかない。ろうそくに火をつけたり、水を動かしたり、岩を出したりといった、初歩の魔法なのに……。
「セリア様、すごいぞー! その感じをキープだ!!」
え、アルフレッド様? どう見ても凄くは……いえ、ふてくされていないで、次の魔法をやるのよ。継続は力!
「はぁぁぁぁぁ!!」
「いいじゃないか! 滴る汗が、まるでダイヤモンドのような輝きを放っているぞ! 初めての授業でそんなに出来るなんて、セリア様は天才だったか! くぅ……美人で愛らしくて魔法の才能まであるなんて……神はどれだけ与えたというんだ!?」
「あっ……またうまくいかなかった……」
「失敗なんて気にするな! 失敗は成功の母という! 俺も何千も失敗している! だから失敗を恐れるな! 大丈夫、気になるようなら僕と一緒に笑えば解決だ!」
さっきから、アルフレッド様の褒め方が……尋常じゃない! こんなに褒められたことなんて無いせいで、嬉しいけど恥ずかしくて、体がむずむずしてくる!
ああもうっ! 嬉しすぎてくっつきたくなっちゃう! でも、せっかく来てくれたレイラ様に迷惑はかけたくないし!
「リズ嬢も、一緒に大きな声で応援しよう!」
「お任せください! セリア様、がんばれぇぇぇ!!」
「うおおおおお! セリア様、最高だぁぁぁぁぁ!!」
「いけいけセリア様! がんばれがんばれセリア様~!」
「……あの、お二人共。応援するのは良いのですが、あまり大きな声は、彼女の集中力を乱すだけですが……」
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