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第十六話 やっぱりこれってデートなんじゃ……?
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「お待たせ、きつねうどん二つね!」
「ありがとうございます。これがきつねうどんか……とてもおいしそうだ」
エルヴィン様の嘘に少し疑問を持ちつつも、お喋りをして過ごしていると、待望のきつねうどんがやってきた。
この透き通った汁にコシのある麺、そして出汁をたっぷり吸った二枚のおあげが、本当に最高なんだよ! しかも凄く安い! まさに庶民の味方!
「この箸というものでいただくんだよね」
「お箸、使ったことがないんですか?」
「ああ。もっぱらフォークとナイフばかりだ。だが、せっかく来たのだから、その場に相応しい食べ方で食べたいからね。なに、食べ方は周りの人を見たから問題ない。では……いただきます」
プルプルと箸を震わせ、何度も麺にするりと逃げられながらも、なんとか口に持っていったエルヴィン様の表情が、パッと明るくなった。
「おいしい! 弾力がある麺も良いが、このスープが本当に素晴らしい!」
麺、出汁という順番に食べたエルヴィン様の絶賛の言葉を聞いてたら、自分のことのように嬉しくなってしまった。
「そうなんですよ! その出汁……えっと、スープをおあげにたっぷり吸わせて食べると、格別ですよ!」
「それは聞き捨てならないね。では早速……おお、おあげの中から甘いスープが染み出てきた!」
「えへへ、喜んでもらえて嬉しいです! 私も食べよっと! いただきますっ! ん~~~~っ!!」
いの一番に大好物のおあげを一口で頬張ると、もう言葉では表せないくらいの幸せが口いっぱいに広がって……あいている手をブンブンと振って喜びを表現した。
「ふふっ……アイリーンは可愛いなぁ」
「本当に、ここのきつねうどんは最高です! って……何か言いましたか?」
「アイリーンは可愛いって言ったのさ」
「ふへぇ!?」
急にそんなことを言われたら、ビックリしてお皿をひっくり返しちゃうよ。
エルヴィン様ってば、時と場合を選んでほしい……あれ、これだと状況次第なら、可愛いって言われても良いってことのような……わ、私ってばなんてはしたないことを!?
「よければ、僕のおあげを食べるかい?」
「いいんですか!? じゃなくて……そ、それはエルヴィン様の分ですから……じゅるり……」
「あはは、僕の分はまだ残してあるからね。ほら、あーん」
「あー……あっ!?」
目の前に出されたおあげの誘惑に負けて、口を開けた瞬間に……自分がされていることに気が付いて、固まってしまった。
これって、どうみても恋人同士がイチャイチャしているようにしか見えないような……はっ!? た、大将と奥さんが凄くニヤニヤしながら、こっちを見てる! 他の常連さん達からも、微笑ましい笑顔で見られてるー!?
「せっかくおいしいのに、冷めたら勿体ないよ。ほら」
「……あ、あーん……」
まだ持ち慣れていなくてプルプルしている箸で差し出されたおあげを、パクッと一口で食べる。
……うん、緊張しすぎて味が全然わからない……緊張しすぎると、こんなに味ってわからなくなるものなんだ……。
「まだあるから、全部食べてもいいよ」
「お、お気持ちだけで結構です。エルヴィン様も食べてください」
「そうかい? なら、また今度来た時もわけてあげるよ」
私が緊張している間に、次の予定を立てられてしまった。嬉しいような、恥ずかしいような……そんなことを思っていると、エルヴィン様は再びうどんを口にした。
まだ数分しか使ってないのに、確実に箸の扱い上手くなっているのは、さすがだなぁ……ん? 箸……?
「あっ……!」
そうだよ! その箸は、さっき私にあーんをした時に使った箸だ! それを何も気にせずに自分で使ってるってことは……か、かか、関節的なアレだよね……!?
「アイリーン、どうしてそんなに顔が真っ赤なんだい? 僕、何か照れさせるようなことを言ったかな?」
「お、おお、お気になさらず! あ~、今日も大将のきつねうどんはおいしいなぁ~!」
「よくわからないけど……可愛いからいいか」
なにかエルヴィン様が呟いていたけど、全く耳に入らないまま、私はうどんを食べ続けた。
――その後、お会計をどちらがするか少し揉めたり、大将と女将さんにこれ以上イチャラブ成分を取り入れさせるなと、からかわれたりしたけど、とても良い気分転換になった。
****
編入試験を受けてから一週間後、ついにこの日が訪れた。
予定通りなら、今日学園から結果の通知が送られてくるはずだ。
「き、緊張で心臓が口から出そう……」
「大丈夫さ。落ち着いて結果を待とう」
「そ、そそそ、そうだぞアイリーン! パパみたいに、どーんと構えて待ってればいいんりゃぞ!」
「パパが一番緊張しているじゃない。しっかりしなさいな」
家のリビングに、家族一同とエルヴィン様が集まる中、私は緊張で高鳴る胸を抑える。
今日は日曜日ということもあり、エルヴィン様はわざわざ朝から来てくれて、こうして一緒に結果を待ってくれている。
もちろんパパとママが一緒にいてくれて心強いんだけど、エルヴィン様が加わると、それが何十倍にも強く感じられるから不思議だ。
「すみませ~ん、郵便です~」
「き、来た!」
郵便屋さんの声にいち早く反応して飛び上がり、そのままの勢いで郵便物を受け取る。この中に、合否がかかれた紙が入っているはず。
「あ、開けるね」
お願い、たくさん応援してくれた人達に報いるために、そして私の夢のために、奇跡が起こって合格になってて……!
「ありがとうございます。これがきつねうどんか……とてもおいしそうだ」
エルヴィン様の嘘に少し疑問を持ちつつも、お喋りをして過ごしていると、待望のきつねうどんがやってきた。
この透き通った汁にコシのある麺、そして出汁をたっぷり吸った二枚のおあげが、本当に最高なんだよ! しかも凄く安い! まさに庶民の味方!
「この箸というものでいただくんだよね」
「お箸、使ったことがないんですか?」
「ああ。もっぱらフォークとナイフばかりだ。だが、せっかく来たのだから、その場に相応しい食べ方で食べたいからね。なに、食べ方は周りの人を見たから問題ない。では……いただきます」
プルプルと箸を震わせ、何度も麺にするりと逃げられながらも、なんとか口に持っていったエルヴィン様の表情が、パッと明るくなった。
「おいしい! 弾力がある麺も良いが、このスープが本当に素晴らしい!」
麺、出汁という順番に食べたエルヴィン様の絶賛の言葉を聞いてたら、自分のことのように嬉しくなってしまった。
「そうなんですよ! その出汁……えっと、スープをおあげにたっぷり吸わせて食べると、格別ですよ!」
「それは聞き捨てならないね。では早速……おお、おあげの中から甘いスープが染み出てきた!」
「えへへ、喜んでもらえて嬉しいです! 私も食べよっと! いただきますっ! ん~~~~っ!!」
いの一番に大好物のおあげを一口で頬張ると、もう言葉では表せないくらいの幸せが口いっぱいに広がって……あいている手をブンブンと振って喜びを表現した。
「ふふっ……アイリーンは可愛いなぁ」
「本当に、ここのきつねうどんは最高です! って……何か言いましたか?」
「アイリーンは可愛いって言ったのさ」
「ふへぇ!?」
急にそんなことを言われたら、ビックリしてお皿をひっくり返しちゃうよ。
エルヴィン様ってば、時と場合を選んでほしい……あれ、これだと状況次第なら、可愛いって言われても良いってことのような……わ、私ってばなんてはしたないことを!?
「よければ、僕のおあげを食べるかい?」
「いいんですか!? じゃなくて……そ、それはエルヴィン様の分ですから……じゅるり……」
「あはは、僕の分はまだ残してあるからね。ほら、あーん」
「あー……あっ!?」
目の前に出されたおあげの誘惑に負けて、口を開けた瞬間に……自分がされていることに気が付いて、固まってしまった。
これって、どうみても恋人同士がイチャイチャしているようにしか見えないような……はっ!? た、大将と奥さんが凄くニヤニヤしながら、こっちを見てる! 他の常連さん達からも、微笑ましい笑顔で見られてるー!?
「せっかくおいしいのに、冷めたら勿体ないよ。ほら」
「……あ、あーん……」
まだ持ち慣れていなくてプルプルしている箸で差し出されたおあげを、パクッと一口で食べる。
……うん、緊張しすぎて味が全然わからない……緊張しすぎると、こんなに味ってわからなくなるものなんだ……。
「まだあるから、全部食べてもいいよ」
「お、お気持ちだけで結構です。エルヴィン様も食べてください」
「そうかい? なら、また今度来た時もわけてあげるよ」
私が緊張している間に、次の予定を立てられてしまった。嬉しいような、恥ずかしいような……そんなことを思っていると、エルヴィン様は再びうどんを口にした。
まだ数分しか使ってないのに、確実に箸の扱い上手くなっているのは、さすがだなぁ……ん? 箸……?
「あっ……!」
そうだよ! その箸は、さっき私にあーんをした時に使った箸だ! それを何も気にせずに自分で使ってるってことは……か、かか、関節的なアレだよね……!?
「アイリーン、どうしてそんなに顔が真っ赤なんだい? 僕、何か照れさせるようなことを言ったかな?」
「お、おお、お気になさらず! あ~、今日も大将のきつねうどんはおいしいなぁ~!」
「よくわからないけど……可愛いからいいか」
なにかエルヴィン様が呟いていたけど、全く耳に入らないまま、私はうどんを食べ続けた。
――その後、お会計をどちらがするか少し揉めたり、大将と女将さんにこれ以上イチャラブ成分を取り入れさせるなと、からかわれたりしたけど、とても良い気分転換になった。
****
編入試験を受けてから一週間後、ついにこの日が訪れた。
予定通りなら、今日学園から結果の通知が送られてくるはずだ。
「き、緊張で心臓が口から出そう……」
「大丈夫さ。落ち着いて結果を待とう」
「そ、そそそ、そうだぞアイリーン! パパみたいに、どーんと構えて待ってればいいんりゃぞ!」
「パパが一番緊張しているじゃない。しっかりしなさいな」
家のリビングに、家族一同とエルヴィン様が集まる中、私は緊張で高鳴る胸を抑える。
今日は日曜日ということもあり、エルヴィン様はわざわざ朝から来てくれて、こうして一緒に結果を待ってくれている。
もちろんパパとママが一緒にいてくれて心強いんだけど、エルヴィン様が加わると、それが何十倍にも強く感じられるから不思議だ。
「すみませ~ん、郵便です~」
「き、来た!」
郵便屋さんの声にいち早く反応して飛び上がり、そのままの勢いで郵便物を受け取る。この中に、合否がかかれた紙が入っているはず。
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