【完結】さようなら、婚約者様。私を騙していたあなたの顔など二度と見たくありません

ゆうき

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第二十三話 現実を知らしめてあげる

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 翌日、セレクディエ学園の本格的な授業を受けた私は、とても上機嫌になっていた。

 だって、ずっとずっと憧れていた学園での初めての授業だよ? こんなの、ワクワクしないわけがない。
 まだどの授業も、簡単に今後についての説明ばかりだったのに、今からこの調子で大丈夫なのだろうか?

「アイリーン、お疲れ様。今日の授業はどうだったかな? とはいって、説明ばかりだったけど……」

「最高でしたよ! これからどんなことを学べるんだろうとか、どんな経験が出来るんだろうかとか考えると、ワクワクしちゃって!」

「そ、そうか。満足そうでなによりだよ」

 鼻息を荒くしながら答えてしまったせいで、エルヴィン様やクラスメイト達が、若干引き気味になっている。

 私としたことが、さすがに今のは恥ずかしい。少し落ち着かないと……すー……はー……よしっ。

「そうだ、今日こそ学園の案内をしてあげたいんだけど、どうかな?」

「いいのですか? 今日は用事とかは……」

「夜にパーティーがあるから、それに参加する必要があるくらいだね。だから、まだ時間はあるよ」

「そうなんですね。では……お願いできますか?」

「ああ、任せてくれ!」

 今日もエルヴィン様と仲良くさせてもらっているのが気にいらないのか、昨日と同じようにヒソヒソとこちらを見ながら話す声や、妬みの視線を向ける人がいる。

 その中には、昨日私達に話しかけて来てくれた、ソーニャちゃんのものもあった。

 おろおろしているけど、私のことを心配するようなその視線は、私の視線とぶつかると、慌てて逸らした。
 そして、逃げるように帰りの支度をしてその場を去る――つもりだったようだが、つまづいてカバンをひっくり返してしまった。

「あっ! だいじょう――」

「うぅ~……!!」

 涙目になりながらも、驚く程て慣れた手つきでカバンから出てしまった物を中に入れ直すと、彼女は教室を後にしてしまった。

 なんだろう、怖がられているのかな……何かした覚えは無いんだけど……もしかして、昨日のゲオルク様達との絡みを見られて、怖い人って思われてるとか?

 ……それはそれで、ちょっとショックかも。自分でしたことなんだから、自業自得と言われたらそれまでだけど。

「あの子、アイリーンに何か用でもあるのかな? 授業中もチラチラ見てたね」

「そうなんですか? 一番前なので、わかりませんでした」

 要注意人物として、警戒されているのだろうか……さすがにそれは、被害妄想が過ぎるかな……そんなことを思ってるのなら、助けてくれるわけがないし……。


■ミア視点■


 面倒な学園生活が再開されてから二日目の放課後、あたしはテラスの椅子に座って、お兄様とお姉様がそれぞれの用事が終わるのを待ちながら、いつもの遊びをしていた。

「ミア様、お飲み物をお持ちしました!」

「あっ、ありがとぉ~! これ、新学期から食堂で新発売した最新作だ! すっごく嬉しい~!」

「ミアちゃん、これから俺とデートしない? 夜景の綺麗なレストラン、予約しておいたんだ!」

「わぁ、凄く素敵だね! でもごめん、今日は習い事が夜からあってぇ~……」

 習い事なんて、もちろん嘘だよ。こいつの顔、あたしの好みじゃないし、軽い感じの男って嫌いなの。

 こんな男に関わってるくらいなら、お姉様とお買い物に行ったり、お兄様とお茶をした方が、何億倍もマシだよ。

 あ、ちなみに遊びというのは、あたしのことを可愛いとか言ってくれたり、ちやほやしてくれる男達に媚びを売って、お姫様気分を味わうものだよ。

 あたしが超絶可愛いから仕方がないんだけど、ちょっと愛嬌を振りまくだけで勘違いする男達が面白くて、やめられないんだよね~。

 おかげで、一部の女子達からは、ぶりっ子とか言われて物凄く嫌われてるけど、知ったことじゃない。顔も心もブスな雑魚の相手をするほど、あたしは暇じゃないの。

「恨めしい……私のエルヴィン様なのに……あの泥棒狐……許せない……」

「ちょっと、勝手にあんたの物にしないで頂戴! エルヴィン様は、私達エルヴィンファンクラブみんなの物ですわ!」

 あれ、あそこで話している女達って、たしかエルヴィンくんにキャーキャー言っている子達だよね?

 よほどアイリーンのことが気にいらないのか、凄い負のオーラを出しながら、恨み言をブツブツと言っているね。

 ……これは、上手くやれば利用できそうじゃん。
 最近のアイリーン、何を勘違いしているのか、すっごく調子に乗ってるから、自分は弱者だって改めて教えてあげないと! う~ん、あたしってば優しい~!

「みんな、ちょっとあたし用事が出来ちゃったから、先に帰ってくれないかなぁ?」

「用事なら仕方ありませんね。ミア様、また明日!」

「今度こそ、一緒にディナーに行こうぜ」

「考えておくね~」

 後で邪魔になりそうな男どもを追い払ってから、あたしは呪詛を振りまいている女子生徒達の元へと向かった。

「ねえねえ、ちょっといい?」

「えっ……? あれ、ミア先輩。おつかれさまです」

「どうかされたのですか? わたくし達、エルヴィン様にたかる邪魔な虫を駆除するために、相談しておりますの」

「そのことについて、あたしも混ぜてほしいな~って。あたしも、アイリーンに一泡吹かせたいんだよねぇ」

 あくまであたしは味方だよ、そんな雰囲気を出しながら声をかける。それでころっと騙されたバカな女たちは、あたしを仲間に引き入れた。

 ほんと、バカな人間って御しやすくていい。あんた達は、あたしの便利な駒にしてあげるからね~。

 ……あっ、そうだ! このことをお姉様にも教えてあげよっと! お姉様もアイリーンに対してイライラしてたみたいだから、きっと快く協力してくれるよね!

 本当は、お兄様にも協力してもらいたいけど、生徒会の仕事で忙しいだろうし……あとでこういうことがあったって報告だけにしておこうかな?
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