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第二十七話 変身魔法
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学園長だと思っていた人の姿が、エルヴィン様に変化した。目の前で起こったのはそれだけだというのに、何十何百という情報が叩き込まれたかのように、私の頭は混乱していた。
「え、えぇ……? 本当にエルヴィン様……??」
「ああ、エルヴィンだよ。驚かせてすまなかった」
「……え、エルヴィン様!!」
エルヴィン様の言葉は、一切の嘘が入ってなかった。それは、私を窮地から助けてくれたのが、エルヴィン様だったことの証明だった。
それがわかった私は、危ないところから助けてくれた感謝や嬉しさ、そして安心も相まって、エルヴィン様に抱きついてしまった。
「怖かったね。もう大丈夫だよ」
「うぅ……あ、ありがとうございます……」
突然抱きついたにも関わらず、エルヴィン様は私のことを抱きしめ返してくれた。
――その後、エルヴィン様は私が泣き止むまで、何も言わずにそのまま抱きしめてくれていた。
「ずびっ……ごめんなさい、エルヴィン様。もう大丈夫です」
「そうかい? 遠慮しないで、もっと僕の腕の中を堪能してくれていいんだよ?」
「そ、それはまたの機会に……」
自分で言っておいてなんだけど、また次の機会を求めていることに驚きだ。
なんていうか、初めてあんなにくっついたら、恥ずかしかったり、ドキドキしたり、ちょっと嬉しかったり……色々な感情が混ざり合った結果、またしたいって思ったの。
男の人とちょっと触れるだけでも顔が赤くなる私が、また抱きつきたいと思うだなんて、凄い成長だと思う。
……この成長を、魔法にも活かせると更に嬉しいんだけどね……はぁ。
「やれやれ、どうも変身魔法は苦手でいけないな。たまに素が出てしまうし、油断すると声の変化が途切れてしまうことがある。もっと精進して、アイリーンに相応しい人間にならないと」
「そんな、もう私には勿体ないくらい、エルヴィン様は素敵な人です」
「ほ、本当かい? いやぁ……改めてそう言われると、むず痒いというか、恥ずかしいというか……君が照れる気持ちがよくわかるね。ははっ」
変身魔法って、あまり一般的に普及していない、マイナーで難しい魔法だったと記憶している。そんな魔法を使いこなすなんて、私からしたら尊敬できるくらいだ。
「あの、助けてくれたのは嬉しいんですけど……学園長に変身して大丈夫だったのですか?」
「大丈夫。さっきの話は、別の魔法の効果で、学園長に全て伝わっている。それに、さっきの僕の言葉は、学園長の意志でもあるからね」
「どういうことですか?」
「実は、さっき君と別れた後に、随分と遠くの部屋に誘導されて、閉じ込められてしまってね。その時に、これはゲオルク達の仕業だと思った僕は、咄嗟に学園長と連絡を取って、力技での脱出の許可を貰ったんだ」
力技って……エルヴィン様にしては、珍しくスマートじゃないやり方だ。それほど急いで私のことを助けに来てくれたってことだろうか。
不謹慎なのは重々承知だけど……そんなにしてまで助けに来てくれたのは、嬉しいかも……えへへ。
「それで、ここに来る途中に、どうすればゲオルク達がアイリーンに関わってこないようになるか考えてね。それが、さっきの変身魔法さ。学園長に変身してちょっと脅し……ごほん、話をすれば、きっと保身のために身を引くと思ったんだ」
ちょっ、私は聞き逃さなかったよ! 絶対に脅しって言ったよね!? 確かにさっきのは脅しっぽかったのは否めないけど!
「な、なるほど。とにかく、学園や学園長達に迷惑はかからないってことで、間違いありませんか?」
「その認識で間違いないよ。この作戦も、事前に学園長に説明しておいたからね」
「ならよかったです。あれ、でもどうして学園長が協力してくれたんですか?」
「学園長とは、昔から付き合いがあってね。ほら、この前用事があるって言って、君と一旦別れた日があっただろう? あの時に、学園長と色々話をしておいたんだ」
さすがエルヴィン様、事前の対応がしっかりしているのもそうだけど、有名なセレクディエ学園の学園長と付き合いがあることが凄いと思う。
……でも、どうして学園長と付き合いがあるのだろう? エルヴィン様の家が、たまたま学園長と付き合いがある家だったとか?
「それにしても、まさかアイリーンから抱きつかれる日がこんなに早いとは、想定外の嬉しさだね」
「あ、あれは……その……」
なんとか言い訳をしようと考えたけど、全く思いつかなくて。ただ言葉を詰まらせながら、顔を俯かせた。
きっと今の私の顔、真っ赤になってると思う……恥ずかしすぎて、今すぐにでも爆発してしまいそうだ。
「アイリーンは可愛いなぁ。ちょっと我慢できないから、もう一度だけ抱きしめさせてくれないか?」
「は、恥ずかしいですから、勘弁してください~!」
「残念だが、拒否権は無い! 大人しく僕に抱きしめられろ~!」
「きゃ~!」
さっきまで酷いことをされていたというのに、エルヴィン様がわざと芝居がかったセリフを吐きながら、迫ってきたおかげで、すっかり明るい気分に変わっていた。
……エルヴィン様、本当にありがとうございます。今回の件で、恩返しをしなければいけないことが増えてしまいましたね。
いつか、必ずちゃんと恩返しをさせてもらいますからね!
「え、えぇ……? 本当にエルヴィン様……??」
「ああ、エルヴィンだよ。驚かせてすまなかった」
「……え、エルヴィン様!!」
エルヴィン様の言葉は、一切の嘘が入ってなかった。それは、私を窮地から助けてくれたのが、エルヴィン様だったことの証明だった。
それがわかった私は、危ないところから助けてくれた感謝や嬉しさ、そして安心も相まって、エルヴィン様に抱きついてしまった。
「怖かったね。もう大丈夫だよ」
「うぅ……あ、ありがとうございます……」
突然抱きついたにも関わらず、エルヴィン様は私のことを抱きしめ返してくれた。
――その後、エルヴィン様は私が泣き止むまで、何も言わずにそのまま抱きしめてくれていた。
「ずびっ……ごめんなさい、エルヴィン様。もう大丈夫です」
「そうかい? 遠慮しないで、もっと僕の腕の中を堪能してくれていいんだよ?」
「そ、それはまたの機会に……」
自分で言っておいてなんだけど、また次の機会を求めていることに驚きだ。
なんていうか、初めてあんなにくっついたら、恥ずかしかったり、ドキドキしたり、ちょっと嬉しかったり……色々な感情が混ざり合った結果、またしたいって思ったの。
男の人とちょっと触れるだけでも顔が赤くなる私が、また抱きつきたいと思うだなんて、凄い成長だと思う。
……この成長を、魔法にも活かせると更に嬉しいんだけどね……はぁ。
「やれやれ、どうも変身魔法は苦手でいけないな。たまに素が出てしまうし、油断すると声の変化が途切れてしまうことがある。もっと精進して、アイリーンに相応しい人間にならないと」
「そんな、もう私には勿体ないくらい、エルヴィン様は素敵な人です」
「ほ、本当かい? いやぁ……改めてそう言われると、むず痒いというか、恥ずかしいというか……君が照れる気持ちがよくわかるね。ははっ」
変身魔法って、あまり一般的に普及していない、マイナーで難しい魔法だったと記憶している。そんな魔法を使いこなすなんて、私からしたら尊敬できるくらいだ。
「あの、助けてくれたのは嬉しいんですけど……学園長に変身して大丈夫だったのですか?」
「大丈夫。さっきの話は、別の魔法の効果で、学園長に全て伝わっている。それに、さっきの僕の言葉は、学園長の意志でもあるからね」
「どういうことですか?」
「実は、さっき君と別れた後に、随分と遠くの部屋に誘導されて、閉じ込められてしまってね。その時に、これはゲオルク達の仕業だと思った僕は、咄嗟に学園長と連絡を取って、力技での脱出の許可を貰ったんだ」
力技って……エルヴィン様にしては、珍しくスマートじゃないやり方だ。それほど急いで私のことを助けに来てくれたってことだろうか。
不謹慎なのは重々承知だけど……そんなにしてまで助けに来てくれたのは、嬉しいかも……えへへ。
「それで、ここに来る途中に、どうすればゲオルク達がアイリーンに関わってこないようになるか考えてね。それが、さっきの変身魔法さ。学園長に変身してちょっと脅し……ごほん、話をすれば、きっと保身のために身を引くと思ったんだ」
ちょっ、私は聞き逃さなかったよ! 絶対に脅しって言ったよね!? 確かにさっきのは脅しっぽかったのは否めないけど!
「な、なるほど。とにかく、学園や学園長達に迷惑はかからないってことで、間違いありませんか?」
「その認識で間違いないよ。この作戦も、事前に学園長に説明しておいたからね」
「ならよかったです。あれ、でもどうして学園長が協力してくれたんですか?」
「学園長とは、昔から付き合いがあってね。ほら、この前用事があるって言って、君と一旦別れた日があっただろう? あの時に、学園長と色々話をしておいたんだ」
さすがエルヴィン様、事前の対応がしっかりしているのもそうだけど、有名なセレクディエ学園の学園長と付き合いがあることが凄いと思う。
……でも、どうして学園長と付き合いがあるのだろう? エルヴィン様の家が、たまたま学園長と付き合いがある家だったとか?
「それにしても、まさかアイリーンから抱きつかれる日がこんなに早いとは、想定外の嬉しさだね」
「あ、あれは……その……」
なんとか言い訳をしようと考えたけど、全く思いつかなくて。ただ言葉を詰まらせながら、顔を俯かせた。
きっと今の私の顔、真っ赤になってると思う……恥ずかしすぎて、今すぐにでも爆発してしまいそうだ。
「アイリーンは可愛いなぁ。ちょっと我慢できないから、もう一度だけ抱きしめさせてくれないか?」
「は、恥ずかしいですから、勘弁してください~!」
「残念だが、拒否権は無い! 大人しく僕に抱きしめられろ~!」
「きゃ~!」
さっきまで酷いことをされていたというのに、エルヴィン様がわざと芝居がかったセリフを吐きながら、迫ってきたおかげで、すっかり明るい気分に変わっていた。
……エルヴィン様、本当にありがとうございます。今回の件で、恩返しをしなければいけないことが増えてしまいましたね。
いつか、必ずちゃんと恩返しをさせてもらいますからね!
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