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第三十八話 緊張の実技試験
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恋心を自覚してから数週間後、私達はついに期末試験の日を迎えていた。
毎日のように勉強をしたおかげで、ソーニャちゃんの筆記試験はかなり余裕があったみたい。エルヴィン様も、筆記はかなりの出来だそうだ。
かくいう私も、筆記はかなり自信がある。これも勉強をしっかりしたおかげだろう。
問題は、午後から行われる実技試験だ。結局、私は今回も魔法を成功させていない。ソーニャちゃんは、また随分と上達したみたいで、とても上機嫌で報告してくれたよ。
「き、緊張してきた……」
「だ、だだだ、大丈夫ですよアイリーンさん!!」
緊張で高鳴る胸を抑えてながら、学園の地下のある控室で待っていると、私以上に緊張しているソーニャちゃんが、私を必死に励ましてくれた。
緊張しているのは私だけじゃないのに、一人で勝手に自分を追い込んで……これじゃダメだよね。もっとしっかりしないと。
「二人共落ち着いて。たくさん練習してきたんだから、きっと大丈夫さ」
「そ、そうですよね……ありがとうございます、エルヴィンさん」
元々魔法が得意なエルヴィン様、そして最近とても上達してきたソーニャちゃんと違い、私だけはいまだに魔法の腕は上達していない。
この中で、きっと一番足を引っ張る可能性があるのは、絶対に私だ。そうならないように、たくさん頑張らなきゃ!
「事前に聞いていた話だと、試験はハイキングのはずですよね? どうして学園の地下に連れて来られたのでしょう?」
「学園の訓練用の施設を使うのだろうね。色々な場面を想定した仮想訓練場で、魔法や魔法剣、魔法薬といったものの実戦練習ができるんだ」
「そういえば、編入試験も、この地下を使いましたね」
少しでも気を紛らわそうと、当たり障りの無い話題を振ると、エルヴィン様が丁寧に説明をしてくれた。
「……あんな奴らに負けていられないな」
「あの獣達は良いとして、問題はエルヴィン様ですわ……油断しないようにしませんと」
一緒の部屋にいた生徒達の声が、聞きたくないのに耳に入ってくる。
私のことは何を言っても構わないけど、ソーニャちゃんのことまで悪く言われるのは許せない。絶対に良い成績を取って、見返してやらないと。
「お待たせしました。これより試験を始めます。まずはチーム番号が一から五までの方々、私についてきてください」
「私達、確か三番でしたよね?」
「そうだね。よし、行こうか」
控室にいた三分の一ぐらいの生徒達が、迎えに来た教師の後について部屋を出ていくと、随分と狭い部屋へと連れて来られた。
こんなところで、ハイキングの試験をするの……? 今部屋には、別の控室から来た生徒も含めて五十人くらいはいて、その人数が何とか入れる程度の広さしかない。
「おや、おやおや? これはお揃いで! まさか一緒のチームになるとは!」
「……ゲオルク様……」
私と目が合ったゲオルク様は、とても愉快そうに笑いながら、私の元へとやってきた。
その腕にはルシア様が抱きつき、ゲオルク様を囲うようにシンシア様とミア様もいる。多分、この四人でチームを組んだのだろう。
試験は全学年合同でやるのはわかっていたけど、まさか一緒の組になるとは思ってなかった。面倒なことにならなければいいのだけど……。
「全員揃いましたね。では試験の内容を説明します。各チームは、道中にあるチェックポイントを通って、山頂にある証を制限時間以内に取ってきて、スタートに戻ってきてください。ルールは特にありません。素直に進むもよし、他のチームを蹴落としてもよし」
そ、想像以上に物騒な試験内容かもしれない……セレクディエ学園って、こんな危険な試験をやるだなんて、全然知らなかった。
「ではみなさん、目を閉じてください」
「……?」
突然の指示に戸惑いつつも目を閉じると、部屋の中に高密度な魔力が充満していくのがわかった。
魔法の才能が無い私でもわかるほどなのだから、よほど強大な魔力が使われていると推測できる。
『はい、目を開けてください』
「えっ……!?」
恐る恐る目を開けると、さっきまで狭い部屋の中にいたはずなのに、いつの間にか緑豊かな山のふもとに立っていた。
そうか、エルヴィン様が言っていたことって、こういうことだったんだ! これなら周りに迷惑をかけないで、試験をすることが出来るね。セレクディエ学園って、やっぱり凄い!
『ここは魔法で作った仮想世界です。現実のみなさんは、先程の部屋の中で眠っている状態になっています。この世界の物に実際に触れたり、食したりすることは可能です。好きなように利用してください。ただし、毒を持った植物もありますし、野生動物もいますのでご注意ください』
ど、どこからかさっきの先生の声がする!? いや、今はそんなことはどうでも良い。それよりも、明らかに危険な内容が含まれていたよね!?
『もちろん、この世界で起こったことは、あなた達の体には影響はありませんが、この世界で受けた疲労や痛みは、本物のように感じますので、ご注意ください』
な、なるほど……仮想世界だからって、油断しないようにしないといけないってことだね。
『では、これからみなさんに試験会場の地図をお渡しします。五分後にスタートの合図を出しますので、それまではその場で待機してください』
その言葉を最後に、先生の声は聞こえなくなった。それから間もなく、私達の前に小さな光の玉がフヨフヨと飛んできて、一枚の紙になった。
「これが地図みたい。私達のいる場所はっと……あれ、エルヴィン様、ソーニャちゃん、これ……いくつかチェックポイントがあって、更に進むと山頂なのがわかるんですけど、地図の一部が赤く点滅しているんです」
「本当だね。ふもとを示しているようだが……」
「も、もしかしたら……わたし達の居場所を示しているのかもしれません」
「確かに! ソーニャちゃん冴えてる!」
私はこういう環境は慣れているけど、貴族やお金持ちの人がこんな環境は大変なんじゃないかって少し思っていたけど、これで迷わないようにしているんだね。
「これなら迷わなさそうですね。始まったら、私が先導します。こういう場所は、とても慣れてるので!」
「君にとっては、この程度の山は庭のようなものだろうね」
「あっ、そういえば……アイリーンさんは、小さい頃からごはんの材料を獲りに行ってるって……言ってましたもんね」
「そうそう! だから、安全な道とか、そういうのがわかると思うんだ!」
「僕は賛成だ。ソーニャは?」
「わたしも異論はありませんっ」
よかった、これで魔法が使えない私でも、二人の助けになれそうだ。
自然の中って、結構危ないことが多いから、しっかりと二人をガイドしないとね。あと、必要かはわからないけど、食べ物が必要になったら、きっと私の知識が役に立つはず!
毎日のように勉強をしたおかげで、ソーニャちゃんの筆記試験はかなり余裕があったみたい。エルヴィン様も、筆記はかなりの出来だそうだ。
かくいう私も、筆記はかなり自信がある。これも勉強をしっかりしたおかげだろう。
問題は、午後から行われる実技試験だ。結局、私は今回も魔法を成功させていない。ソーニャちゃんは、また随分と上達したみたいで、とても上機嫌で報告してくれたよ。
「き、緊張してきた……」
「だ、だだだ、大丈夫ですよアイリーンさん!!」
緊張で高鳴る胸を抑えてながら、学園の地下のある控室で待っていると、私以上に緊張しているソーニャちゃんが、私を必死に励ましてくれた。
緊張しているのは私だけじゃないのに、一人で勝手に自分を追い込んで……これじゃダメだよね。もっとしっかりしないと。
「二人共落ち着いて。たくさん練習してきたんだから、きっと大丈夫さ」
「そ、そうですよね……ありがとうございます、エルヴィンさん」
元々魔法が得意なエルヴィン様、そして最近とても上達してきたソーニャちゃんと違い、私だけはいまだに魔法の腕は上達していない。
この中で、きっと一番足を引っ張る可能性があるのは、絶対に私だ。そうならないように、たくさん頑張らなきゃ!
「事前に聞いていた話だと、試験はハイキングのはずですよね? どうして学園の地下に連れて来られたのでしょう?」
「学園の訓練用の施設を使うのだろうね。色々な場面を想定した仮想訓練場で、魔法や魔法剣、魔法薬といったものの実戦練習ができるんだ」
「そういえば、編入試験も、この地下を使いましたね」
少しでも気を紛らわそうと、当たり障りの無い話題を振ると、エルヴィン様が丁寧に説明をしてくれた。
「……あんな奴らに負けていられないな」
「あの獣達は良いとして、問題はエルヴィン様ですわ……油断しないようにしませんと」
一緒の部屋にいた生徒達の声が、聞きたくないのに耳に入ってくる。
私のことは何を言っても構わないけど、ソーニャちゃんのことまで悪く言われるのは許せない。絶対に良い成績を取って、見返してやらないと。
「お待たせしました。これより試験を始めます。まずはチーム番号が一から五までの方々、私についてきてください」
「私達、確か三番でしたよね?」
「そうだね。よし、行こうか」
控室にいた三分の一ぐらいの生徒達が、迎えに来た教師の後について部屋を出ていくと、随分と狭い部屋へと連れて来られた。
こんなところで、ハイキングの試験をするの……? 今部屋には、別の控室から来た生徒も含めて五十人くらいはいて、その人数が何とか入れる程度の広さしかない。
「おや、おやおや? これはお揃いで! まさか一緒のチームになるとは!」
「……ゲオルク様……」
私と目が合ったゲオルク様は、とても愉快そうに笑いながら、私の元へとやってきた。
その腕にはルシア様が抱きつき、ゲオルク様を囲うようにシンシア様とミア様もいる。多分、この四人でチームを組んだのだろう。
試験は全学年合同でやるのはわかっていたけど、まさか一緒の組になるとは思ってなかった。面倒なことにならなければいいのだけど……。
「全員揃いましたね。では試験の内容を説明します。各チームは、道中にあるチェックポイントを通って、山頂にある証を制限時間以内に取ってきて、スタートに戻ってきてください。ルールは特にありません。素直に進むもよし、他のチームを蹴落としてもよし」
そ、想像以上に物騒な試験内容かもしれない……セレクディエ学園って、こんな危険な試験をやるだなんて、全然知らなかった。
「ではみなさん、目を閉じてください」
「……?」
突然の指示に戸惑いつつも目を閉じると、部屋の中に高密度な魔力が充満していくのがわかった。
魔法の才能が無い私でもわかるほどなのだから、よほど強大な魔力が使われていると推測できる。
『はい、目を開けてください』
「えっ……!?」
恐る恐る目を開けると、さっきまで狭い部屋の中にいたはずなのに、いつの間にか緑豊かな山のふもとに立っていた。
そうか、エルヴィン様が言っていたことって、こういうことだったんだ! これなら周りに迷惑をかけないで、試験をすることが出来るね。セレクディエ学園って、やっぱり凄い!
『ここは魔法で作った仮想世界です。現実のみなさんは、先程の部屋の中で眠っている状態になっています。この世界の物に実際に触れたり、食したりすることは可能です。好きなように利用してください。ただし、毒を持った植物もありますし、野生動物もいますのでご注意ください』
ど、どこからかさっきの先生の声がする!? いや、今はそんなことはどうでも良い。それよりも、明らかに危険な内容が含まれていたよね!?
『もちろん、この世界で起こったことは、あなた達の体には影響はありませんが、この世界で受けた疲労や痛みは、本物のように感じますので、ご注意ください』
な、なるほど……仮想世界だからって、油断しないようにしないといけないってことだね。
『では、これからみなさんに試験会場の地図をお渡しします。五分後にスタートの合図を出しますので、それまではその場で待機してください』
その言葉を最後に、先生の声は聞こえなくなった。それから間もなく、私達の前に小さな光の玉がフヨフヨと飛んできて、一枚の紙になった。
「これが地図みたい。私達のいる場所はっと……あれ、エルヴィン様、ソーニャちゃん、これ……いくつかチェックポイントがあって、更に進むと山頂なのがわかるんですけど、地図の一部が赤く点滅しているんです」
「本当だね。ふもとを示しているようだが……」
「も、もしかしたら……わたし達の居場所を示しているのかもしれません」
「確かに! ソーニャちゃん冴えてる!」
私はこういう環境は慣れているけど、貴族やお金持ちの人がこんな環境は大変なんじゃないかって少し思っていたけど、これで迷わないようにしているんだね。
「これなら迷わなさそうですね。始まったら、私が先導します。こういう場所は、とても慣れてるので!」
「君にとっては、この程度の山は庭のようなものだろうね」
「あっ、そういえば……アイリーンさんは、小さい頃からごはんの材料を獲りに行ってるって……言ってましたもんね」
「そうそう! だから、安全な道とか、そういうのがわかると思うんだ!」
「僕は賛成だ。ソーニャは?」
「わたしも異論はありませんっ」
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