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第三十九話 実技試験開始!
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「ふぅ……はぁ……や、山道というのは想像以上に堪えるね……ソーニャは平気なのかい?」
「は、はいっ。獣人の血が流れているからか、体力は結構自信があるんですっ」
一つ目のチェックポイントを目指して、先頭を歩いていると、汗をたくさん流すエルヴィン様と、比較的余裕があるソーニャちゃんの会話が聞こえてきた。
確かに、ソーニャちゃんって何時間勉強してもあまり疲れないし、魔法の練習も同じ様に何時間やっても、疲れを見せたことがない。
私も孤族の血が入っているとはいえ、この尻尾以外は普通の人間と全然変わらないから、ソーニャちゃんの方が獣人の血が濃くて、体力があるのかもしれない。
とはいっても、ソーニャちゃんも可愛い耳とか尻尾以外の見た目は、普通の人間と一緒だけどね。
「あ、この辺りの道はぬかるんでるので、この木に捕まりながら行きましょう」
いくらここでケガをしても、本当にケガをするわけではないのはわかっているけど、ここで起こった経験自体は、本物と同じだ。
わざわざ痛い思いをする必要は無いし、それが原因で倒れたりでもしたら、合格は難しくなっちゃうもんね。
「そ、それにしても……アイリーンさん、スイスイ進んでいきますね。結構鬱蒼としてて、歩きにくいはずなのに……」
「慣れてるっていうのももちろんだけど、よく観察すると通りやすそうな場所があるから、それを見てるって感じかな。ほら、この辺りとか葉っぱは邪魔だけど、枝は細いし地面もぬかるんでないから、歩きやすいと思うよ!」
「なるほど、説明されると理解できるが、それを咄嗟に判断できるのは、さすがだね」
「え、えへへ……」
元々、エルヴィン様に褒められると嬉しくてにやけちゃったり、尻尾を自然と振ってしまうことは多々あったけど、気持ちを自覚したからか、いつもの倍以上に嬉しいし、動いちゃう。
もっと頑張れば、エルヴィン様に褒めてもらえるだろうか。そんな浮ついたことを考えていると、突然ソーニャちゃんが足を止めた。
「くんくん……む、向こうから、わたし達のじゃない匂いがいくつもありますっ……!」
「匂いは僕にはわからないが、魔力があるのは感じられる。それも何人も……おそらく他のチーム同士がかち合って、蹴落としあっているのかもしれない」
「それは巻き込まれたくないですね……私が様子を見てきますので、エルヴィン様とソーニャちゃんは待っててください!」
「い、いえ! ここはお任せくださいっ!」
ソーニャちゃんは、驚く程身軽に、太い木の枝にぶら下がると、そのままクルクルと回転しながら、枝を伝って木の上にまで簡単に登ってしまった。
その洗礼された動きに、思わず私もエルヴィン様も、口をポカンとさせたまま、ソーニャちゃんの勇姿を眺めていた。
「獣人には、普通の人には無い力や身体能力があると聞いたことはあるが……目の前で見ると、圧巻だね」
「そ、そうですね。でも、私にはあんなことは出来ないですよ……」
獣人が持っている、普通の人に無い力……これって、私の嘘を見抜く鼻のもそれに該当するのだろうか? 魔法では無いのはわかってたから、もしそうなら辻褄があうんだよね。
「よいしょっ……あっ!」
「ソーニャちゃん、大丈夫!?」
「はい……おしり打っちゃいました……」
確認を終えて帰ってきたソーニャちゃんは、丁度ぬかるんでいた地面に着地しちゃったみたい。これじゃあ転ぶのも無理はないよ。
「ケガは……って、この世界ではケガは無いんだったね。でも、痛みや疲れは実際に感じるみたいだから、無理はしないようにね」
「ありがとうございますっ、エルヴィンさん。わたしは大丈夫ですので」
「それじゃあ、見えたものを教えてもらえるかな?」
「この先で四チームが、チェックポイントの順番を巡って争っているみたいです!」
「どういうこと? そんなの、順番でやればいいんじゃないかな?」
「争っているのだから、何かしらあるのだろう。例えば、早い者勝ちで何かあるとか」
なるほど、それなら争ってでも先に行こうと思うのは正しいと思う。まあ、本当は同じ学生同士、争わない方がいいんだけど……これは試験だから仕方がない。
「ソーニャちゃん、戦ってる正確な場所は?」
「私達が向かおうとしていた、一個目のチェックポイントのすぐ近くです」
「それだと、避けては通れなさそうね……だからって、悠長に待っている時間も無いのも事実だし……巻き込まれないように、こっそり行く方法があればいいのに……」
「ああ、それならあるよ」
「あるんですか、それなら話が……えっ、あるんですか!?」
あまりにもエルヴィン様が、自然にあるというものだから、普通に話を進めそうになっちゃったよ!?
「僕の魔法で、透明になればいいんだ。その間に、チェックポイントで何かをして、戻って来ればいいのさ」
透明の魔法! まさにうってつけの魔法だね! それなら気づかれないうちにチェックポイントに行って、進むための何かが得られるはず!
「そうと決まれば、僕とソーニャでチェックポイントに行ってくる。アイリーンはここで待っててくれ」
「そんな、私も行きますよ!」
「なにかあった時に、咄嗟に魔法で対処できる僕達の方が、勝算がある。君の気持ちもよくわかるが、これもチームの合格のためなんだ」
そう言われてしまうと、頷く以外の選択肢が私には無かった。
私にもっと力があれば、二人の助けになれるのに……自分の弱さが恨めしい。
「とりあえず、チェックポイントの近くまで行くとしよう」
こっそりとバレないように、チェックポイントに向かうと、一緒に試験を受けている生徒達が戦いを繰り広げていた。
魔法や魔法剣で攻撃したり、魔法薬で状況を良くしたりと、戦い方は千差万別だ。
「ひぇ……は、激しすぎますよ……」
「戦えないことも無いだろうが、あまり消耗はしたくないね。それじゃあ、魔法を使うよ。これを使うと、互いに完全に見えなくなってしまうから、はぐれないように、僕に捕まっていてくれ」
「わ、わかりました」
返事をしながらも、私に遠慮しているのか、こちらをチラッと見るソーニャちゃん。それに対して、私は大丈夫だよと伝えるために、小さく頷いて見せた。
それでもまだ遠慮しているみたいで、服の裾をちょっとだけ掴むだけだったのは、ソーニャちゃんらしいというか……とても可愛い。
「あはは、出来れば腕を掴むくらいはしてくれたほうがいいかもしれないね?」
「あわわっ、ごごご、ごめんなさい! これでいいですか!?」
「うん、大丈夫。アイリーン、行ってくるよ。何か問題があったら、こっちから合図を出すからね」
「わかりました。お気をつけて!」
ソーニャちゃんが腕をギュッと掴んだのを確認してから、エルヴィン様は魔法陣を展開する。すると、二人の姿は完全に見えなくなった。
透明になる魔法って初めてみたけど、本当に全く見えなくなるんだね。これなら気づかれないで、チェックポイントに行けそうだ。
そう思ったのも束の間――私はとあることに気が付いた。
それは、ここから最短距離でチェックポイントに向かった際に、ぬかるんだ所を歩かないといけないということに。
ここに来るまでに、ああいう道は結構通ってきたから、二人なら大丈夫だと思うけど……。
「俺達が一番最初に行くんだよ! 邪魔すんな!!」
「ひゃあぁぁぁぁ!?」
戦っている生徒の一人が、爆発系の魔法を発動して、辺りが轟音と爆風に包まれた。それとほぼ同時に、ソーニャちゃんの悲鳴が聞こえてきて……二人の姿が晒された。
しかも、二人は地面に倒れこんでいて、すぐには身動きが取れる状況じゃなかった――
「は、はいっ。獣人の血が流れているからか、体力は結構自信があるんですっ」
一つ目のチェックポイントを目指して、先頭を歩いていると、汗をたくさん流すエルヴィン様と、比較的余裕があるソーニャちゃんの会話が聞こえてきた。
確かに、ソーニャちゃんって何時間勉強してもあまり疲れないし、魔法の練習も同じ様に何時間やっても、疲れを見せたことがない。
私も孤族の血が入っているとはいえ、この尻尾以外は普通の人間と全然変わらないから、ソーニャちゃんの方が獣人の血が濃くて、体力があるのかもしれない。
とはいっても、ソーニャちゃんも可愛い耳とか尻尾以外の見た目は、普通の人間と一緒だけどね。
「あ、この辺りの道はぬかるんでるので、この木に捕まりながら行きましょう」
いくらここでケガをしても、本当にケガをするわけではないのはわかっているけど、ここで起こった経験自体は、本物と同じだ。
わざわざ痛い思いをする必要は無いし、それが原因で倒れたりでもしたら、合格は難しくなっちゃうもんね。
「そ、それにしても……アイリーンさん、スイスイ進んでいきますね。結構鬱蒼としてて、歩きにくいはずなのに……」
「慣れてるっていうのももちろんだけど、よく観察すると通りやすそうな場所があるから、それを見てるって感じかな。ほら、この辺りとか葉っぱは邪魔だけど、枝は細いし地面もぬかるんでないから、歩きやすいと思うよ!」
「なるほど、説明されると理解できるが、それを咄嗟に判断できるのは、さすがだね」
「え、えへへ……」
元々、エルヴィン様に褒められると嬉しくてにやけちゃったり、尻尾を自然と振ってしまうことは多々あったけど、気持ちを自覚したからか、いつもの倍以上に嬉しいし、動いちゃう。
もっと頑張れば、エルヴィン様に褒めてもらえるだろうか。そんな浮ついたことを考えていると、突然ソーニャちゃんが足を止めた。
「くんくん……む、向こうから、わたし達のじゃない匂いがいくつもありますっ……!」
「匂いは僕にはわからないが、魔力があるのは感じられる。それも何人も……おそらく他のチーム同士がかち合って、蹴落としあっているのかもしれない」
「それは巻き込まれたくないですね……私が様子を見てきますので、エルヴィン様とソーニャちゃんは待っててください!」
「い、いえ! ここはお任せくださいっ!」
ソーニャちゃんは、驚く程身軽に、太い木の枝にぶら下がると、そのままクルクルと回転しながら、枝を伝って木の上にまで簡単に登ってしまった。
その洗礼された動きに、思わず私もエルヴィン様も、口をポカンとさせたまま、ソーニャちゃんの勇姿を眺めていた。
「獣人には、普通の人には無い力や身体能力があると聞いたことはあるが……目の前で見ると、圧巻だね」
「そ、そうですね。でも、私にはあんなことは出来ないですよ……」
獣人が持っている、普通の人に無い力……これって、私の嘘を見抜く鼻のもそれに該当するのだろうか? 魔法では無いのはわかってたから、もしそうなら辻褄があうんだよね。
「よいしょっ……あっ!」
「ソーニャちゃん、大丈夫!?」
「はい……おしり打っちゃいました……」
確認を終えて帰ってきたソーニャちゃんは、丁度ぬかるんでいた地面に着地しちゃったみたい。これじゃあ転ぶのも無理はないよ。
「ケガは……って、この世界ではケガは無いんだったね。でも、痛みや疲れは実際に感じるみたいだから、無理はしないようにね」
「ありがとうございますっ、エルヴィンさん。わたしは大丈夫ですので」
「それじゃあ、見えたものを教えてもらえるかな?」
「この先で四チームが、チェックポイントの順番を巡って争っているみたいです!」
「どういうこと? そんなの、順番でやればいいんじゃないかな?」
「争っているのだから、何かしらあるのだろう。例えば、早い者勝ちで何かあるとか」
なるほど、それなら争ってでも先に行こうと思うのは正しいと思う。まあ、本当は同じ学生同士、争わない方がいいんだけど……これは試験だから仕方がない。
「ソーニャちゃん、戦ってる正確な場所は?」
「私達が向かおうとしていた、一個目のチェックポイントのすぐ近くです」
「それだと、避けては通れなさそうね……だからって、悠長に待っている時間も無いのも事実だし……巻き込まれないように、こっそり行く方法があればいいのに……」
「ああ、それならあるよ」
「あるんですか、それなら話が……えっ、あるんですか!?」
あまりにもエルヴィン様が、自然にあるというものだから、普通に話を進めそうになっちゃったよ!?
「僕の魔法で、透明になればいいんだ。その間に、チェックポイントで何かをして、戻って来ればいいのさ」
透明の魔法! まさにうってつけの魔法だね! それなら気づかれないうちにチェックポイントに行って、進むための何かが得られるはず!
「そうと決まれば、僕とソーニャでチェックポイントに行ってくる。アイリーンはここで待っててくれ」
「そんな、私も行きますよ!」
「なにかあった時に、咄嗟に魔法で対処できる僕達の方が、勝算がある。君の気持ちもよくわかるが、これもチームの合格のためなんだ」
そう言われてしまうと、頷く以外の選択肢が私には無かった。
私にもっと力があれば、二人の助けになれるのに……自分の弱さが恨めしい。
「とりあえず、チェックポイントの近くまで行くとしよう」
こっそりとバレないように、チェックポイントに向かうと、一緒に試験を受けている生徒達が戦いを繰り広げていた。
魔法や魔法剣で攻撃したり、魔法薬で状況を良くしたりと、戦い方は千差万別だ。
「ひぇ……は、激しすぎますよ……」
「戦えないことも無いだろうが、あまり消耗はしたくないね。それじゃあ、魔法を使うよ。これを使うと、互いに完全に見えなくなってしまうから、はぐれないように、僕に捕まっていてくれ」
「わ、わかりました」
返事をしながらも、私に遠慮しているのか、こちらをチラッと見るソーニャちゃん。それに対して、私は大丈夫だよと伝えるために、小さく頷いて見せた。
それでもまだ遠慮しているみたいで、服の裾をちょっとだけ掴むだけだったのは、ソーニャちゃんらしいというか……とても可愛い。
「あはは、出来れば腕を掴むくらいはしてくれたほうがいいかもしれないね?」
「あわわっ、ごごご、ごめんなさい! これでいいですか!?」
「うん、大丈夫。アイリーン、行ってくるよ。何か問題があったら、こっちから合図を出すからね」
「わかりました。お気をつけて!」
ソーニャちゃんが腕をギュッと掴んだのを確認してから、エルヴィン様は魔法陣を展開する。すると、二人の姿は完全に見えなくなった。
透明になる魔法って初めてみたけど、本当に全く見えなくなるんだね。これなら気づかれないで、チェックポイントに行けそうだ。
そう思ったのも束の間――私はとあることに気が付いた。
それは、ここから最短距離でチェックポイントに向かった際に、ぬかるんだ所を歩かないといけないということに。
ここに来るまでに、ああいう道は結構通ってきたから、二人なら大丈夫だと思うけど……。
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「ひゃあぁぁぁぁ!?」
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