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第四十九話 初めての成功!
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体にグッと力を入れると同時に、無意識に目を閉じながら魔法を発動した私の手に、とても熱い感覚が広がった。
それに驚いた私は、小さな悲鳴を上げながら、手に持っていた紙を投げ捨ててしまった。
「えっ……も、燃えてる!? ちゃんと魔法が発動したの!?」
「ったく、なにやってんだお前は。炎の魔法を使って目を閉じるバカがどこにいる」
ヴァーレシア先生は、小さく溜息を漏らしながら、すぐに水の魔法を使い、床に落としてしまった炎を鎮火させた。
普段の私だったら、手を煩わせてしまったことへの謝罪をしているのだけど、今の私には、それをするほどの余裕は無かった。
「どうして魔法が使えたの? 何ヶ月も練習しても、一回も成功しなかったのに……」
「お前、魔力量が尋常ないくらい多いんだよ。だから魔法が上手く使えないんだ」
「私の魔力が? どういうことですか?」
「なんだ、無自覚だったのか? お前の編入試験のデータを確認したんだが、実技試験の時に計測していた数値が、あまりにもバケモノすぎんだよ」
え、そうだったの……? 自分の魔力の量を他の人と比べたことなんて無かったから、にわかには信じがたいけど……今の言葉から、嘘の臭いは感じられなかった。
そもそも、ヴァーレシア先生が私に嘘をつくメリットも無いものね。
「んで、お前が魔法が使えないのは、魔力量が多すぎて、まともに魔力のコントロールが出来ないからだ。例え話だが、必要な魔力が一で良いところを、お前は無意識に一万くらいを使ってる感じだ」
「そんなにですか!? でも、気を付ければ何とかなるんじゃ……」
「考えてもみろ。ライオンに、アリ一匹の力と同じくらいの力を寸分狂わずに出せって指示して、それが出来ると思うか?」
「それは……いくら気を付けても、無理だと思います」
「それと同じことだ。頭でわかっていても、体がそれをすることが出来ない。だから、強引に凡人と同じくらいの魔力量にさせた後、力づくで必要な魔力量とコントロールを体に覚えさせる。それが今お前がやっていたことの意味だ」
そっか、どうして水晶に魔力を流し続けさせるのかと思っていたけど、私の魔力量を普通にするのが目的だったんだ!
こんな練習方法を思いつくだなんて、やっぱりこの先生は凄い人だ……!
「まっ、こんな体に負担のかかる力技なんて、普通の魔法使いはやらせないだろうな。だが、生憎俺は普通じゃないもんでな。お前も、あれだけ大見得張ったんだから、逃げるなんてことはしねーだろ?」
「もちろんです!!」
「ふんっ、良い子だ。今のお前の魔力量は、魔法を使うのに適した量になっている。わかったら、初級とされている魔法から練習しろ。ノウハウは授業でやってるし、仮にも特待生に選ばれる力はあるんだから、言わなくてもわかんだろ」
「はい! 大丈夫です! お忙しいのにわざわざこんな練習方法まで考案してくれて、ありがとうございます!」
「あ? 突き放しても鬱陶しいし、このやり方なら楽が出来るからな」
今のヴァーレシア先生の先生の言葉から、嘘の臭いが少しだけした。今まで全く嘘をついていなかったから、少しだけが凄く目立っていた。
「本当は、なにか別の意図があるんじゃないですか?」
「お前……思ったより察しが良いな。この水晶は、溜め込んだ魔力を放出も出来る。この超大量にある純度の高い魔力を、俺の研究のサンプルにするのさ」
なるほど、ヴァーレシア先生にもちゃんと利益があるからこそ、私のお願いを聞き入れてくれたのね。
別に、私を利用することは全然問題ない。極論を言ってしまえば、私だってヴァーレシア先生を利用しているようなものだし。
「それにしても、まさかこんなに早く魔法が使えるようになるだなんて……エルヴィン様から、ヴァーレシア先生は凄い先生だと聞いてましたけど、想像以上でした」
「なに言ってんだ。俺は、世界一教師に向いてねー男だよ。ここにいるのだって、研究費用を学園と国が負担してくれるからいるだけだ」
「そんな、ヴァーレシア先生はこうしてちゃんと教えられてるじゃないですか」
「お前がそう思うなら、勝手にそう思ってろ」
なんだろう、ヴァーレシア先生……どこか寂しそうで、同時に悲しそうに見える。もしかして、言っちゃいけないことを言ってしまったのかな……。
「なにしけた面してんだ。そんな面をしてる暇があったら、もっと魔法の感覚を身に付けろ。夏休みが終わるまでに身に着けてもらわねぇといけないんだからよ」
「……はい」
事情を聞いて、私が悪いのなら謝りたかったけど、そんな雰囲気じゃないし、今日初めて話した相手にあれこれ詮索されるのは嫌だろうと思った私は、再び魔法を使おうとすると、タイミングよく二人が買い物から戻ってきた。
「ただいま、アイリーン。調子はどうだい?」
「聞いてください、エルヴィン様、ソーニャちゃん! 私、魔法が使えたんです!」
「なんだって? それは本当なのかい!?」
「はい! ヴァーレシア先生に紙を燃やしてみろって言われてやってみたら、ちゃんと燃えたんです! 他の人に比べれば、大した事の無い魔法かもしれませんけど……」
「そんなことはないですよ……! 魔法が使えたってことが、大きな進歩です……!」
「えへへ、ありがとうソーニャちゃん!」
自分のことのように喜んでくれる二人を見ていると、本当に私は素晴らしい人達と知り合えたんだと、心の底から嬉しく感じるよ。
「あの、よかったら私の魔法を見てくれませんか?」
「ぜひ見せてほしいな」
「わたしも、見てみたいです……!」
「よーっし……ヴァーレシア先生! いらない紙をください!」
「ほれ」
ヴァーレシア先生から紙を受け取ると、さっきと同じ要領で魔法を使おうとしたら……異変が起こった。
さっきまで感じなかった、強い疲労感と眠気に襲われて……立っていられなくなってしまったの。
一体何が……ダメ、こんなところで倒れたら、二人に余計な心配をかけちゃう……でも、眠くて眠くて仕方がない……。
「アイリーン? どうしたんだ、アイリーン!」
「アイリーンさん、しっかりしてください!」
私の心配をする二人の声が、遠くの方で聞こえるのを感じながら、私は疲労感と睡魔に従うように、意識を手放した――
それに驚いた私は、小さな悲鳴を上げながら、手に持っていた紙を投げ捨ててしまった。
「えっ……も、燃えてる!? ちゃんと魔法が発動したの!?」
「ったく、なにやってんだお前は。炎の魔法を使って目を閉じるバカがどこにいる」
ヴァーレシア先生は、小さく溜息を漏らしながら、すぐに水の魔法を使い、床に落としてしまった炎を鎮火させた。
普段の私だったら、手を煩わせてしまったことへの謝罪をしているのだけど、今の私には、それをするほどの余裕は無かった。
「どうして魔法が使えたの? 何ヶ月も練習しても、一回も成功しなかったのに……」
「お前、魔力量が尋常ないくらい多いんだよ。だから魔法が上手く使えないんだ」
「私の魔力が? どういうことですか?」
「なんだ、無自覚だったのか? お前の編入試験のデータを確認したんだが、実技試験の時に計測していた数値が、あまりにもバケモノすぎんだよ」
え、そうだったの……? 自分の魔力の量を他の人と比べたことなんて無かったから、にわかには信じがたいけど……今の言葉から、嘘の臭いは感じられなかった。
そもそも、ヴァーレシア先生が私に嘘をつくメリットも無いものね。
「んで、お前が魔法が使えないのは、魔力量が多すぎて、まともに魔力のコントロールが出来ないからだ。例え話だが、必要な魔力が一で良いところを、お前は無意識に一万くらいを使ってる感じだ」
「そんなにですか!? でも、気を付ければ何とかなるんじゃ……」
「考えてもみろ。ライオンに、アリ一匹の力と同じくらいの力を寸分狂わずに出せって指示して、それが出来ると思うか?」
「それは……いくら気を付けても、無理だと思います」
「それと同じことだ。頭でわかっていても、体がそれをすることが出来ない。だから、強引に凡人と同じくらいの魔力量にさせた後、力づくで必要な魔力量とコントロールを体に覚えさせる。それが今お前がやっていたことの意味だ」
そっか、どうして水晶に魔力を流し続けさせるのかと思っていたけど、私の魔力量を普通にするのが目的だったんだ!
こんな練習方法を思いつくだなんて、やっぱりこの先生は凄い人だ……!
「まっ、こんな体に負担のかかる力技なんて、普通の魔法使いはやらせないだろうな。だが、生憎俺は普通じゃないもんでな。お前も、あれだけ大見得張ったんだから、逃げるなんてことはしねーだろ?」
「もちろんです!!」
「ふんっ、良い子だ。今のお前の魔力量は、魔法を使うのに適した量になっている。わかったら、初級とされている魔法から練習しろ。ノウハウは授業でやってるし、仮にも特待生に選ばれる力はあるんだから、言わなくてもわかんだろ」
「はい! 大丈夫です! お忙しいのにわざわざこんな練習方法まで考案してくれて、ありがとうございます!」
「あ? 突き放しても鬱陶しいし、このやり方なら楽が出来るからな」
今のヴァーレシア先生の先生の言葉から、嘘の臭いが少しだけした。今まで全く嘘をついていなかったから、少しだけが凄く目立っていた。
「本当は、なにか別の意図があるんじゃないですか?」
「お前……思ったより察しが良いな。この水晶は、溜め込んだ魔力を放出も出来る。この超大量にある純度の高い魔力を、俺の研究のサンプルにするのさ」
なるほど、ヴァーレシア先生にもちゃんと利益があるからこそ、私のお願いを聞き入れてくれたのね。
別に、私を利用することは全然問題ない。極論を言ってしまえば、私だってヴァーレシア先生を利用しているようなものだし。
「それにしても、まさかこんなに早く魔法が使えるようになるだなんて……エルヴィン様から、ヴァーレシア先生は凄い先生だと聞いてましたけど、想像以上でした」
「なに言ってんだ。俺は、世界一教師に向いてねー男だよ。ここにいるのだって、研究費用を学園と国が負担してくれるからいるだけだ」
「そんな、ヴァーレシア先生はこうしてちゃんと教えられてるじゃないですか」
「お前がそう思うなら、勝手にそう思ってろ」
なんだろう、ヴァーレシア先生……どこか寂しそうで、同時に悲しそうに見える。もしかして、言っちゃいけないことを言ってしまったのかな……。
「なにしけた面してんだ。そんな面をしてる暇があったら、もっと魔法の感覚を身に付けろ。夏休みが終わるまでに身に着けてもらわねぇといけないんだからよ」
「……はい」
事情を聞いて、私が悪いのなら謝りたかったけど、そんな雰囲気じゃないし、今日初めて話した相手にあれこれ詮索されるのは嫌だろうと思った私は、再び魔法を使おうとすると、タイミングよく二人が買い物から戻ってきた。
「ただいま、アイリーン。調子はどうだい?」
「聞いてください、エルヴィン様、ソーニャちゃん! 私、魔法が使えたんです!」
「なんだって? それは本当なのかい!?」
「はい! ヴァーレシア先生に紙を燃やしてみろって言われてやってみたら、ちゃんと燃えたんです! 他の人に比べれば、大した事の無い魔法かもしれませんけど……」
「そんなことはないですよ……! 魔法が使えたってことが、大きな進歩です……!」
「えへへ、ありがとうソーニャちゃん!」
自分のことのように喜んでくれる二人を見ていると、本当に私は素晴らしい人達と知り合えたんだと、心の底から嬉しく感じるよ。
「あの、よかったら私の魔法を見てくれませんか?」
「ぜひ見せてほしいな」
「わたしも、見てみたいです……!」
「よーっし……ヴァーレシア先生! いらない紙をください!」
「ほれ」
ヴァーレシア先生から紙を受け取ると、さっきと同じ要領で魔法を使おうとしたら……異変が起こった。
さっきまで感じなかった、強い疲労感と眠気に襲われて……立っていられなくなってしまったの。
一体何が……ダメ、こんなところで倒れたら、二人に余計な心配をかけちゃう……でも、眠くて眠くて仕方がない……。
「アイリーン? どうしたんだ、アイリーン!」
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