1 / 83
私の婚約者
しおりを挟む
また、今日もなのね。
視界に映った現状に、ため息すら出ない。
何も知らない人間が見れば、仲睦まじく微笑ましい恋人同士の交流に見えるだろう。
私も自分が当事者でなければ、そう思ったと思う。
まぁ、貴族としては少々はしたないとは思うけどね。
私の名前は、ティア・ブルーム。
来月に十六歳の誕生日を迎えるブルーム侯爵家の長女。
お母様譲りのピンク色の髪と、お父様譲りの紫色の瞳。
自分で言うのもあれだけど、それなりの容姿だと思う。
そんな私には、婚約者がいる。
ケレス・タービン。
私と同い年の彼は、タービン公爵家の嫡男で、柔らかな金髪に青い瞳の、優美で中性的な雰囲気の・・・人気の舞台役者のような容姿の人だ。
物腰も柔らかく、身分も公爵令息だから、ご令嬢たちの人気も高い。
そんな彼と婚約することになったのは、彼のお祖母様が私のお祖母様と親友だったから。
まぁ、よくある「子供が生まれたら結婚させましょう」というやつで、お互いの子供が男の子だけだったから、それが孫に飛び火してきたというだけ。
身分も公爵家と侯爵家で問題がなく、婚約した十三歳の時点でお互いに婚約者がいなかったから、というありがちな理由。
貴族の結婚なんて基本は政略結婚で、だから私もそれを受け入れた。
私は長女だけど、兄がいるので嫁に行かなくてはいけない。
タービン公爵家もケレス様本人も、婚約時点では何の問題もなかった。
正直言って、ケレス様は私の好みではなかったけど、かといって触れられるのも嫌というほどではないし、それは相手も同じだろうから、婚約者として普通に良い関係を築けるよう務めていたつもりだ。
婚約して三年間。
月に一回はお互いの家でお茶会という名の交流をして、誕生日には贈り物を贈り合い、観劇や買い物に出かけたりした。
私たちの住むリーデンス王国は、十七歳が成人となっている。
だから私の来月の誕生日が過ぎたら、結婚の準備を始めることになっていた。
なっていたのだけど・・・
結婚一年前になって、それに暗雲が立ち込め始めていた。
暗雲というか、正直言うと私の中でケレス様への愛情というか・・・愛情ではないわね、人としての情がマイナスに大きく振り切れてしまった。
恋焦がれる熱い思いではないけど、三年間も婚約者として交流してきて、それなりに家族愛みたいな情は抱いていた。
だけど今の私は、ケレス様と結婚するのなんて絶対に嫌だと思う程には、彼への情はなくなっていた。
その原因が、目の前の光景だ。
視界に映った現状に、ため息すら出ない。
何も知らない人間が見れば、仲睦まじく微笑ましい恋人同士の交流に見えるだろう。
私も自分が当事者でなければ、そう思ったと思う。
まぁ、貴族としては少々はしたないとは思うけどね。
私の名前は、ティア・ブルーム。
来月に十六歳の誕生日を迎えるブルーム侯爵家の長女。
お母様譲りのピンク色の髪と、お父様譲りの紫色の瞳。
自分で言うのもあれだけど、それなりの容姿だと思う。
そんな私には、婚約者がいる。
ケレス・タービン。
私と同い年の彼は、タービン公爵家の嫡男で、柔らかな金髪に青い瞳の、優美で中性的な雰囲気の・・・人気の舞台役者のような容姿の人だ。
物腰も柔らかく、身分も公爵令息だから、ご令嬢たちの人気も高い。
そんな彼と婚約することになったのは、彼のお祖母様が私のお祖母様と親友だったから。
まぁ、よくある「子供が生まれたら結婚させましょう」というやつで、お互いの子供が男の子だけだったから、それが孫に飛び火してきたというだけ。
身分も公爵家と侯爵家で問題がなく、婚約した十三歳の時点でお互いに婚約者がいなかったから、というありがちな理由。
貴族の結婚なんて基本は政略結婚で、だから私もそれを受け入れた。
私は長女だけど、兄がいるので嫁に行かなくてはいけない。
タービン公爵家もケレス様本人も、婚約時点では何の問題もなかった。
正直言って、ケレス様は私の好みではなかったけど、かといって触れられるのも嫌というほどではないし、それは相手も同じだろうから、婚約者として普通に良い関係を築けるよう務めていたつもりだ。
婚約して三年間。
月に一回はお互いの家でお茶会という名の交流をして、誕生日には贈り物を贈り合い、観劇や買い物に出かけたりした。
私たちの住むリーデンス王国は、十七歳が成人となっている。
だから私の来月の誕生日が過ぎたら、結婚の準備を始めることになっていた。
なっていたのだけど・・・
結婚一年前になって、それに暗雲が立ち込め始めていた。
暗雲というか、正直言うと私の中でケレス様への愛情というか・・・愛情ではないわね、人としての情がマイナスに大きく振り切れてしまった。
恋焦がれる熱い思いではないけど、三年間も婚約者として交流してきて、それなりに家族愛みたいな情は抱いていた。
だけど今の私は、ケレス様と結婚するのなんて絶対に嫌だと思う程には、彼への情はなくなっていた。
その原因が、目の前の光景だ。
1,992
あなたにおすすめの小説
お望み通り、別れて差し上げます!
珊瑚
恋愛
「幼なじみと子供が出来たから別れてくれ。」
本当の理解者は幼なじみだったのだと婚約者のリオルから突然婚約破棄を突きつけられたフェリア。彼は自分の家からの支援が無くなれば困るに違いないと思っているようだが……?
お認めください、あなたは彼に選ばれなかったのです
・めぐめぐ・
恋愛
騎士である夫アルバートは、幼馴染みであり上官であるレナータにいつも呼び出され、妻であるナディアはあまり夫婦の時間がとれていなかった。
さらにレナータは、王命で結婚したナディアとアルバートを可哀想だと言い、自分と夫がどれだけ一緒にいたか、ナディアの知らない小さい頃の彼を知っているかなどを自慢げに話してくる。
しかしナディアは全く気にしていなかった。
何故なら、どれだけアルバートがレナータに呼び出されても、必ず彼はナディアの元に戻ってくるのだから――
偽物サバサバ女が、ちょっと天然な本物のサバサバ女にやられる話。
※頭からっぽで
※思いつきで書き始めたので、つたない設定等はご容赦ください。
※夫婦仲は良いです
※私がイメージするサバ女子です(笑)
※第18回恋愛小説大賞で奨励賞頂きました! 応援いただいた皆さま、お読みいただいた皆さま、ありがとうございました♪
二度目の恋
豆狸
恋愛
私の子がいなくなって半年と少し。
王都へ行っていた夫が、久しぶりに伯爵領へと戻ってきました。
満面の笑みを浮かべた彼の後ろには、ヴィエイラ侯爵令息の未亡人が赤毛の子どもを抱いて立っています。彼女は、彼がずっと想ってきた女性です。
※上記でわかる通り子どもに関するセンシティブな内容があります。
【完結】お飾りの妻からの挑戦状
おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。
「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」
しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ……
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全18話で完結予定
あの子を好きな旦那様
はるきりょう
恋愛
「クレアが好きなんだ」
目の前の男がそう言うのをただ、黙って聞いていた。目の奥に、熱い何かがあるようで、真剣な想いであることはすぐにわかった。きっと、嬉しかったはずだ。その名前が、自分の名前だったら。そう思いながらローラ・グレイは小さく頷く。
※小説家になろうサイト様に掲載してあります。
【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。
つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。
彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。
なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか?
それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。
恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。
その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。
更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。
婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。
生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。
婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。
後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。
「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる