私のことはお気になさらず

みおな

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新たな命と名付け

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 お子の成長を感じながら日々は過ぎ、私は出産を迎えた。

 産気付いてから半日も経たないうちに、私は男の子を産んだ。

「奥様、可愛らしい若君ですよ」

 生湯で綺麗にされた赤ん坊が、柔らかな産着に包まれて私の元へと連れて来られる。

 ヴィル様と同じ黒髪だわ。
瞳は、閉じているから分からないわね。

 嫡男を産んだことで、なんだか肩の荷が降りた気がした。

 別にヴィル様もみんなも、男の子でなければなんて言っていなかったし、そもそもこんなに早くお子を授かるとは思っていなかった。

 でも、この子が後継として優れているかは分からないから、何人か男の子が欲しい。

 そのためにも、早めにお子は授かりたかったのよね。

 赤ん坊は、本能なのか胸のそばに近付けると、口を開いて吸い付いた。

 誰に教わるわけでもないのに、一生懸命にお乳を飲む姿に、泣きそうになってしまったわ。

 しばらくすると、吸い付く力が弱くなって、重たく感じた。

「あらあら、お腹がいっぱいになって眠ってしまわれたみたいですね」

 乳母となったシシリーが、赤ん坊を抱き上げた。

 シシリーは、侍女長の妹さんなの。

 高位貴族はどうしても、一から十まで子育てすることが出来ない。

 私ももちろん、できる限りはするつもりだけど、私にはこの子の親であるとともに、公爵夫人という役目もある。

 体力が戻ったら、家政もやらなきゃいけないし、社交もしなきゃだもの。

「ティア」

 少しすると、ヴィル様がお部屋に入って来られた。

「ヴィル様、男の子ですわ」

「ああ。よく、頑張ったな」

 ヴィル様が労わるように、私の頭を撫でてくれた。

 私は安産中の安産だと、産婆の方に言われたけど、それでも自分の中ではものすごく不安だった。

 自分で思っていたより痛かったし、辛かったわ。

 もちろんその分、産声を聞いた時は嬉しかったけど。

 ほんの少しではあるけど、出産で亡くなる方もいらっしゃる。

 それはそうよね。
あんなに大きな赤ん坊が、体の中から出てくるのだもの。

 だから自分で思っていたより、少し怖かったのだと思う。

 ヴィル様の大きな手を両手で包むと、自分の頬に当てた。

「痛かったし怖かったです。ヴィル様にお会いできなくなるかもって思って」

「大丈夫だ。俺はそばにいる」

「はい・・・あ。ヴィル様、名前はお決めになられましたか?」

 数日前から候補をいくつも書き出されていたはず。

 ずいぶんと悩まれていたわ。

 グリフォン公爵家に所縁のある名前で良いと思うのだけど、あんなに悩んで下さると赤ん坊が歓迎されてると実感して嬉しかったわ。
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