私のことはお気になさらず

みおな

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気遣いと鬱屈した日々

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 ミネルバさんと逃亡の手引きをした船員はまだ見つからず、鬱屈した日々が続いた。

 ヴィル様が気遣って下さり、街に散策に誘ってくださったけど、ヴァイスを連れて行くわけにもいかないからありがたいけどお断りしたわ。

 それにヴィル様はとてもお忙しい。

 ミネルバさんの行方も探されているから、食事の時間以外は執務室にいらっしゃるし、夜に寝所に来られるのもいつもより遅い。

時々というか最近は、私が待ちきれずに眠ってしまうことの方が多い。

 そして朝起きると、すでにヴィル様は起きて執務室にいらっしゃるのよね。

 食事はご一緒してくださるけど、それは私を気遣ってのことだと理解している。

 お一人ならきっと、執務室で片手間にお食事になるのだと思うわ。

 そんな中、街にだなんてご迷惑をおかけできないわ。

 そんな暇があるなら体を休ませて欲しいもの。

 外には出れないけれど、内庭を散歩することはできるし、リリアやランディたちとお茶をいただいたり話をすることもできる。

 ヴァイスは元気で、最近は掴まり立ちをして歩き始めたから目を離せないのよね。

「ヴァイス。叔母ちゃまはこっちですよぉ」

「あー、あううー」

 今日も、リリアが両手を広げてヴァイスを呼んでいるけど・・・

 叔母ちゃまって。
確かに私の子供だから間違ってはいないけど、十五歳のリリアが叔母というと違和感があるわね。

 ヴァイスとは十四歳差だからおかしくはないのかしら?

「ヴァイスは元気ね。ますますお義兄様に似てきたみたい」

「そうだね。グリフォン公爵に似て、精悍な感じになるかもしれないね」

 リリアとエーリッヒ殿下が、楽しそうにヴァイスと遊びながら話している。

 リリアは、王太子妃教育も終了し、来年になればエーリッヒ王太子殿下との婚姻が待っている。

 そのことを考えても、早くミネルバさんのことが片付いて欲しいわ。

 我が国にいたら・・・
修道院とかに入っていたとしても、来年なら恩赦が与えられていたかもしれなかったわね。

 あんなことをしなければ、東の国に引き渡されることもなかったのに。

 いいえ。
私との婚約がなくなったのだから、大人しく二人で幸せになれば良かったのよ。

 今さら言ったところで、もうどうしようもないことだけど。

 そろそろ領地にもヴァイスのお披露目に行きたいし、ランディやコーネリア様にもご友人たちと交流をさせてあげたいわ。

 そんな風にもどかしい日々を送っている中、ある一報が届いた。

 ミネルバさんが東の国を脱走したと聞いてから一ヶ月後ことだった。

「え?隣国の破落戸たちに?」

 
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