私のことはお気になさらず

みおな

文字の大きさ
上 下
82 / 83

意外な結末

しおりを挟む
 ミネルバさんが逃亡してから一ヶ月後。

 意外な結末を迎えた。

「え?隣国の破落戸に、ですか?」

 私の問いに、ヴィル様が頷かれる。これは王家からもたらされた情報。

 王家、特に王妃様は妹様の失態?による信頼を取り戻すべく、ミネルバさんの行方を追っていてくれたそうだ。

 別に失態などと思っていないわ。

 何か被害が・・・
それこそヴァイスが怪我をしたとかなら恨んだかもしれないけど。

 今後、同じことがないように対策するとお聞きしたし、仕方ないことだと思うもの。

 それで、その情報なのだけど・・・

「しばらくは、破落戸の首領の手付きとして過ごしていたらしいが、元々が自己中心的な考えの持ち主だ。あくまでも手付きにしか過ぎなかったのに、首領の女のように出しゃばり始めたらしい。終いには、首領の大切にしている妹に危害を与えたらしく、その場で殺されたそうだ」

「そう・・・ですか」

 なんていうか、ミネルバさんは東の国で囮として生活している中で、全く反省していなかったのね。

 いえ。
反省していたとしても、根本のところは変わっていなかったということかしら。

 私は。

 ケレス様のこともそうだけど、私や私の家族、大切な人に関わらないでくれるなら、彼らが生きて幸せになってもかまわなかったのよ。

 はっきり言えば、どうでも良かったの。

 私のあずかり知らぬところで何をどうしていようと、本当にかまわなかったのよ。

 だけどお亡くなりになったことで、ヴァイスたちに危害が及ばないことには安心してしまったわ。

 人が亡くなって安心するだなんて、私も冷たい人間なのかもしれないわね。

 それでもヴァイスやヴィル様、リリアたちに比べたら、ミネルバさんやケレス様の命は私にとっては軽いものなの。

「良かったと言ったなら・・・ヴィル様は私のことを軽蔑なさいますか?」

「何故だ?」

「だって、人が亡くなったのに」

「罪人だ。それに、俺にとってはティアお前が一番大切だ。お前を、お前とヴァイスを守るためなら、俺自らが殺したかもしれん。お前こそ、俺を軽蔑するか?」

 私がヴィル様を軽蔑?
そんなことあるわけないわ。

「あり得ません」

「俺も同じだ。お前を軽蔑するようなことはあり得ない。ティアも人間だから、間違うこともあるだろう。だが、お前ならその間違いを恥じ、正しくあろうとするはずだ。だから、たとえ間違えたとしても軽蔑することはない」

 ヴィル様のお言葉に、胸が熱くなってしまった。

 もう!ヴィル様ってば。
そんなふうにおっしゃられたら、泣いてしまうわ。
しおりを挟む
感想 31

あなたにおすすめの小説

お望み通り、別れて差し上げます!

珊瑚
恋愛
「幼なじみと子供が出来たから別れてくれ。」 本当の理解者は幼なじみだったのだと婚約者のリオルから突然婚約破棄を突きつけられたフェリア。彼は自分の家からの支援が無くなれば困るに違いないと思っているようだが……?

【完結】「君を愛することはない」と言われた公爵令嬢は思い出の夜を繰り返す

おのまとぺ
恋愛
「君を愛することはない!」 鳴り響く鐘の音の中で、三年の婚約期間の末に結ばれるはずだったマルクス様は高らかに宣言しました。隣には彼の義理の妹シシーがピッタリとくっついています。私は笑顔で「承知いたしました」と答え、ガラスの靴を脱ぎ捨てて、一目散に式場の扉へと走り出しました。 え?悲しくないのかですって? そんなこと思うわけないじゃないですか。だって、私はこの三年間、一度たりとも彼を愛したことなどなかったのですから。私が本当に愛していたのはーーー ◇よくある婚約破棄 ◇元サヤはないです ◇タグは増えたりします ◇薬物などの危険物が少し登場します

最愛の夫が余命一年らしいので、彼の望み通り離縁することにします

ぽんた
恋愛
サエ・バッキンガムは、ある日最愛の夫のトラヴィスが余命一年だと知る。子どもの頃から悪名高いサエは、金の力で大好きなトラヴィスを夫にした。当然、トラヴィスはサエを憎悪している。しかも、トラヴィスには結婚前から「真に愛する人」がいる。それでも、サエは彼を愛し続けている。愛する人が余命一年。しかし、悪妻悪女を演じるサエは、トラヴィスに素直になれないでいる。時間はない。愛する夫に離縁をつきつけ、彼には残された時間を「真に愛する人」とすごしてもらおう。サエは、ついに決意した。 ※ハッピーエンド確約。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。

本編完結 彼を追うのをやめたら、何故か幸せです。

音爽(ネソウ)
恋愛
少女プリシラには大好きな人がいる、でも適当にあしらわれ相手にして貰えない。 幼過ぎた彼女は上位騎士を目指す彼に恋慕するが、彼は口もまともに利いてくれなかった。 やがて成長したプリシラは初恋と決別することにした。 すっかり諦めた彼女は見合いをすることに…… だが、美しい乙女になった彼女に魅入られた騎士クラレンスは今更に彼女に恋をした。 二人の心は交わることがあるのか。

皆さん勘違いなさっているようですが、この家の当主はわたしです。

和泉 凪紗
恋愛
侯爵家の後継者であるリアーネは父親に呼びされる。 「次期当主はエリザベスにしようと思う」 父親は腹違いの姉であるエリザベスを次期当主に指名してきた。理由はリアーネの婚約者であるリンハルトがエリザベスと結婚するから。 リンハルトは侯爵家に婿に入ることになっていた。 「エリザベスとリンハルト殿が一緒になりたいそうだ。エリザベスはちょうど適齢期だし、二人が思い合っているなら結婚させたい。急に婚約者がいなくなってリアーネも不安だろうが、適齢期までまだ時間はある。お前にふさわしい結婚相手を見つけるから安心しなさい。エリザベスの結婚が決まったのだ。こんなにめでたいことはないだろう?」 破談になってめでたいことなんてないと思いますけど?  婚約破棄になるのは構いませんが、この家を渡すつもりはありません。

【完結】そんなに好きなら、そっちへ行けば?

雨雲レーダー
恋愛
侯爵令嬢クラリスは、王太子ユリウスから一方的に婚約破棄を告げられる。 理由は、平民の美少女リナリアに心を奪われたから。 クラリスはただ微笑み、こう返す。 「そんなに好きなら、そっちへ行けば?」 そうして物語は終わる……はずだった。 けれど、ここからすべてが狂い始める。 *完結まで予約投稿済みです。 *1日3回更新(7時・12時・18時)

さようなら、わたくしの騎士様

夜桜
恋愛
騎士様からの突然の『さようなら』(婚約破棄)に辺境伯令嬢クリスは微笑んだ。 その時を待っていたのだ。 クリスは知っていた。 騎士ローウェルは裏切ると。 だから逆に『さようなら』を言い渡した。倍返しで。

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

処理中です...