拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら

みおな

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友人たちはお怒りです。

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「絶対に、後悔しますわよね」

 そう言ったのは、友人のひとりアルトナー王国ブライアン公爵家のご令嬢、グレース・ブライアン様。

 緩やかに弧を描く金髪に、エメラルドのような瞳。
 優しくて、出るところは出て引っ込むところは引っ込んでいるという、とても羨ましい容姿をされている。

「すればいいのよ、あんなの」

 それに同意するのは、もう一人の友人のベリンダ・アルトナー様。

 銀髪に紫色の瞳をした彼女は、ビアンカ王太女殿下の妹。

 銀髪は他にもいるけど、紫色の瞳はアルトナー王家にしか生まれない。

 瞳の色もそうだけど、ベリンダ様は生まれながらの王族。

 言動が上に立つ者そのものなのよ。

 それでも、王太女はお姉様のビアンカ様だと本人も言っていて、自分を担ぎ上げようとする者たちを大人しいふりをして炙り出して、一気に粛正するという強かな人。

 見た目がものすごくおとなしそうで、小動物のようだから、みんな騙されるのよね。

 猫を百匹ほど乗せてるだけなんだけど。

「猫が転げてるわ。ちゃんと被らないと」

 そう指摘するのは、カロリーナ・ジェネシス。ジェネシス侯爵家の次女で、実は婚約者様の従妹にあたる。

 つまりは、ファンティーヌ様とも従姉妹になるんだけど、ファンティーヌ様とはとても仲が悪い。

 まぁ、当然よね。
私だって、もしも彼女と親戚関係だったとしても、あんな常識のない相手と親しくはできないわ。

 ちなみに、ファンティーヌ様が公爵家に引き取られるまでは、婚約者様とは普通に親戚として挨拶程度はしていたそうだ。

「ハァ。どうしてお父様は、あんなのの婚約者にクロエを?お母様も反対してくだされば良かったのに」

「あれでも、昔は普通でしたのよ。努力家で、公爵家を継ぐ兄を支えると言っていて。その後、アドルファスお兄様が王太女殿下の婚約者になってからは、自分が継ぐのだからと頑張っていて。もちろん、だからといってクライヴが悪くないとは言わないですけど、陛下たちに罪はありませんわ」

 ベリンダ様にカロリーナ様がおっしゃっているのを聞いて、まぁ確かにそうだろうなと思う。

 問題ありな次男だったら、いくら嫡男が王配になることが決まっていても、後継にはしなかっただろう。

 親子の情だけで、公爵領に住むすべての領民の生活を危うくさせるわけにはいかないのだから。

 実際、コンラッド公爵の親戚には、カロリーナ様のような優秀な方がいらっしゃる。

 養子に取ればいいのだもの。

 もちろん婚約者様は文句を言うだろうけど、どちらにしろ今の成績じゃ後継にはなれないし、公爵夫人になるのがあの子じゃ社交もできないでしょうしね。







 
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