拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら

みおな

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やっと気付いたみたいです。

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「ち、父上っ!この女との婚約は続行します!ですから廃籍は・・・」

「すでに手続きは終わっておる。コンラッド公爵。その見苦しい二人にさっさと罰を与えて放り出せ。目障りじゃ」

 元婚約者様がコンラッド公爵に縋りつこうとした時、冷ややかな声が会場に響いた。

 艶やかな銀髪を結いあげ、紫色の宝石が嵌め込まれた王笏を片手に現れたのは、アルトナー王国現女王陛下、ブリジット・アルトナー様。

「もっ、申し訳ございません。女王陛下!」

 その場にひれ伏したコンラッド公爵様は、キツい視線を元婚約者様とファンティーヌ様に向けた。

「クライヴは廃籍。ファンティーヌは預かり終了。二人とも、ルーベンス子爵令嬢及びメルキオール様への不敬の罰として、西区の街道整備の就労を行うように!これを拒んだ場合、お前たちには慰謝料として各自金貨五百枚支払ってもらう」

「廃籍?就労?五百?父上っ!待ってくださいっ!」

「待たない。女王陛下、メルキオール様、ルーベンス様。これでよろしいでしょうか?」

「甘い気がするけど、まぁ、いいわ」

 お姉様は甘いと言うけれど、王宮勤めとかではなく、平民の就労の場合、一ヶ月金貨一枚が平均のこの国で、金貨五百枚って。

 アルトナー王国の西区は、獣の住む森があって、そこの街道整備は危険を伴うと聞く。

 もちろん国の事業だから、一応騎士たちが警護はしてるらしいけど。

「たっ、助けろっ!ルーベンス子爵令嬢!お前が婚姻を了承したらそれで済むんだ!」

「え?済むわけないじゃないですか。私への慰謝料はともかく、お姉様に不敬を働いたことに関する慰謝料はなくなりませんよ。しかも、女王陛下のご命令ですよ?覆るわけがないじゃないですか」

「あ、姉ということは子爵令嬢だろう。なら、高位貴族の僕の方が・・・」

「その雑草が生い茂っている頭で、よぉぉく考えてみてください。公爵様はお姉様をなんと呼びましたか?そしてメルキオールという名に聞き覚えはありませんか?」

 まぁ今さら気付いたとしても遅いけど、自分がどれだけ愚かなことをしたのか、せいぜい後悔すればいいわ。

 一応は、公爵家の次男だったのだし、メルキオールという家名を知らない貴族なんていないわ。

 そもそも家名を知らなくても、大抵の人は容姿で気付くのだけど。

「父上がなんと呼んでいた?メルキオール様・・・と。様?公爵である父上が、たかが令嬢を様?ん?メルキオール?メルキオールといえば、東方にある帝国がメルキオールだが・・・そこの皇帝一家が黒髪黒・・・目で・・・」

 やっと気付いたの?一年もかかったわね。
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