拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら

みおな

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自分のしたことの責任は自分で。

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「め、メルキオール帝国・・・皇帝一家?」

 あら。声が震えてるわ。
顔色も悪いみたい。

 メルキオール帝国は、ここアルトナー王国から東に位置する大国。

 国としての規模も国力も経済力もなんなら軍事力も、アルトナー王国を遥かに上回っている。

 メルキオール帝国の皇帝陛下は黒髪黒目で、皇妃がどんな色を持っていたとしても、生まれてくる子は黒髪黒目という皇帝一族の血の強い国。

 だけど、その色を継ぐのは皇帝陛下の子供まで。

 次期皇帝にならない者、つまりお嫁に行ったり大公爵を賜ったりした者の子供は、何故か黒髪黒目にはならないという、七不思議?のある国。

 黒髪黒目というのは、それほど珍しい色なんだけど・・・

 でもファンティーヌ様は、理解らないみたい。

 一応、彼女も男爵家の令嬢で、二年間学園に通ったはずなんだけど。

「クライヴ?どうしたの?メルキオールって何?それに、就労って・・・」

「ちょっと黙ってろ!黒髪黒目だが、ルーベンス子爵令嬢だと・・・だがお姉様?」

 元婚約者様が、謎ループに入っているわ。

 そこじゃないのよね。
黒髪黒目なんだから、だってことよ?

 私がルーベンス子爵令嬢を名乗ってるのには、別に理由があるんだから、そこを今考えても答えは出ないわよ?

「ねぇ!クライヴってば!」

「うるさいっ!今、大事なことを考えてるんだっ!」

「ひどいっ!貴女のせい?貴女のせいねっ!クライヴはずっと優しかったのに!」

 え?人のせいにしないでくれる?

 そりゃ元婚約者様もそんな余裕ないでしょ。
 公爵家を継げるはずが、廃籍されて平民になり、しかも就労か金貨五百枚かって言われてるんだから。

 というか、貴女もなんだけど?
自分も同じこと言われたの、理解ってる?

「お前っ、ルーベンス子爵令嬢じゃないのかっ?騙してたのかっ?」

「騙してなんていませんよ。顔合わせの時の私は、ルーベンス子爵令嬢でしたよ」

「えっ、だって黒髪黒目で・・・え?じゃあ、やっぱりメルキオール帝国の人間じゃない?」

 あらあら。元婚約者様が混乱し始めたわ。

 なら、子爵令嬢じゃなく子爵だって言わない方がいいわよね。

 別に子爵令嬢でも子爵でも、婚約がなくなるのは変わらないんだし。

「たっ、助けてくれ!何でもする!二度と他に目を向けたりしない!だからっ!」

「私の決めた罰ではありませんのよ?罰を求められたのは、女王陛下。罰を決められたのはコンラッド公爵閣下。私に縋られても、どうにも出来ませんわ」

「そんなっ・・・」

 そんな絶望した顔をされても。
自分のしたことは、自分で始末して下さらないと。




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