拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら

みおな

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怒りを通り越して呆れました。

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「お父様がお母様のことを愛してらっしゃるのは理解していましたが、その愛情の半分でも娘に注いでくださいませ」
 
 もう本当に、怒りを通り越して呆れたわ。

 お父様は心外だというお顔をされているけど、お父様のなさったことは娘にそう言われても仕方ないことなのよ。

「愛していないわけがないだろう。愛する妻との子供なんだぞ」

「なら、何故あんな婚約を決めたのです?もしかしてお姉様だけ愛していて、私のことはどうでも良かったのですか?」

 わざとらしく目を伏せて悲しげな表情をしてみたけど、本当はお父様が私のことも大切に思ってくれていることは理解っている。

 お父様の場合は、それ以上にお母様への愛が振り切れてるだけだ。

 お父様って執着系よね。

「すまない。まさか、あんな阿呆だとは思わなかったのだ」

 まぁそれは、私もそう思ったけど。
 貴族の、しかも公爵家の令息があそこまで常識知らずの阿呆だとは思わなかったわ。

 でも、アレが阿呆なのと、お父様がお母様への愛を拗らせたことが原因で、シリルとの婚約打診を無視したことは別問題だから。

「で?どうされるおつもりですか?お母様、お怒りなのでしょう?」

 そう。
お母様はお父様が勝手に私の婚約を決めたことにお怒りで、お父様はここ一年口を聞いてもらえていないらしい。

「本当に、マキシミリオンの国王陛下が恋敵なことだけが理由ですか?だってルーファス様の時は何も言わなかったじゃないですか」

「オーロラがルーファス殿にベタ惚れだったから、口を挟めなかったんだ」

「私が何も言わなかったから、ということですか」

 確かに私は、シリルからの婚約の申し込みに対して、何も言わなかった。

 貴族の中から、マキシミリオン王国との縁が強すぎると、自国の令息との婚約をという声が上がっていたこともある。

 ただ、その自国の令息との婚約が私もそれを避けるためにも良いかと思ったのよね。

 それに私自身、シリルのことを特別視していなかったということもある。

 お姉様の旦那様の弟。

 シリルは身分は王子だし、容姿も優れてる。

 今の令嬢たちの好みは、大人の男性系の凛々しい感じが主流だけど、私はどちらかというと可愛い感じの容姿が好きだから、凛々しいルーファス様より、可愛いイメージのシリルに好感は持った。

 でも、同い年だから兄でも弟でもないけど、家族となったのだから、それ以上の感情を持たないように自分に戒めをかけた。

 マキシミリオン王国だって、第三王子とはいえ、第二王子に続いてメルキオール帝国に婿にやるのは貴族の文句もあるだろうから。

 


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