拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら

みおな

文字の大きさ
33 / 130

報告と連絡と相談。

しおりを挟む
「というわけなのですけど、どう思われます?というか、ご存知でしたか?お父様」

 家族全員で集まった応接室。
そこで私が話した内容に、お父様とお義兄様は眉を寄せ、お母様とお姉様は微笑みを浮かべたままだった。

 あ。
お姉様。手に持ったカップの取っ手にピシリとヒビが!

 すぐに、お姉様付きの侍女がカップを受け取り、新しいカップに紅茶を注ぐ。

 あのカップ、何個目かしら?
もういっそ銀のカップとかにすれば良いんじゃない、と思う私は間違ってないわよね?

「ほほほ。まさかこのメルキオール帝国にそのようないるだなんて。旦那様はご存知ですわよね?」

 あ。
久しぶりの会話が、ものすごく剣呑としたものになってしまったわ。

 ごめんなさい、お父様。
もし、ご存知なかったとしたら、お話してもらえない期間が延長するかも。

「ターナー伯爵家とソルティア侯爵家から相談を受けている。ブッセ伯爵家とフォレスコム伯爵家の方からは聞いていないが」

「まぁ、当然ですわね。ターナー伯爵家とソルティア侯爵家にとっては、大事な家を継ぐ者ですもの。目が行き届いてないようでは、帝国貴族として能力不足ですものね」

「オーロラ。その男爵令嬢が彼らの周囲に出没し出したのは、ここ二ヶ月ほどのことだ。どうやら、公爵家や侯爵家に相手にされなくて、伯爵家に手を伸ばしたらしい。当主が把握できてなくても仕方ないよ」

 ちゃんと、調べはついているのね。

 まぁ、アグネス様たちもご存知だったのだから、ここでお父様たちが知らないとなると『お仕置き』期間が無期限になる可能性があったわね。

「それで、どうして放置ですの?」

 放置しているのよね?

 私の質問に答えてくれたのは、ルーファスお義兄様だった。

「実は、その男爵令嬢・・・レグディア男爵夫人が産んだ娘なわけだが、その父親が問題でね」

「父親が?」

「夫人はレグディア男爵と結婚する前にその男と交際していて、そのキティという娘を産んだのだけどね。ソイツが闇社会の人間だと分かったんだ」

 闇社会。
人に害を及ぼす存在。

 危険な薬を扱ったり、人身売買をしたりと、危険視されている団体で、何人いるかとか、どこの国の人間だとか、ハッキリと解明されていない。

 そんな危険分子との間の子供なの?

「怪しい薬を使っている可能性があって、極秘に調査中なんだよ。夫人はともかく娘とは繋がっている可能性が高くてね」

「じゃあ、薬のせいでその令嬢に傾倒しているの?」

 あら、でもそれなら、余計に高位貴族を狙うのじゃないの?

 
しおりを挟む
感想 372

あなたにおすすめの小説

見捨てられたのは私

梅雨の人
恋愛
急に振り出した雨の中、目の前のお二人は急ぎ足でこちらを振り返ることもなくどんどん私から離れていきます。 ただ三人で、いいえ、二人と一人で歩いていただけでございました。 ぽつぽつと振り出した雨は勢いを増してきましたのに、あなたの妻である私は一人取り残されてもそこからしばらく動くことができないのはどうしてなのでしょうか。いつものこと、いつものことなのに、いつまでたっても惨めで悲しくなるのです。 何度悲しい思いをしても、それでもあなたをお慕いしてまいりましたが、さすがにもうあきらめようかと思っております。

愛しの婚約者は王女様に付きっきりですので、私は私で好きにさせてもらいます。

梅雨の人
恋愛
私にはイザックという愛しの婚約者様がいる。 ある日イザックは、隣国の王女が私たちの学園へ通う間のお世話係を任されることになった。 え?イザックの婚約者って私でした。よね…? 二人の仲睦まじい様子を見聞きするたびに、私の心は折れてしまいました。 ええ、バッキバキに。 もういいですよね。あとは好きにさせていただきます。

王子は婚約破棄を泣いて詫びる

tartan321
恋愛
最愛の妹を失った王子は婚約者のキャシーに復讐を企てた。非力な王子ではあったが、仲間の協力を取り付けて、キャシーを王宮から追い出すことに成功する。 目的を達成し安堵した王子の前に突然死んだ妹の霊が現れた。 「お兄さま。キャシー様を3日以内に連れ戻して!」 存亡をかけた戦いの前に王子はただただ無力だった。  王子は妹の言葉を信じ、遥か遠くの村にいるキャシーを訪ねることにした……。

お久しぶりです、元旦那様

mios
恋愛
「お久しぶりです。元旦那様。」

初恋の兄嫁を優先する私の旦那様へ。惨めな思いをあとどのくらい我慢したらいいですか。

梅雨の人
恋愛
ハーゲンシュタイン公爵の娘ローズは王命で第二王子サミュエルの婚約者となった。 王命でなければ誰もサミュエルの婚約者になろうとする高位貴族の令嬢が現れなかったからだ。 第一王子ウィリアムの婚約者となったブリアナに一目ぼれしてしまったサミュエルは、駄目だと分かっていても次第に互いの距離を近くしていったためだった。 常識のある周囲の冷ややかな視線にも気が付かない愚鈍なサミュエルと義姉ブリアナ。 ローズへの必要最低限の役目はかろうじて行っていたサミュエルだったが、常にその視線の先にはブリアナがいた。 みじめな婚約者時代を経てサミュエルと結婚し、さらに思いがけず王妃になってしまったローズはただひたすらその不遇の境遇を耐えた。 そんな中でもサミュエルが時折見せる優しさに、ローズは胸を高鳴らせてしまうのだった。 しかし、サミュエルとブリアナの愚かな言動がローズを深く傷つけ続け、遂にサミュエルは己の行動を深く後悔することになる―――。

王命を忘れた恋

須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』  そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。  強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?  そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。

[完結]婚約破棄してください。そして私にもう関わらないで

みちこ
恋愛
妹ばかり溺愛する両親、妹は思い通りにならないと泣いて私の事を責める 婚約者も妹の味方、そんな私の味方になってくれる人はお兄様と伯父さんと伯母さんとお祖父様とお祖母様 私を愛してくれる人の為にももう自由になります

愛想を尽かした女と尽かされた男

火野村志紀
恋愛
※全16話となります。 「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」

処理中です...