拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら

みおな

文字の大きさ
69 / 130

マキシミリオン王立学園。

しおりを挟む
 マキシミリオン王国王立学園。

 十六歳から十八歳までの貴族が通う学園だ。

 学園では成績順にクラスが決められて、たとえ王族であっても成績が悪ければ下位のクラスになるらしい。

 当然、私も編入試験を受けた。

 メルキオール王国では、高位貴族や王族は学園に通わず家庭教師から学ぶ。

 幸いにもアルトナー王国で学園に通えたし、婚約者との交流がなかった分、勉学にも励めたから、下位にはならないと思ったけど・・・

「編入試験、満点だとは思わなかったわ」

 この学園では、試験結果は公表される。

 中間と学期末に試験があって、点数順に名前が貼り出されるのだそう。

 魔道具が発展している国だから、不正はできないようにもなってるし、成績上位者は特典がもらえるらしい。

 廊下に貼り出された、私の編入試験の点数は、五百点。

 五つの科目全てが満点だった。

 中間試験は五科目、学期末試験は九科目あるそうで、三十位以内がSクラスになるようだ。

「これから、クロエと机を並べて授業を受けれるんだ。お昼もたまにでいいから一緒に食べて欲しいな」

「ありがとう。待ってる」

 シリルは、私が令嬢たちから浮かないように、無理強いをしない。

 自国の第三王子殿下の婚約者というふれ込みの私に対して、注目されているのを感じる。

 まぁ、私の容姿はメルキオール王国の王族の色だから、わかる人にはわかると思うけど・・・

 この国にもいるのかしら?
メルキオールの王族の色を知らない貴族の方。

「ごきげんよう、殿下。ご紹介くださるかしら?」

 そう言って声をかけて来たのは、蜂蜜色の髪にエメラルド色の瞳をしたご令嬢。

 すごく大人っぽいし、綺麗だわ。

「ああ。クロエ、彼女はうちの筆頭公爵家のご令嬢でキャリーヌ・フェルゲン嬢。王太子妃殿下の妹君だよ。キャリーヌ嬢、彼女は僕の婚約者のクロエ嬢だ」

 シリルはあえて家名を告げなかった。

 私はこの学園に、クロエ・ルーベンスとして編入している。

 無事?に、伯母様から伯爵位をいただけたのよね。

「ふふっ。お初にお目にかかります。キャリーヌ・フェルゲンですわ。シリル殿下の至宝の宝玉にお会いできて光栄です」

「はじめまして、クロエと申します。アルトナー王国でルーベンス伯爵位を賜っていますわ」

 シリルの至宝の宝玉って・・・

 でも、この様子だと、私とシリルの婚約に関して不満とかはなさそうね。

 筆頭公爵家のご令嬢なら、シリルの婚約者候補になっていてもおかしくないんだけど。

「ふふふっ。ご安心なさって?わたくし、シリル殿下はじゃありませんの」

 あら。
意外にハッキリおっしゃる方ね。仲良くなれそうだわ。


 
しおりを挟む
感想 372

あなたにおすすめの小説

見捨てられたのは私

梅雨の人
恋愛
急に振り出した雨の中、目の前のお二人は急ぎ足でこちらを振り返ることもなくどんどん私から離れていきます。 ただ三人で、いいえ、二人と一人で歩いていただけでございました。 ぽつぽつと振り出した雨は勢いを増してきましたのに、あなたの妻である私は一人取り残されてもそこからしばらく動くことができないのはどうしてなのでしょうか。いつものこと、いつものことなのに、いつまでたっても惨めで悲しくなるのです。 何度悲しい思いをしても、それでもあなたをお慕いしてまいりましたが、さすがにもうあきらめようかと思っております。

愛しの婚約者は王女様に付きっきりですので、私は私で好きにさせてもらいます。

梅雨の人
恋愛
私にはイザックという愛しの婚約者様がいる。 ある日イザックは、隣国の王女が私たちの学園へ通う間のお世話係を任されることになった。 え?イザックの婚約者って私でした。よね…? 二人の仲睦まじい様子を見聞きするたびに、私の心は折れてしまいました。 ええ、バッキバキに。 もういいですよね。あとは好きにさせていただきます。

王子は婚約破棄を泣いて詫びる

tartan321
恋愛
最愛の妹を失った王子は婚約者のキャシーに復讐を企てた。非力な王子ではあったが、仲間の協力を取り付けて、キャシーを王宮から追い出すことに成功する。 目的を達成し安堵した王子の前に突然死んだ妹の霊が現れた。 「お兄さま。キャシー様を3日以内に連れ戻して!」 存亡をかけた戦いの前に王子はただただ無力だった。  王子は妹の言葉を信じ、遥か遠くの村にいるキャシーを訪ねることにした……。

お久しぶりです、元旦那様

mios
恋愛
「お久しぶりです。元旦那様。」

初恋の兄嫁を優先する私の旦那様へ。惨めな思いをあとどのくらい我慢したらいいですか。

梅雨の人
恋愛
ハーゲンシュタイン公爵の娘ローズは王命で第二王子サミュエルの婚約者となった。 王命でなければ誰もサミュエルの婚約者になろうとする高位貴族の令嬢が現れなかったからだ。 第一王子ウィリアムの婚約者となったブリアナに一目ぼれしてしまったサミュエルは、駄目だと分かっていても次第に互いの距離を近くしていったためだった。 常識のある周囲の冷ややかな視線にも気が付かない愚鈍なサミュエルと義姉ブリアナ。 ローズへの必要最低限の役目はかろうじて行っていたサミュエルだったが、常にその視線の先にはブリアナがいた。 みじめな婚約者時代を経てサミュエルと結婚し、さらに思いがけず王妃になってしまったローズはただひたすらその不遇の境遇を耐えた。 そんな中でもサミュエルが時折見せる優しさに、ローズは胸を高鳴らせてしまうのだった。 しかし、サミュエルとブリアナの愚かな言動がローズを深く傷つけ続け、遂にサミュエルは己の行動を深く後悔することになる―――。

王命を忘れた恋

須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』  そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。  強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?  そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。

[完結]婚約破棄してください。そして私にもう関わらないで

みちこ
恋愛
妹ばかり溺愛する両親、妹は思い通りにならないと泣いて私の事を責める 婚約者も妹の味方、そんな私の味方になってくれる人はお兄様と伯父さんと伯母さんとお祖父様とお祖母様 私を愛してくれる人の為にももう自由になります

愛想を尽かした女と尽かされた男

火野村志紀
恋愛
※全16話となります。 「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」

処理中です...