拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら

みおな

文字の大きさ
70 / 130

新たな友人。

しおりを挟む
「わたくし、シリル殿下は好みではありませんの」

 ある意味ものすごく不敬なことを、ハッキリと言い切ったフェルゲン公爵令嬢。

 まさか、本人の前でハッキリと断言するとは思わなかったわ。

 シリルは私を好きだと言ってくれてるけど、気にしないのかしら?

「彼女はね、上の兄上のような方が好みなんだよ」

 シリルによると、一番上のお兄様、王太子殿下はマキシミリオン王国国王陛下に似ていて、美丈夫。

 ルーファスお兄様とシリルは、王妃様似で女性的というか中性的な美貌なのよね。

 王太子殿下は、私たちより五歳年上のルーファスお兄様よりさらに五歳年上。

 ルーファスお兄様の結婚式には、国王陛下が参列されたから、王太子殿下は国に残られていたのよね。

 マキシミリオン王国でもお披露目はしたけど、私はそれには参加しなかったから、ほとんど面識がない。

「わたくしとお姉様は、男性の好みが同じなのですわ。もちろん、お姉様の旦那様に懸想するつもりはありませんけど。それに、我がフェルゲン家はすでに王家と縁付いています。ですから両親も政略的な関係を望んではいませんの」

「彼女は僕など歯牙にもかけないよ。容姿だけでなく、年齢も足りないと言われた」

「わたくし、せめて五歳は年上でないと。弟のようにしか見れませんの」

 それはなんとも・・・
公爵令嬢の婚約者になれる立場の方で、五歳年上の方などいるのかしら?

 普通なら、結婚されているか、そうでなくても婚約者がいると思うわ。

 フェルゲン公爵家の後継は、いらっしゃるのよね?

「フェルゲン様は・・・」

「わたくしのことは、キャリーヌとお呼びください。お友達になってくださると嬉しいですわ」

「ありがとうございます。でしたら、私のこともクロエと。出来れば家名ではなく名前で呼んでいただきたかったのです」

 ルーベンス伯爵の名も嘘にはならないけど、にはそのままの私で接したい。

 ルーベンスの名は、あくまでも私を殿と見下す相手を見極めるためのものだから。

「ふふっ。クロエ様は、我がフェルゲン家の後継のことを気にしてくださっているのですわね?確かに姉が王太子殿下に嫁ぎ、我が家にはわたくししか子供はおりません。ですが両親もわたくしが強情なことは理解してくれていますから、学園卒業までに婚約者が決まらなければ遠縁の親戚から養子を取ることになっています。その際は、わたくしは領地に下がることになっていますの」

 
しおりを挟む
感想 372

あなたにおすすめの小説

見捨てられたのは私

梅雨の人
恋愛
急に振り出した雨の中、目の前のお二人は急ぎ足でこちらを振り返ることもなくどんどん私から離れていきます。 ただ三人で、いいえ、二人と一人で歩いていただけでございました。 ぽつぽつと振り出した雨は勢いを増してきましたのに、あなたの妻である私は一人取り残されてもそこからしばらく動くことができないのはどうしてなのでしょうか。いつものこと、いつものことなのに、いつまでたっても惨めで悲しくなるのです。 何度悲しい思いをしても、それでもあなたをお慕いしてまいりましたが、さすがにもうあきらめようかと思っております。

愛しの婚約者は王女様に付きっきりですので、私は私で好きにさせてもらいます。

梅雨の人
恋愛
私にはイザックという愛しの婚約者様がいる。 ある日イザックは、隣国の王女が私たちの学園へ通う間のお世話係を任されることになった。 え?イザックの婚約者って私でした。よね…? 二人の仲睦まじい様子を見聞きするたびに、私の心は折れてしまいました。 ええ、バッキバキに。 もういいですよね。あとは好きにさせていただきます。

王子は婚約破棄を泣いて詫びる

tartan321
恋愛
最愛の妹を失った王子は婚約者のキャシーに復讐を企てた。非力な王子ではあったが、仲間の協力を取り付けて、キャシーを王宮から追い出すことに成功する。 目的を達成し安堵した王子の前に突然死んだ妹の霊が現れた。 「お兄さま。キャシー様を3日以内に連れ戻して!」 存亡をかけた戦いの前に王子はただただ無力だった。  王子は妹の言葉を信じ、遥か遠くの村にいるキャシーを訪ねることにした……。

お久しぶりです、元旦那様

mios
恋愛
「お久しぶりです。元旦那様。」

初恋の兄嫁を優先する私の旦那様へ。惨めな思いをあとどのくらい我慢したらいいですか。

梅雨の人
恋愛
ハーゲンシュタイン公爵の娘ローズは王命で第二王子サミュエルの婚約者となった。 王命でなければ誰もサミュエルの婚約者になろうとする高位貴族の令嬢が現れなかったからだ。 第一王子ウィリアムの婚約者となったブリアナに一目ぼれしてしまったサミュエルは、駄目だと分かっていても次第に互いの距離を近くしていったためだった。 常識のある周囲の冷ややかな視線にも気が付かない愚鈍なサミュエルと義姉ブリアナ。 ローズへの必要最低限の役目はかろうじて行っていたサミュエルだったが、常にその視線の先にはブリアナがいた。 みじめな婚約者時代を経てサミュエルと結婚し、さらに思いがけず王妃になってしまったローズはただひたすらその不遇の境遇を耐えた。 そんな中でもサミュエルが時折見せる優しさに、ローズは胸を高鳴らせてしまうのだった。 しかし、サミュエルとブリアナの愚かな言動がローズを深く傷つけ続け、遂にサミュエルは己の行動を深く後悔することになる―――。

(完結)家族にも婚約者にも愛されなかった私は・・・・・・従姉妹がそんなに大事ですか?

青空一夏
恋愛
 私はラバジェ伯爵家のソフィ。婚約者はクランシー・ブリス侯爵子息だ。彼はとても優しい、優しすぎるかもしれないほどに。けれど、その優しさが向けられているのは私ではない。  私には従姉妹のココ・バークレー男爵令嬢がいるのだけれど、病弱な彼女を必ずクランシー様は夜会でエスコートする。それを私の家族も当然のように考えていた。私はパーティ会場で心ない噂話の餌食になる。それは愛し合う二人を私が邪魔しているというような話だったり、私に落ち度があってクランシー様から大事にされていないのではないか、という憶測だったり。だから私は・・・・・・  これは家族にも婚約者にも愛されなかった私が、自らの意思で成功を勝ち取る物語。  ※貴族のいる異世界。歴史的配慮はないですし、いろいろご都合主義です。  ※途中タグの追加や削除もありえます。  ※表紙は青空作成AIイラストです。

お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】 私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。 その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。 ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない 自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。 そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが―― ※ 他サイトでも投稿中   途中まで鬱展開続きます(注意)

あなたの妻にはなりません

風見ゆうみ
恋愛
幼い頃から大好きだった婚約者のレイズ。 彼が伯爵位を継いだと同時に、わたしと彼は結婚した。 幸せな日々が始まるのだと思っていたのに、夫は仕事で戦場近くの街に行くことになった。 彼が旅立った数日後、わたしの元に届いたのは夫の訃報だった。 悲しみに暮れているわたしに近づいてきたのは、夫の親友のディール様。 彼は夫から自分の身に何かあった時にはわたしのことを頼むと言われていたのだと言う。 あっという間に日にちが過ぎ、ディール様から求婚される。 悩みに悩んだ末に、ディール様と婚約したわたしに、友人と街に出た時にすれ違った男が言った。 「あの男と結婚するのはやめなさい。彼は君の夫の殺害を依頼した男だ」

処理中です...