拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら

みおな

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炙り出し。

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「他国の伯爵風情が、王太子妃殿下の妹様で公爵令嬢のキャリーヌ様を差し置いて、シリル殿下と婚約だなんて!」

 聞こえよがしに話す令嬢たちの声に、予定通りだと思えばいいのか、どこの国にもいるのかとため息を吐けばいいのか。

 いずれにしても、愚かだと思う。

 シリル望み、キャリーヌ様が関係を、他人がどうこうと邪推することを愚かと言わず何と言うのか。

 本当に、私自身が伯爵令嬢だったとしても、シリルやキャリーヌ様の気持ちを代弁する権利は、彼女たちにはない。

 アレらを全て排除すれば、マキシミリオン王国で暮らすこともできるけれど・・・

 私は、自分が皇女と自覚している。

 人に傅かれ、大切にされることに慣れすぎている。

 だから、そうでない相手への見切りが早い。

 別に見切ったからといって、相手を罰したり貶めたりするつもりはない。

 私が動かなくても、

 お姉様が

 お母様が

 そしてシリルが絶対に動く。

 そして私の大切な人たちに罰せられる人たちを、私は助けたりしない。

 そんな慈悲深い人間じゃないから。

「あのぉ、そういうの、良くないと思います」

 自分の思考の海に沈んでいると、不意にそんな声が聞こえた。

 キャリーヌ様が不浄に行っている間、一人になったタイミングで聞こえて来た会話。

 別にそう思われるだろうことは想像していたから、やっぱりねと思っただけだった。

 周囲もそうなのか、そうでなくてもその言葉を咎めたりはしないと思っていたのだけど・・・

「っ!何よっ!なんかが、侯爵家の私に文句をつけるつもりっ!」

「文句なんて・・・ただ、無関係なのに口を挟むのは良くないって思って」

「五月蝿いわねっ!私は別に間違ったことは言ってないわ!

「・・・クロエ、アレはなに?」

 止めるべきか迷っていたら、キャリーヌ様が戻って来た。

「ええと・・・」

「ああ、。彼女が殿下の婚約について文句を言ったのね?で、あの子は?」

「彼女の発言は正しいことではないと言ったの。すごいわね。男爵令嬢だと言われてたけど、高位貴族に物申せるなんて」

 貴族ばかりが通うこの学園で、男爵令嬢は最下位の位置付けだろう。

 頂点に立つのが王族で、その次が公爵令嬢。

 マキシミリオン王国には、王女殿下はいないから、筆頭公爵家の令嬢であるキャリーヌ様が頂点。

 侯爵令嬢だと言う彼女も、男爵令嬢からすれば雲の上の人。

 それなのに、苦言を呈することができるなんて。

 怖いもの知らずというか。何も考えてない正義の味方というか。

 貴族らしくない娘だと思った。

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