拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら

みおな

文字の大きさ
96 / 130

譲れないものがあるから。

しおりを挟む
 王妃殿下の暴露に、呆れて声も出ないわ。

 お父様。本当にこんな人に劣等感を抱いているの?

 いえ、お母様も素敵な方だったとおっしゃってたわ。

 ということは、そういう狡猾な方か・・・いえ王妃殿下や王太子妃殿下の様子を見る限り、ほぼ無意識にそういう言動を取るタイプということかしら。

 王太子殿下は、国王陛下似。
ルーファスお兄様は王妃殿下似。

 シリルは・・・基本は王妃殿下似だけど、国王陛下に良いように使われてそれに気付くのが遅いあたりは多少は国王陛下似というところかしらね。

「シリル。はいそうですか、と許すことは出来ないわ。どうして、陛下に言われた時に私に相談してくれなかったの?私でなくても王妃殿下や王太子妃殿下にでも相談しなかったの?王族が婚約者以外をエスコートすることがどういうことかすら、理解出来ていないの?シリルは私を好きだというけれど、そんなことをして事後承諾で許されるとでも思っていたの?婚約は解消するわ。ただ、シリルには救われたところもあるから、学園を卒業するまでは、婚約者候補のまま保留としておくわ。もし、卒業までにお互いに好きな人が出来なくて、お互いを好きになっていたら再婚約しましょう。だけど、そう思えなかったら、もう婚約はしない」

「・・・クロエ」

「さっきの、国王陛下や王妃殿下への言葉、嬉しかったわ。もっとその言葉を早く言ってくれていたら、婚約者のままでいられたのに、残念だわ」

 シリルは、私に初めて恋を教えてくれた人になるから、本当に残念だわ。

 高位貴族や王族が、恋愛結婚をすることは少ない。

 結婚した後に、お互いを敬愛したり愛情を育む事例が多いわ。

 うちのお父様とお母様、それからお姉様とお義兄様は恋愛結婚だけど、もちろん政略的な意味でも成功しているわね。

 だから、シリルをこのまま好きになったなら、私も恋愛結婚するのだと思ったけど・・・

 好きになることはあるかもしれないけど、政略的な意味では価値はないわね。

 元々、ルーファスお兄様の存在で縁は結ばれていたし、この先のマキシミリオン王国と縁を結んでおくことがうちにとってプラスになるとは思えないわ。

 ああ、でも、王妃殿下と王太子妃殿下は、ご立派な方みたいだけど。

 まぁ、国に対する処罰はお母様たちに任せれば良いかしらね。

「・・・クロエ。本当に申し訳なかった。僕がもっとちゃんとしていれば、ちゃんと考えていれば理解ったことなのに、政略としてレシピエンス王国の王女殿下と婚約させると言われて、冷静さを欠いてしまった。婚約の解消は・・・辛いけど受け入れる。だけど、クロエを想うことは許して欲しい。僕は・・・クロエが好きなんだ」

しおりを挟む
感想 372

あなたにおすすめの小説

見捨てられたのは私

梅雨の人
恋愛
急に振り出した雨の中、目の前のお二人は急ぎ足でこちらを振り返ることもなくどんどん私から離れていきます。 ただ三人で、いいえ、二人と一人で歩いていただけでございました。 ぽつぽつと振り出した雨は勢いを増してきましたのに、あなたの妻である私は一人取り残されてもそこからしばらく動くことができないのはどうしてなのでしょうか。いつものこと、いつものことなのに、いつまでたっても惨めで悲しくなるのです。 何度悲しい思いをしても、それでもあなたをお慕いしてまいりましたが、さすがにもうあきらめようかと思っております。

愛しの婚約者は王女様に付きっきりですので、私は私で好きにさせてもらいます。

梅雨の人
恋愛
私にはイザックという愛しの婚約者様がいる。 ある日イザックは、隣国の王女が私たちの学園へ通う間のお世話係を任されることになった。 え?イザックの婚約者って私でした。よね…? 二人の仲睦まじい様子を見聞きするたびに、私の心は折れてしまいました。 ええ、バッキバキに。 もういいですよね。あとは好きにさせていただきます。

王子は婚約破棄を泣いて詫びる

tartan321
恋愛
最愛の妹を失った王子は婚約者のキャシーに復讐を企てた。非力な王子ではあったが、仲間の協力を取り付けて、キャシーを王宮から追い出すことに成功する。 目的を達成し安堵した王子の前に突然死んだ妹の霊が現れた。 「お兄さま。キャシー様を3日以内に連れ戻して!」 存亡をかけた戦いの前に王子はただただ無力だった。  王子は妹の言葉を信じ、遥か遠くの村にいるキャシーを訪ねることにした……。

お久しぶりです、元旦那様

mios
恋愛
「お久しぶりです。元旦那様。」

初恋の兄嫁を優先する私の旦那様へ。惨めな思いをあとどのくらい我慢したらいいですか。

梅雨の人
恋愛
ハーゲンシュタイン公爵の娘ローズは王命で第二王子サミュエルの婚約者となった。 王命でなければ誰もサミュエルの婚約者になろうとする高位貴族の令嬢が現れなかったからだ。 第一王子ウィリアムの婚約者となったブリアナに一目ぼれしてしまったサミュエルは、駄目だと分かっていても次第に互いの距離を近くしていったためだった。 常識のある周囲の冷ややかな視線にも気が付かない愚鈍なサミュエルと義姉ブリアナ。 ローズへの必要最低限の役目はかろうじて行っていたサミュエルだったが、常にその視線の先にはブリアナがいた。 みじめな婚約者時代を経てサミュエルと結婚し、さらに思いがけず王妃になってしまったローズはただひたすらその不遇の境遇を耐えた。 そんな中でもサミュエルが時折見せる優しさに、ローズは胸を高鳴らせてしまうのだった。 しかし、サミュエルとブリアナの愚かな言動がローズを深く傷つけ続け、遂にサミュエルは己の行動を深く後悔することになる―――。

王命を忘れた恋

須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』  そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。  強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?  そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。

[完結]婚約破棄してください。そして私にもう関わらないで

みちこ
恋愛
妹ばかり溺愛する両親、妹は思い通りにならないと泣いて私の事を責める 婚約者も妹の味方、そんな私の味方になってくれる人はお兄様と伯父さんと伯母さんとお祖父様とお祖母様 私を愛してくれる人の為にももう自由になります

愛想を尽かした女と尽かされた男

火野村志紀
恋愛
※全16話となります。 「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」

処理中です...