拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら

みおな

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気配りのできる方だわ。

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 さすが公爵閣下。
心遣いがスマートだわ。

 店主の方も「自由にご覧になって下さい」と閣下の元へ向かい、私はカグレシアン公爵家の侍女の方とゆっくりと店内を見て回ることになった。

「素敵ね」

 手に取った翼を広げた鷲のペーパーウェイトの美しさに、思わず感想が口に出た。

 他にもブローチや髪飾りまであって、その繊細な造りに胸がときめく。

 お父様とお義兄様には、ペーパーウェイトかしら。
 お母様とお姉様には、髪飾り?

 選ぶのが楽しくて、時間がたつのを忘れるほど。

「申し訳ございません、カグレシアン公爵様。あまりの美しさについ時間がたつのを忘れてしまいました」

「いや、そんなことは気にしなくて良い。むしろ、ガラス細工を気に入ってもらえたようで、こちらとしても嬉しい」

「家族もきっと喜ぶと思います」

 店員さんが、綺麗な包み紙で包装してくれている。

 どれに何が包まれているのか分かるように、リボンで色分けしてくれているわ。

 細かい心遣いができるお店ね。

 予想していたよりたくさん買ってしまったので、馬車に積み込んでもらう。

 代金を払おうとしたら、すでに公爵閣下がお支払いして下さったという。

「カグレシアン様。いくらでしたの?お支払いいたしますわ」

「大した金額ではない。お土産だと思ってくれれば良い」

「私はまだ婚約者候補に過ぎませんわ」

「ああ。だから、土産だ。メルキオール帝国の皇女殿下がわざわざ我が国を訪れてくれたのだ。土産をお渡ししても問題ないだろう」

 あまり固辞するのは失礼よね。
ここは、ありがたく受け取りましょう。

「ありがとうございます」

「次は何か甘いものでもどうかな?」

「是非」

 お母様もお姉様も、甘いものがお好きなのよね。

 日持ちする焼き菓子とかあるかしら。

 再び馬車に乗り、白とオレンジ色の建物の前で馬車が停まる。

 人気店みたい。
貴族の方々ばかりだから並んではないけれど、店内の席は埋まっているわ。

「お待ちしておりました、どうぞこちらへ」

 すぐに店員の方が、席へと案内してくれる。

 店の奥にある個室に案内された。

「予約してくださっていたのですか?」

「ここは、すぐに席が埋まると聞いたのでな。せっかくお茶を飲むなら、美味い店がいいだろう」

「自国ではカフェなどには行けませんから、とても嬉しいですわ」

 品名だけではよく分からないけど、人気だというケーキと紅茶を頼んだ。

 カグレシアン様は、紅茶だけを頼まれる。

 甘いものはあまりお好きでないのかしら。
 わざわざ私のために、カフェに寄って下さったのね。

 店員の方に日持ちする焼き菓子があるか聞いて、何箱か購入した。

 今度はちゃんと自分で払ったわ。

 カグレシアン様は、紅茶しか飲まれてないのだもの。

 ご馳走になるわけにはいかないわ。



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