拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら

みおな

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最後の婚約者候補。

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 翌日朝食後、カグレシアン公爵閣下にご案内いただいて、カルドラン王国を観光することになった。

 あくまでもまだ候補の段階なので、馬車の中には私たちの他にカグレシアン公爵家の侍女が同席してくれた。

 実は、私の侍女は船旅でダウンしてしまったのよね。

 それでも付いて来ると言っていたのだけど、また戻らなければならないのだから、体調を回復してもらわないと困るもの。

 明日、具合が良さそうなら一緒に出かけましょう。

 彼女も、カルドラン王国を少しくらい観光したいだろうし。

「今日は王都観光と行こう。明日、侍女殿が体調が回復していたら、景色の綺麗な郊外を案内する」

「お気遣いありがとうございます。私も初めて船というものに乗りましたが、景色がとても素晴らしかったですわ」

「肌がペダベタしただろう?潮風は塩分を含んでいるので、髪も傷むと聞く」

 お招きいただいたから言わずにおいたけど、確かに肌がベタベタしたわ。

 それで、夜にカグレシアン公爵家の侍女の方が念入りに髪を洗ってくれたのね。

 湖とは違った美しさがあるとは思ったけど。

「この店は、カルドラン王国の特産であるガラス細工の小物を多く扱っている。レシピエンス王国の宝石のような価値はないかもしれないが。値段は手頃だし、平民も手に入れやすい」

「宝石にこだわりはありません。拝見するのが楽しみですわ」

 実際に宝石に興味はない。

 それに、ガラス細工のペーパーウェイトとかなら、お父様やお義兄様も使いやすそうだわ。

 カグレシアン公爵閣下の手を借りて馬車から降りてお店に入ると、店内にいた人たちが一瞬ザワっと動揺したのを感じた。

 ああ。
男性だし、公爵閣下だし、お店に来店することが珍しいのね。

 普通は屋敷に呼ぶものだから。

 閣下は全く気にした様子もなく、店の奥へと進んで行く。

 さすがに店主の女性は、動揺をカケラも見せずに、綺麗な微笑みを浮かべて閣下を出迎えた。

「カグレシアン公爵様、いらっしゃいませ。何かお探しのものがありますでしょうか?」

「こちらの女性が望むものを揃えてもらいたい。彼女は、この店に来たことがないから、まずはゆっくりと店内を見せたい。私がいては落ち着かないだろう。奥で待たせていただくから、ゆっくりと見なさい」

「お気遣いありがとうございます。お言葉に甘えさせていただきますわ」

 閣下には楽しくないだろうと、ゆっくりは見れないと思っていたけど、奥に待つ場所があるのね?

 なら、少しくらいなら良いかしら?



 
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