悪役令嬢発溺愛幼女着

みおな

文字の大きさ
4 / 84

転生発私は誰?行き

しおりを挟む
 ぷにぷにとした、柔らかく白くて小さな手。

 私の視界に映ったそれは、桜貝色の爪も綺麗に切り揃えられていて、そうですね、幼い頃の私の手のような・・・貴族令嬢の手、でした。

 大きさから考えて五歳程度でしょうか。

 そんなことを、ぼんやりと考えます。

 だって、どう見ても私の手なのです。私が動かそうとした通りに動きますし。

 こんなの、おかしいではありませんか。

 私はウッド様に地下牢に入れられて、誰の助けも来ず、力尽きそうになっている時にウッド様に水魔法で全身びしょ濡れになるほどの水をかけられて・・・

 もしかして、私は死の間際に夢を見ているのでしょうか。

 何も辛いことがなかった、幼い頃の夢を。

 だとすると、そろそろ侍女のパウラが起こしに来るはずです。

 そう思っていると、扉が小さく叩かれて開くのを感じました。

 ああ。やっぱり。

「ああっ!お嬢様!お目覚めになったのですね?すぐに医師様を呼んで参ります!」

 私が声の主を振り返る余裕もなく、その侍女らしき人は部屋の外へと出て行きました。

 侍女らしき人というのは・・・
私の知っているパウラの声と違っていたからです。

 それに目覚めたとか医師様とか、どういうことでしょうか。

 私は過去に、医師にかかるほど寝込んだ記憶はないのですが。

 夢なら、私が覚えていないことを再現したりするのでしょうか?

 そのままぼんやりとしていると、バタバタバタと足音がして勢いよくドアが開きました。

「!」

「ローズ!目が覚めたのかっ!」

 入って来たのは、黒髪に赤い瞳の美青年で・・・

 え?
この方が医師様ですか?

 いえ、それよりも、ローズとはどなたのことですか?私の名前はヴァイオレットなのですが?

 きょとんとした顔で美青年を眺めていると、後ろから侍女らしき方と壮年の男性が入って来られました。

 この方がさっきの侍女かどうかは分かりませんが、やはりパウラとは違いますね。

 それに、いつまで続くのでしょう、この夢。

「ローズ、どこが痛いのか?」

 美青年に手を取られます。
細くて長い指の、それでもしっかり男の人の手で取られているのは、ぷにぷにとした小さな子供の手。

「陛下、診察いたしますので」

「分かった」

 壮年の男性、お医者様らしき方が、美青年と交代して私の両手を取ります。

 お医者様の手から、温かい何かが体を巡って行く気がします。

 これって魔法でしょうか?

 いえそれよりも、先ほどあの青年のことを「陛下」と呼ばれていませんでしたか?

 これって、これって、本当に夢なのですよね?
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

私は《悪役令嬢》の役を降りさせて頂きます

・めぐめぐ・
恋愛
公爵令嬢であるアンティローゼは、婚約者エリオットの想い人であるルシア伯爵令嬢に嫌がらせをしていたことが原因で婚約破棄され、彼に突き飛ばされた拍子に頭をぶつけて死んでしまった。 気が付くと闇の世界にいた。 そこで彼女は、不思議な男の声によってこの世界の真実を知る。 この世界が恋愛小説であり《読者》という存在の影響下にあることを。 そしてアンティローゼが《悪役令嬢》であり、彼女が《悪役令嬢》である限り、断罪され死ぬ運命から逃れることができないことを―― 全てを知った彼女は決意した。 「……もう、あなたたちの思惑には乗らない。私は、《悪役令嬢》の役を降りさせて頂くわ」 ※全12話 約15,000字。完結してるのでエタりません♪ ※よくある悪役令嬢設定です。 ※頭空っぽにして読んでね! ※ご都合主義です。 ※息抜きと勢いで書いた作品なので、生暖かく見守って頂けると嬉しいです(笑)

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

乙女ゲームの悪役令嬢、ですか

碧井 汐桜香
ファンタジー
王子様って、本当に平民のヒロインに惚れるのだろうか?

弁えすぎた令嬢

ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
 元公爵令嬢のコロネ・ワッサンモフは、今は市井の食堂の2階に住む平民暮らしをしている。彼女が父親を亡くしてからの爵位は、叔父(父親の弟)が管理してくれていた。  彼女には亡き父親の決めた婚約者がいたのだが、叔父の娘が彼を好きだと言う。  彼女は思った。 (今の公爵は叔父なのだから、その娘がこの家を継ぐ方が良いのではないか)と。  今後は彼らの世話にならず、一人で生きていくことにしよう。そんな気持ちで家を出たコロネだった。  小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています。

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!

たぬきち25番
恋愛
 気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡ ※マルチエンディングです!! コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m 2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。 楽しんで頂けると幸いです。 ※他サイト様にも掲載中です

逆行した悪女は婚約破棄を待ち望む~他の令嬢に夢中だったはずの婚約者の距離感がおかしいのですか!?

魚谷
恋愛
目が覚めると公爵令嬢オリヴィエは学生時代に逆行していた。 彼女は婚約者である王太子カリストに近づく伯爵令嬢ミリエルを妬み、毒殺を図るも失敗。 国外追放の系に処された。 そこで老商人に拾われ、世界中を見て回り、いかにそれまで自分の世界が狭かったのかを痛感する。 新しい人生がこのまま謳歌しようと思いきや、偶然滞在していた某国の動乱に巻き込まれて命を落としてしまう。 しかし次の瞬間、まるで夢から目覚めるように、オリヴィエは5年前──ミリエルの毒殺を図った学生時代まで時を遡っていた。 夢ではないことを確信したオリヴィエはやり直しを決意する。 ミリエルはもちろん、王太子カリストとも距離を取り、静かに生きる。 そして学校を卒業したら大陸中を巡る! そう胸に誓ったのも束の間、次々と押し寄せる問題に回帰前に習得した知識で対応していたら、 鬼のように恐ろしかったはずの王妃に気に入られ、回帰前はオリヴィエを疎ましく思っていたはずのカリストが少しずつ距離をつめてきて……? 「君を愛している」 一体なにがどうなってるの!?

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ

karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。 しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

透明な貴方

ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
 政略結婚の両親は、私が生まれてから離縁した。  私の名は、マーシャ・フャルム・ククルス。  ククルス公爵家の一人娘。  父ククルス公爵は仕事人間で、殆ど家には帰って来ない。母は既に年下の伯爵と再婚し、伯爵夫人として暮らしているらしい。  複雑な環境で育つマーシャの家庭には、秘密があった。 (カクヨムさん、小説家になろうさんにも載せています)

処理中です...