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牢屋発転生行き
何日たったのか分からなくなった頃、思考さえ緩やかになった私の元に、ウッド様とフローラ様が訪れました。
まだ生きているのかという目で私を睨みつけるウッド様。
婚約者となってから十一年。
今までの交流は何だったのでしょうか。
確かに、激しい恋愛感情はお互いにありませんでした。
ですが共にモンクスフード王国を支えていこうと、お互いを支え合って来たはずだったのに。
「ヴァイオレット、優しいフローラの慈悲で明日牢から出してやる!だが、この国からは追放する!そのような汚らしい身に触れる衛兵がかわいそうだから、身を清めてやろう」
ザバザバザバ!
空中に水の塊が現れ、私の全身は冷たい水でびしょ濡れになりました。
「ああ。フローラ、すまない。ドレスに汚い水飛沫が跳ねたな。ドレスを着替えなければ」
「ウッド様。このくらい大丈夫です」
「いや、清らかな君の心も、このような場所にいては澱んでしまう。さぁ、行こう」
そう言うと、ウッド様はフローラ様を促して牢の前からいなくなりました。
牢から出してやるだなんて・・・
先ほど私をびしょ濡れにしたのは、ウッド様の持つ水魔法です。
モンクスフード王国の貴族は、大なり小なりの固有魔法を持っています。
公爵家の娘である私も風魔法を所持していますが、魔封じの枷を付けられた私が風魔法を使うことは出来ません。
この冷たい牢の中で全身びしょ濡れになり、体力も失われているのです。
死にたいわけではありませんが、どう考えてもウッド様は私を殺そうとしたのだと思います。
水の溜まった石の床が冷たく感じなくなった頃、私の意識はゆっくりと眠りの闇に落ちて行きました。
そして、どのくらい経ったのでしょうか。
ゆっくりと意識が浮上していきます。
ああ。
どうせ死ぬだけなのに。
お父様もお母様も国王陛下も王妃様も、誰も誰も、助けてくれませんでした。
今まで公爵令嬢として暮らして来た私が、ひとり他国で生きていけるわけがありません。
この魔封じの枷を外してもらえたとしても・・・
そう考えながら、枷のはまった手を持ち上げて・・・
私の視界に映ったのは、ぷにぷにとした白い小さな手、でした。
何でしょう?これは。
手をにぎにぎすることを意識すると、視界の中の手もにぎにぎと動きます。
はい?
これ、私の手なのですか?
牢に入れられていたので、決して綺麗な手ではありませんでしたが、少なくともこんなぷにぷにした子供のような手でなかったことだけは確かです。
これは、一体・・・
まだ生きているのかという目で私を睨みつけるウッド様。
婚約者となってから十一年。
今までの交流は何だったのでしょうか。
確かに、激しい恋愛感情はお互いにありませんでした。
ですが共にモンクスフード王国を支えていこうと、お互いを支え合って来たはずだったのに。
「ヴァイオレット、優しいフローラの慈悲で明日牢から出してやる!だが、この国からは追放する!そのような汚らしい身に触れる衛兵がかわいそうだから、身を清めてやろう」
ザバザバザバ!
空中に水の塊が現れ、私の全身は冷たい水でびしょ濡れになりました。
「ああ。フローラ、すまない。ドレスに汚い水飛沫が跳ねたな。ドレスを着替えなければ」
「ウッド様。このくらい大丈夫です」
「いや、清らかな君の心も、このような場所にいては澱んでしまう。さぁ、行こう」
そう言うと、ウッド様はフローラ様を促して牢の前からいなくなりました。
牢から出してやるだなんて・・・
先ほど私をびしょ濡れにしたのは、ウッド様の持つ水魔法です。
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この冷たい牢の中で全身びしょ濡れになり、体力も失われているのです。
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そして、どのくらい経ったのでしょうか。
ゆっくりと意識が浮上していきます。
ああ。
どうせ死ぬだけなのに。
お父様もお母様も国王陛下も王妃様も、誰も誰も、助けてくれませんでした。
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この魔封じの枷を外してもらえたとしても・・・
そう考えながら、枷のはまった手を持ち上げて・・・
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何でしょう?これは。
手をにぎにぎすることを意識すると、視界の中の手もにぎにぎと動きます。
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