悪役令嬢発溺愛幼女着

みおな

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心の傷痕発決心行き

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「ローズ、俺には話せないことか?」

 貴賓室に案内され、品を揃えて参りますと副支配人が出て行ってから少しした後。

 お兄様がそう尋ねられました。

 きっと、尋ねるべきか気付かないふりをするべきか、迷われたのだと思います。

 私が、平気なふりをしていたから。

「お兄様・・・」

「嫌なら、宿でエセルたちと待っていて良いんだぞ?結界を張っておけば、誰も立ち入れない」

 他国で、勝手に結界を張ることなど本当なら許されません。

 その中で、どんなことがされていても人間には・・・いえ、おそらくユスタフ様やアグニス様でさえもその結界を破ることは難しいでしょう。

 お二人の魔王様なら、破れないことはないかもしれない、程度だと思います。

 それなのに・・・

 私のため、いえ愛する妹のためになら、結界を張ってもいいとおっしゃってくださるのですね。

 強くて頼りがいがあって、誰よりも優しいお兄様。

「お兄様・・・宿に戻ったら、お話したいことがあります」

「そうか・・・分かった」

 お話してしまいましょう。

 ローズヴァイオレットだということを。

 もしかしたら、憎まれるかもしれません。

 恨まれるかもしれません。

 愛する妹を返せと、今まで騙していたのかと。

 それでも。

 それでも、この先お兄様に嫌なことの後始末をさせるくらいなら。

 本当のローズを探すお手伝いくらいできるかもしれません。

 さすがに見た目が魔王陛下の妹ですから、使用人として働くわけにはいかないでしょうし、中身がヴァイオレットでも体はローズなわけですから、危険なこともできません。

 おそらくは、居住区に軟禁となるでしょう。

 あんなに私を大切にしてくれたお兄様やエセル、カレン様たちに嫌われるのは・・・本当に死ぬほど辛いです。

 ヴァイオレットだった頃の・・・
あの死に際よりも辛く悲しいです。

 だけど、この体はローズのもの。

 私は間借りさせてもらっていただけです。

 返す決心がついて良かったのです。

 きっとこの先、お兄様やみんなの愛情をたくさんもらって、いっぱい幸せを傍受していたら、本当のローズが戻ってきた時、返したくないと思ったに違いありません。

 そんな・・・
醜い真似はしたくありません。

 せめて、お兄様たちと笑顔でお別れしたいです。

 ローズを探すお手伝いをしたら、そしたら最後くらい・・・笑顔を見せてくれますよね?

 お祝いの真珠のピアスとブローチ、エセルとカレン様へのお土産のペンダントを購入している間、私はローズである幸せを噛みしめていました。
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