はい!喜んで!

みおな

文字の大きさ
79 / 79
番外編

特別な人

しおりを挟む
 シリルとリエルにとって、家族は特別な存在である。

 どんなことがあっても、自分たちの味方でいてくれる両親と兄たち。

 そんな王家を支えてくれる使用人たち。

 そして何より、自分の半身たるもう一人の自分。

 シリルもリエルも、双子とはいえお互い独立したひとりの人間だということは理解している。

 だが、同じことを同じように感じ、お互いの存在を誰よりも近くに感じる存在であることも事実だった。

 だから、キアムとロイドに出会うまでは、二人とも一つの不安を抱えていた。

 もしかしたら、同じ人を好きになるかもしれない。

 好きな色も、好きなドレスのデザインも、好きな花も、好きな香りも、全てが同じシリルとリエルである。

 好きな人も同じ可能性が高い。

 そして相手からしても、同じ顔同じ声のシリルとリエル、と思われる可能性が高い。

 だから言葉にはしなかったが、シリルもリエルもそんな不安を抱えていた。

 呪いがあるうちはまだ良かった。

 呪いを免罪符にして、婚約を避けることが出来るから。

 だが呪いが解ければ、皇女としてどこかへ嫁がなければならない。

 両親や兄たちは、シリルとリエルに恋愛結婚をして欲しいようだが、当の双子たちは出来ることなら政略結婚として両親に決めて欲しいと思っていた。

 お互いが惹かれた相手が違えば問題ない。

 だが、同じだった場合・・・

 今までお互いが唯一だった関係が壊れてしまうかもしれない。

 ずっと、そんな不安がつきまとっていた。

 だが蓋を開けてみれば、シリルはキアムに、リエルはロイドに惹かれた。

 そして幸いなことに、彼らもちゃんとシリルはシリル、リエルはリエルと認識した上で、彼女たちを求めた。

「「ふふっ」」

「あら?どうしたの?シリル、リエル」

「「いえ、幸せだなと思ったのです」」

 フレデリカに尋ねられ、シリルとリエルはにっこりと微笑んで答えた。

 心から幸せだと思えた。

 優しい両親に優しい兄たち。
支えてくれる使用人たち。

 誰よりも大切な、半身とも言えるもう一人の自分。

 そして、愛する人。

 呪いのことで、父親であるウィラードを恨んだことなどない。

 恋愛の嫌な部分を婚約破棄案件で何度も見ることになったが、当時恋も知らなかった自分たちは、淡々と仕事としてこなすことができた。

 そして、その呪いが解けた途端に誰よりも愛せる人と出会えたことは、僥倖と言えると思う。

「そう。貴女たちが幸せならわたくしも嬉しいわ」

「「はい、お母様。お父様とお母様の子供に生まれ、お兄たちの妹となり、そしてキアム様とロイド様と出会えたこと、本当に幸せです」」

しおりを挟む
感想 47

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(47件)

みずな117
2025.08.16 みずな117

ラルフフロスト伯

「僕を選んでくれた理由を書いても…」
理由を聞いても…かと。

2025.08.16 みおな

すみません。修正します。

解除
キノコ♪
2025.08.15 キノコ♪

ルアンとルインがシリルとリエルを5年は手放したく無い?なら苦肉の策として5年後に自分達の結婚式を執り行うしかありませんね💦
結婚式の日程をのらりくらりと延ばしに延ばして5年💦まぁ、そうなるとルアン達の婚約者達はシリル達にゾッコンだから協力してくれるだろうし、父親である皇帝陛下も娘達を溺愛して側に少しでも長く置きたいから協力してくれるでしょうけど問題は母親である王妃様だよね。
こんな理由ではたして協力してくれないでしょうね💦その分、次期皇帝陛下の世継ぎ、孫の顔を見るのが遅くなるしね💦

2025.08.15 みおな

いやぁ、ルアンとルインの婚約者の年齢からも、先延ばしはかわいそうですしね。
しかも双子に叱られそう。
「お兄様、嫌い。お義姉様たちがかわいそう」とか言われそう(笑)

解除
キノコ♪
2025.08.12 キノコ♪

作者様のコメントを見て思ったのですが、2人が同じ国の王子妃や王太子妃になったら周りが大変だと思う〜💦いくら相手の王子殿下達が分かっているとしても、お茶会とかお城の廊下とかで会ったりしたら王太子妃なのに間違って王子妃様とか呼んだら気まずいしまずいよね〜💦
間違ったらリエル達一筋のサリー達姉妹が黙っていないだろうし、周りも見分けられるようになってからの方がいいでしょうね〜まぁ、そうなるといつ頃婚姻になるか分からないけど?

2025.08.12 みおな

周りは・・・見分けられないんじゃないかなぁ。いや、イグリット帝国の使用人は見分けてるから出来るのか??
首から名札下げるわけにもいかないしねぇ。

解除

あなたにおすすめの小説

【完結】私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜

くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。 味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。 ――けれど、彼らは知らなかった。 彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。 すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、 復讐ではなく「関わらない」という選択。 だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。

公爵令嬢は結婚式当日に死んだ

白雲八鈴
恋愛
 今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。 「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」  突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。 婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。  そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。  その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……  生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。  婚約者とその番という女性に 『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』 そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。 *タグ注意 *不快であれば閉じてください。

白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」 公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。 だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。 ――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの? 何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。 しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。 それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。 そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。 温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。 そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。 「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」 「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」 離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。 そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。

〈完結〉伯爵令嬢リンシアは勝手に幸せになることにした

ごろごろみかん。
恋愛
前世の記憶を取り戻した伯爵令嬢のリンシア。 自分の婚約者は、最近現れた聖女様につききっきりである。 そんなある日、彼女は見てしまう。 婚約者に詰め寄る聖女の姿を。 「いつになったら婚約破棄するの!?」 「もうすぐだよ。リンシアの有責で婚約は破棄される」 なんと、リンシアは聖女への嫌がらせ(やってない)で婚約破棄されるらしい。 それを目撃したリンシアは、決意する。 「婚約破棄される前に、こちらから破棄してしてさしあげるわ」 もう泣いていた過去の自分はいない。 前世の記憶を取り戻したリンシアは強い。吹っ切れた彼女は、魔法道具を作ったり、文官を目指したりと、勝手に幸せになることにした。 ☆ご心配なく、婚約者様。の修正版です。詳しくは近況ボードをご確認くださいm(_ _)m ☆10万文字前後完結予定です

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

(完結)家族にも婚約者にも愛されなかった私は・・・・・・従姉妹がそんなに大事ですか?

青空一夏
恋愛
 私はラバジェ伯爵家のソフィ。婚約者はクランシー・ブリス侯爵子息だ。彼はとても優しい、優しすぎるかもしれないほどに。けれど、その優しさが向けられているのは私ではない。  私には従姉妹のココ・バークレー男爵令嬢がいるのだけれど、病弱な彼女を必ずクランシー様は夜会でエスコートする。それを私の家族も当然のように考えていた。私はパーティ会場で心ない噂話の餌食になる。それは愛し合う二人を私が邪魔しているというような話だったり、私に落ち度があってクランシー様から大事にされていないのではないか、という憶測だったり。だから私は・・・・・・  これは家族にも婚約者にも愛されなかった私が、自らの意思で成功を勝ち取る物語。  ※貴族のいる異世界。歴史的配慮はないですし、いろいろご都合主義です。  ※途中タグの追加や削除もありえます。  ※表紙は青空作成AIイラストです。

《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。

ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」 その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。

【完結】愛され公爵令嬢は穏やかに微笑む

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
恋愛
「シモーニ公爵令嬢、ジェラルディーナ! 私はお前との婚約を破棄する。この宣言は覆らぬと思え!!」 婚約者である王太子殿下ヴァレンテ様からの突然の拒絶に、立ち尽くすしかありませんでした。王妃になるべく育てられた私の、存在価値を否定するお言葉です。あまりの衝撃に意識を手放した私は、もう生きる意味も分からなくなっていました。 婚約破棄されたシモーニ公爵令嬢ジェラルディーナ、彼女のその後の人生は思わぬ方向へ転がり続ける。優しい彼女の功績に助けられた人々による、恩返しが始まった。まるで童話のように、受け身の公爵令嬢は次々と幸運を手にしていく。 ハッピーエンド確定 【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2022/10/01  FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、二次選考通過 2022/07/29  FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、一次選考通過 2022/02/15  小説家になろう 異世界恋愛(日間)71位 2022/02/12  完結 2021/11/30  小説家になろう 異世界恋愛(日間)26位 2021/11/29  アルファポリス HOT2位 2021/12/03  カクヨム 恋愛(週間)6位

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。