はい!喜んで!

みおな

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リエル・イグリットの場合

ファーゼンバーグ国王陛下

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「ハァ。あの阿呆は」

 カルロスに付けている影からの報告に、ファーゼンバーグ王国国王陛下は、大きなため息を吐いた。

 カルロスは、元々リズに引け目を感じているようだった。

 決して不出来な息子ではなかったが、尊敬する兄の娘であるリズのことは、自分の娘のように、いやそれ以上に思っているため、カルロスよりも可愛く感じていた。

 それは王妃も同じなので、カルロスが不満に思うことも、リズに敵愾心を抱く気持ちも分からないわけではない。

 だが、だからといって王太子という立場をわきまえない行動をするようでは困る。

 婚約者のいる人間が、他の令嬢と親しくしているというだけでも問題だが、その令嬢の言うことを鵜呑みにして、婚約者やリズに文句を言っただと?

「ハァ」

「・・・陛下」

 ため息を吐いていると、王妃が気遣わしげに声をかけて来た。

「カルロスが、ここまで阿呆だとは思わなかった。もちろん、我々にも多少は問題はあったかもしれない。だが、リズに突っかかるくらいならまだしも、婚約者を蔑ろにするとは。自分の立場も理解できない人間を、王太子の座には置いておけん。注意して改めない場合は・・・やむを得ん」

「ミハエルはまだ幼いですが、陛下はまだまだお若いですし、補佐を付ければ何とかなると思いますわ」

「すまんな、苦労をかける」

「カルロスもミハエルも、私の子供です。親が子供のために苦労するのは当たり前のことですわ」

 王妃の言葉に頭が下がる。

 我々の気持ちが、カルロスに届けばいいが。

 カルロスの弟であるミハエルは、まだ七歳だが利発な子だ。

 今から王太子教育をやれば、学園を卒業する頃にはものになっているだろう。

 婚約者も、そのつもりで探さなければならないな。

「ミハエルには、決定してから話す。だが、一応婚約者候補を挙げておいてくれ。ミハエルに意中の令嬢がいるのなら、できる限り添いたいと思う。まぁ、王太子妃になれる身分と能力があることは前提だがな」  

 少なくとも、準男爵令嬢のように平民と変わらない身分では、王太子妃にはなれない。

 我が国は、王族に嫁ぐ令嬢の身分を侯爵家以上と決めてはいないが、それでも王太子妃になるには高位貴族の方が望ましい。

 もちろん下位の貴族でも、本人に類い稀な能力があり、その上社交性も高ければ問題ないが。

 少なくとも、侯爵家の令嬢に勝手に話しかけ、しかも勝手に名前を呼び、挙げ句に「さん」付けで呼ぶような、常識知らずでは話にならない。

 何故、そのような愚物に引っ掛かるのか。

 どこで育て方を間違えたのかと、ため息の止まらない国王陛下であった。


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