はい!喜んで!

みおな

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リエル・イグリットの場合

カルロス・ファーゼンバーグ王太子殿下

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 カルロス・ファーゼンバーグ王太子殿下。

 ファーゼンバーグ王国の王太子である。

 燃えるような深紅の髪に、深紅の瞳の王太子は、イライラとした様子でリエルとリズを睨んだ。

 その左腕には、チナがべったりとへばりついていた。

「リズ・オビュス公爵令嬢!チナをいじめるな」

「まぁ!わたくしのどこが、そのご令嬢をいじめているとおっしゃるの?わたくしは事実を口にしているだけですわ。それに、王太子殿下ともあろう方が、婚約者以外のご令嬢の名を呼び捨てにして、しかも腕にまとわり付かせて・・・これは、叔父様と叔母様にご報告しなければなりませんわね」

「ッ!公爵令嬢に虐められている下位貴族の令嬢を、僕は守ってあげたいだけだ。そのような、下衆な勘ぐりはやめろ」

「あらあらあら。ですって。皆様お聞きになりました?わたくしの言っていることと殿下の言っていること、どちらが正しいと思われます?」

 当然、周囲はいくら正しいのが公爵令嬢だと思っていても、それを口に出すことはできない。

 何せ相手は、王太子殿下である。

 そんなことは分かっているリズは、呆れたような視線をカルロスに向ける。

「少しは王太子として、周囲の見本となる行動を心がけては?それから、チナ・パンランチ準男爵令嬢。二度目は許しませんわよ?このような冤罪を次にかけたら、学園長にお知らせするだけでは済ませませんわ。心に留め置いてくださいませね?」

「ッ!」

 チナは、カルロスの背に隠れるようにしてリズの視線から逃れる。

 ちなみにリズの独壇場の間、リエルはずっと黙ったままだ。

 しかも、カルロスのこともチナのことも、見ようともしない。

 リズの独壇場が終わったところで、リズに声をかけた。

「お昼休みが、終わってしまいますわ」

「ええ。参りましょう、リエル様」

「ちょっ、待て!イグリット嬢。チナにから行け」

「・・・今、何ておっしゃったの?王太子殿下。逆でしょう?その準男爵令嬢がリエル様に冤罪をかけたことを謝罪するべきでしょう?いい加減になさらないと、わたくし本気で怒りますわよ」

 あたりの空気が、一気に下がった。

 リズから出る怒気に、チナが「ヒッ!」と悲鳴をあげる。

 そんなリズに、リエルをそっと手をかけた。

「私は謝罪など求めませんわ。王太子殿下が、そのご令嬢を信じたいならお好きになさればよろしいと思います。パンランチ準男爵令嬢とおっしゃったかしら?私に関わらないでいてくださるなら、王太子殿下とお過ごしになろうとどうぞご自由に」

「き、君は僕の婚約者だろう!」

 はぁ?お前が何言ってるんだ?

 リズと周囲は、思わず心の中でそう叫んだ。
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