はい!喜んで!

みおな

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シリル・イグリットの場合②

キングレイ侯爵家兄弟

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 アラン・キングレイ。

 ロラン・キングレイ。

 キングレイ侯爵家の兄弟であり、実はスティーブンの血を引くエドワードの異母兄弟である。

 もっとも、そのことを知るのは、スティーブンと王妃のシャナルア。

 そして兄弟の母親である元伯爵令嬢、そしてキングレイ侯爵夫妻だ。

 元伯爵令嬢は、スティーブンと体を繋げた翌年にアランを、その二年後にロランを産んだ。

 結局、彼女は息子二人を貴族として育てることを決めた。

 それは、もしものことがあったときに平民では王族として生きていくことが難しいからだ。

 それに遠く離れてはいるし絶縁はしてあるが、両親が子供たちのことを知ってスティーブンに集ることを警戒したのだ。

 あの二人はお金になることなら、どんなことでもするような人間だから。

 可愛い盛りの息子二人と別れるのは辛かったが、自分はもう貴族としては生きられないために涙を飲んだ。

 養子先のキングレイ侯爵夫妻は、三歳になった嫡男と一歳の娘を流行病で亡くしていた。

 子が産めない年齢ではなかったが、また子供を失うのではないかという不安から行為を厭うようになっていた。

 そこに持ちかけられた養子話。

 もちろんエドワードに何かあれば、どちらかを王家に差し出すことになる。

 それでも、可愛い盛りの子供を育てることができるし、一人はキングレイ侯爵家の跡取りとなってくれるだろう。

 スティーブンは、キングレイ侯爵家の血を引く子供を作ることはかまわない、だが二人と分け隔てなく育てて欲しいと言った。

 その他、機密事項のために多くの条件を記した誓約書を作成し、スティーブンが保管することになった。

 キングレイ侯爵側が写しを持たなかったのは、万が一にも誰かに見られた場合を防ぐためである。

 こうして、エドワードにも、そして臣下にも秘密にされた二人の王族は、何も知らずにすくすくと育った。

 兄アランは、活発で体を動かすのが大好きだ。弟のロランがいいと言えば、後継の座は譲って騎士になってもいいとすら思っている。

 弟ロランは、アランと違い研究が好きなタイプだ。

 本を読んだり検証をしたり、一人で黙々とする作業が好きだ。

 アランが九歳になった年に、妹が産まれた。

 兄二人は、歳の離れた妹をとても可愛がった。

 両親も、三人を分け隔てなく愛し、キングレイ侯爵一家は仲睦まじく暮らしていた。

 このまま何事もなく、アランかロランのどちらかがキングレイ侯爵家を継ぐものだと侯爵夫妻も子供達も思っていた。

 アランが十五歳、ロランが十三歳になった年に、スティーブンから呼び出しがかかるまでは。
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