はい!喜んで!

みおな

文字の大きさ
43 / 79
シリル・イグリットの場合②

小国の伯爵令嬢

しおりを挟む
 スティーブンは母の助言に従い、王妃、当時は王太子妃だったがシャナルアと何度も話し合い、スティーブンの子を産んでくれる人間を探すことにした。

 カナーバ公爵を訪ねると、公爵は離れた小国に住む伯爵令嬢の情報を教えてくれた。

 両親に迫害されているその令嬢は、一ヶ月後には親以上に歳の離れた男の第二夫人として結婚させられるらしい。

 どうやら、その伯爵家は事業に失敗して、娘を金で売るつもりだったようだ。

 そこで、その男の身内を装い伯爵令嬢と接触した。

 令嬢に子を二人産んでもらいたいこと。
 ただし、妻にはできないから、平民にはなるが商人の家の妻にならできること。

 その際、親とは絶縁してもらうことになることなどを話した。

 令嬢が了承したことで、伯爵に約束の金に少し色をつけて渡し、このまま令嬢を連れて行くこと、それからこれで伯爵家とは縁を切ることを伝えた。

 金に目が眩んだ伯爵夫妻はそれを了承し、絶縁状にサインをした。

 もちろん、この時点でスティーブンは自分の身分を明かしてはいない。

 髪も染め、念の為にカツラも付け、瞳の色が分からないような魔道具の眼鏡もかけた。

 着膨れするように下に服を着込み、体格も隠した。

 声も意識して変え、姿勢も悪くして歩き方も変えた。

 事情を知る人間は、一人でも少ない方がいい。

 母に言われた通り、スティーブンは自分ので王妃の挿げ替えをしないのだから、自分の手でやり遂げる決意をもってこの国にやって来ていた。

 絶縁状と令嬢を連れ、スティングレイ王国に戻る。

 母の元に令嬢を連れて行き、匿ってもらうことにした。

 スティーブンの身分と元の姿に、伯爵令嬢だった女性は驚いていたが、スティーブンは女性に正直に事情を話した。

 王妃を廃妃にしたくないこと。
だけど、王族として子を三人は儲けなくてはならないこと。

 スティングレイ王国では、側妃も愛妾も認められていないこと。

 そして女性が産む子供は、あくまでも万が一の時のためのスペアであり、そのときになるまでは子供にも事情は話してはならないこと。

 その分、子供たちには裕福な暮らしを保証すること。

 子供を貴族にするなら、女性とは別に暮らしてもらうこと。

 これは、貴族は純潔性を求める傾向にあるからだ。

 子が二人もいれば、再婚は難しくなり、それこそ歳の離れた男の後妻になるしかない。

 子が平民でいいなら、再婚でも受け入れてくれる相手をスティーブンが責任を持って探すこと。

 スティーブンは、女性と閨行為を行い、次の月のものが来る頃にまた訪れることを告げて、母の離宮を去った。

しおりを挟む
感想 47

あなたにおすすめの小説

何もしない公爵夫人ですが、なぜか屋敷がうまく回っています

鷹 綾
恋愛
辺境公爵カーネル・クリスの妻となったフィレ・バーナード。 けれど彼女は、屋敷を仕切ることも、改革を行うことも、声高に意見を述べることもしなかった。 指示を出さない。 判断を奪わない。 必要以上に関わらない。 「何もしない夫人」として、ただ静かにそこにいるだけ。 それなのに―― いつの間にか屋敷は落ち着き、 使用人たちは迷わなくなり、 人は出入りし、戻り、また進んでいくようになる。 誰かに依存しない。 誰かを支配しない。 それでも確かに“安心できる場所”は、彼女の周りに残っていた。 必要とされなくてもいい。 役に立たなくてもいい。 それでも、ここにいていい。 これは、 「何もしない」ことで壊れなかった関係と、 「奪わない」ことで続いていった日常を描く、 静かでやさしい結婚生活の物語。

婚約破棄の代償

nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」 ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。 エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。

妹に婚約者を奪われましたが、私の考えで家族まとめて終わりました。

佐藤 美奈
恋愛
セリーヌ・フォンテーヌ公爵令嬢は、エドガー・オルレアン伯爵令息と婚約している。セリーヌの父であるバラック公爵は後妻イザベルと再婚し、その娘であるローザを迎え入れた。セリーヌにとって、その義妹であるローザは、婚約者であり幼馴染のエドガーを奪おうと画策する存在となっている。 さらに、バラック公爵は病に倒れ寝たきりとなり、セリーヌは一人で公爵家の重責を担うことになった。だが、イザベルとローザは浪費癖があり、次第に公爵家の財政を危うくし、家を自分たちのものにしようと企んでいる。 セリーヌは、一族が代々つないできた誇りと領地を守るため、戦わなければならない状況に立たされていた。異世界ファンタジー魔法の要素もあるかも?

【完結済】婚約破棄から始まる物語~真実の愛と言う茶番で、私の至福のティータイムを邪魔しないでくださいな

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中
恋愛
 約束の時間に遅れ、さらには腕に女性を貼り付けて登場したアレックス殿下。  彼は悪びれることすらなく、ドヤ顔でこう仰いました。 「レティシア。君との婚約は破棄させてもらう」  婚約者の義務としての定例のお茶会。まずは遅れたことに謝罪するのが筋なのでは? 1時間も待たせたあげく、開口一番それですか? しかも腕に他の女を張り付けて? うーん……おバカさんなのかしら? 婚約破棄の正当な理由はあるのですか? 1話完結です。 定番の婚約破棄から始まるザマァを書いてみました。

【本編完結】婚約者を守ろうとしたら寧ろ盾にされました。腹が立ったので記憶を失ったふりをして婚約解消を目指します。

しろねこ。
恋愛
「君との婚約を解消したい」 その言葉を聞いてエカテリーナはニコリと微笑む。 「了承しました」 ようやくこの日が来たと内心で神に感謝をする。 (わたくしを盾にし、更に記憶喪失となったのに手助けもせず、他の女性に擦り寄った婚約者なんていらないもの) そんな者との婚約が破談となって本当に良かった。 (それに欲しいものは手に入れたわ) 壁際で沈痛な面持ちでこちらを見る人物を見て、頬が赤くなる。 (愛してくれない者よりも、自分を愛してくれる人の方がいいじゃない?) エカテリーナはあっさりと自分を捨てた男に向けて頭を下げる。 「今までありがとうございました。殿下もお幸せに」 類まれなる美貌と十分な地位、そして魔法の珍しいこの世界で魔法を使えるエカテリーナ。 だからこそ、ここバークレイ国で第二王子の婚約者に選ばれたのだが……それも今日で終わりだ。 今後は自分の力で頑張ってもらおう。 ハピエン、自己満足、ご都合主義なお話です。 ちゃっかりとシリーズ化というか、他作品と繋がっています。 カクヨムさん、小説家になろうさん、ノベルアッププラスさんでも連載中(*´ω`*) 表紙絵は猫絵師さんより(⁠。⁠・⁠ω⁠・⁠。⁠)⁠ノ⁠♡

婚約破棄してくださって結構です

二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。 ※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています

幼馴染以上、婚約者未満の王子と侯爵令嬢の関係

紫月 由良
恋愛
第二王子エインの婚約者は、貴族には珍しい赤茶色の髪を持つ侯爵令嬢のディアドラ。だが彼女の冷たい瞳と無口な性格が気に入らず、エインは婚約者の義兄フィオンとともに彼女を疎んじていた。そんな中、ディアドラが学院内で留学してきた男子学生たちと親しくしているという噂が広まる。注意しに行ったエインは彼女の見知らぬ一面に心を乱された。しかし婚約者の異母兄妹たちの思惑が問題を引き起こして……。 顔と頭が良く性格が悪い男の失恋ストーリー。 ※流血シーンがあります。(各話の前書きに注意書き+次話前書きにあらすじがあるので、飛ばし読み可能です)

私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?

きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。 しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……

処理中です...