はい!喜んで!

みおな

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シリル・イグリットの場合②

アーシャ・ソレル子爵令嬢

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 アーシャ・ソレル子爵令嬢。

 焦茶色の瞳と髪をした、ごくごく平凡な少女だ。

 ソレル子爵家はアーシャの他に五人の子供がおり、アーシャは末娘である。

 子爵家で五人もの子供。
当然のことながら家計は切迫しており、嫡男である長男ですら、学園卒業後に文官として働き出した。

 他の兄姉たちも学園時代から、アルバイトをして家計を助けながら卒業後の仕事を探していた。

 二番目の兄は、商家でアルバイトをしている時に出会った、その家の一人娘と恋仲になり、婿になった。

 三番目の兄は、街の防衛団に所属して、同じく防衛団に所属している男爵家の当主に気に入られ、男爵令嬢と結婚した。

 アーシャの二歳年上の姉は、学園生時代に教師に見初められ、卒業と同時に求婚され嫁いで行った。

 アーシャ自身も、学園に入学する前から街のブティックでアルバイトをしていた。

 自分には似合わなくても、可愛らしいドレスや綺麗なドレスを見るのは楽しかった。

 そこで、サリーと会った。

 サリーは伯爵家のハウスメイドとして働いているらしく、そこのご令嬢のドレスを見に来たと言っていた。

 真っ白な髪にグレーの瞳。

 スティングレイ王国では珍しい髪色のサリーは、シュバイカー子爵家の令嬢で、とても礼儀正しい令嬢だった。

 自分や勤め先のことはほとんど語らないけど、聞き上手で愚痴を含めて色んな相談にも乗ってくれる。

 年齢は同じなのだけど、年上のような落ち着きのある令嬢だとアーシャは思った。

 あまり人のことを悪く言わないサリーが、唯一顔を顰める相手がスティングレイ王国王太子のエドワード殿下だ。

 まぁ、令嬢でエドワード殿下に好感を持つ令嬢はほとんどいない。

 いくら身分があっても、いくら容姿が端麗でも、あんな女遊びの激しい男を好むわけがない。

 学園生時代だけの自由?

 それを信じて結婚した後に、子供を抱いた女性が「殿下の子です」とやってくるかもしれない。

 いや、子はさすがにないかもしれないが、卒業したからといって女遊びが治まるとは限らない。

 少なくとも、アーシャの知っている令嬢たちは「あんなの、身分と容姿がなければ叶わないわよ」と言っていた。

 そう。
あんなのに熱を上げるのは、令嬢だけだ。

 どう見ても高位貴族のご令嬢方に敵うレベルではないのに、自分に異常に自信を持っているイヤーズ子爵令嬢。

 公女様であり、王太子殿下の従妹のカナーバ公爵令嬢様。

 まぁ、カナーバ公爵令嬢様は、エドワード殿下というよりも王太子妃という席にしか興味がなさそうだが。

 サリーが厭う気持ちも、分からなくもないアーシャであった。
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