10 / 23
人となりを知ってから
しおりを挟む
「まぁ!魔道具の研究を?」
セオドア・エモンド侯爵令息様は、魔道具の研究をしているという。
意外。
剣術馬鹿って見た目なのに。
顔合わせという名のお茶会が始まり、私たちは四人でお互いのことを話していた。
ちなみにお父様たちや公爵たちは、国王陛下と王妃様と少し離れたテーブルでお茶会中。
全員がこちらが気になるのか、チラチラ見てるし、意識がこちらに向いているのが丸わかりだ。
気持ちは分かるけど。
この顔合わせが上手くいかないと、私たちの婚約者になれそうな相手のいない令息はいない。
陛下たちは、私もフロラリアもこの国に留めておきたいわけで、彼らが駄目な場合は婚約者のいる令息との顔合わせをさせるしかなくなる。
でも、私がそういうのを特に嫌いなことを知っているので、それは出来ない。
となると、他国からこの国に婿入りして来てくれる人間を探すことになる。
まぁ、それは杞憂に終わりそう。
意外なことに。
本当に意外なことに、フロラリアがエモンド侯爵令息と気が合うようなのだ。
話しながら、ちょっと頬を染めたりしてるし、何より私にしか興味を示さないフロラリアが、エモンド侯爵令息に話しかけている。
まぁ今まで、私たちの周囲にいた異性は、公爵家の使用人や王家や教会の人たち、そしてあの第二王子くらいだったから仕方ないといえば仕方なかったけど。
「妹さんが心配ですか?」
ルーカス・ローイン公爵令息様に問われ、ふふっと笑ってしまう。
「妹離れ出来てないのは、私の方なのかもしれませんね。心配というか、妹は私にべったりだったので」
「今まで周囲は、大人の方々ばかりでしたから、同じ年頃の令息と話す機会などなかったでしょう。心配なのも当然ですよ」
「ええ。でも、何故機会がなかったのをご存知なの?」
もしかして、ローイン様もフロラリアをお好きなのかしら?
もしそうなら、私の相手をさせて申し訳ないわ。
「誤解のないように申し上げておきますが、僕はユースティティア様にもっと僕のことを知っていただきたいし、ユースティティア様のことをもっと知りたいです」
「え・・・」
どうしよう。不覚だわ。
胸がドキドキしてしまう。
「え、あ・・・すみません。で、でも本心ですから」
「・・・ありがとうございます」
「そ、それで、妹さんの周囲に今まで年頃の令息がいなかったのは、第二王子殿下が牽制してたんですよ」
「「・・・は?」」
私たちの会話を聞いていたのか、私とフロラリアの声が重なった。
牽制?
セオドア・エモンド侯爵令息様は、魔道具の研究をしているという。
意外。
剣術馬鹿って見た目なのに。
顔合わせという名のお茶会が始まり、私たちは四人でお互いのことを話していた。
ちなみにお父様たちや公爵たちは、国王陛下と王妃様と少し離れたテーブルでお茶会中。
全員がこちらが気になるのか、チラチラ見てるし、意識がこちらに向いているのが丸わかりだ。
気持ちは分かるけど。
この顔合わせが上手くいかないと、私たちの婚約者になれそうな相手のいない令息はいない。
陛下たちは、私もフロラリアもこの国に留めておきたいわけで、彼らが駄目な場合は婚約者のいる令息との顔合わせをさせるしかなくなる。
でも、私がそういうのを特に嫌いなことを知っているので、それは出来ない。
となると、他国からこの国に婿入りして来てくれる人間を探すことになる。
まぁ、それは杞憂に終わりそう。
意外なことに。
本当に意外なことに、フロラリアがエモンド侯爵令息と気が合うようなのだ。
話しながら、ちょっと頬を染めたりしてるし、何より私にしか興味を示さないフロラリアが、エモンド侯爵令息に話しかけている。
まぁ今まで、私たちの周囲にいた異性は、公爵家の使用人や王家や教会の人たち、そしてあの第二王子くらいだったから仕方ないといえば仕方なかったけど。
「妹さんが心配ですか?」
ルーカス・ローイン公爵令息様に問われ、ふふっと笑ってしまう。
「妹離れ出来てないのは、私の方なのかもしれませんね。心配というか、妹は私にべったりだったので」
「今まで周囲は、大人の方々ばかりでしたから、同じ年頃の令息と話す機会などなかったでしょう。心配なのも当然ですよ」
「ええ。でも、何故機会がなかったのをご存知なの?」
もしかして、ローイン様もフロラリアをお好きなのかしら?
もしそうなら、私の相手をさせて申し訳ないわ。
「誤解のないように申し上げておきますが、僕はユースティティア様にもっと僕のことを知っていただきたいし、ユースティティア様のことをもっと知りたいです」
「え・・・」
どうしよう。不覚だわ。
胸がドキドキしてしまう。
「え、あ・・・すみません。で、でも本心ですから」
「・・・ありがとうございます」
「そ、それで、妹さんの周囲に今まで年頃の令息がいなかったのは、第二王子殿下が牽制してたんですよ」
「「・・・は?」」
私たちの会話を聞いていたのか、私とフロラリアの声が重なった。
牽制?
247
あなたにおすすめの小説
妹に裏切られた聖女は娼館で競りにかけられてハーレムに迎えられる~あれ? ハーレムの主人って妹が執心してた相手じゃね?~
サイコちゃん
恋愛
妹に裏切られたアナベルは聖女として娼館で競りにかけられていた。聖女に恨みがある男達は殺気立った様子で競り続ける。そんな中、謎の美青年が驚くべき値段でアナベルを身請けした。彼はアナベルをハーレムへ迎えると言い、船に乗せて隣国へと運んだ。そこで出会ったのは妹が執心してた隣国の王子――彼がこのハーレムの主人だったのだ。外交と称して、隣国の王子を落とそうとやってきた妹は彼の寵姫となった姉を見て、気も狂わんばかりに怒り散らす……それを見詰める王子の目に軽蔑の色が浮かんでいることに気付かぬまま――
(完)聖女様は頑張らない
青空一夏
ファンタジー
私は大聖女様だった。歴史上最強の聖女だった私はそのあまりに強すぎる力から、悪魔? 魔女?と疑われ追放された。
それも命を救ってやったカール王太子の命令により追放されたのだ。あの恩知らずめ! 侯爵令嬢の色香に負けやがって。本物の聖女より偽物美女の侯爵令嬢を選びやがった。
私は逃亡中に足をすべらせ死んだ? と思ったら聖女認定の最初の日に巻き戻っていた!!
もう全力でこの国の為になんか働くもんか!
異世界ゆるふわ設定ご都合主義ファンタジー。よくあるパターンの聖女もの。ラブコメ要素ありです。楽しく笑えるお話です。(多分😅)
偽聖女として私を処刑したこの世界を救おうと思うはずがなくて
奏千歌
恋愛
【とある大陸の話①:月と星の大陸】
※ヒロインがアンハッピーエンドです。
痛めつけられた足がもつれて、前には進まない。
爪を剥がされた足に、力など入るはずもなく、その足取りは重い。
執行官は、苛立たしげに私の首に繋がれた縄を引いた。
だから前のめりに倒れても、後ろ手に拘束されているから、手で庇うこともできずに、処刑台の床板に顔を打ち付けるだけだ。
ドッと、群衆が笑い声を上げ、それが地鳴りのように響いていた。
広場を埋め尽くす、人。
ギラギラとした視線をこちらに向けて、惨たらしく殺される私を待ち望んでいる。
この中には、誰も、私の死を嘆く者はいない。
そして、高みの見物を決め込むかのような、貴族達。
わずかに視線を上に向けると、城のテラスから私を見下ろす王太子。
国王夫妻もいるけど、王太子の隣には、王太子妃となったあの人はいない。
今日は、二人の婚姻の日だったはず。
婚姻の禍を祓う為に、私の処刑が今日になったと聞かされた。
王太子と彼女の最も幸せな日が、私が死ぬ日であり、この大陸に破滅が決定づけられる日だ。
『ごめんなさい』
歓声をあげたはずの群衆の声が掻き消え、誰かの声が聞こえた気がした。
無機質で無感情な斧が無慈悲に振り下ろされ、私の首が落とされた時、大きく地面が揺れた。
【 完 結 】言祝ぎの聖女
しずもり
ファンタジー
聖女ミーシェは断罪された。
『言祝ぎの聖女』の座を聖女ラヴィーナから不当に奪ったとして、聖女の資格を剥奪され国外追放の罰を受けたのだ。
だが、隣国との国境へ向かう馬車は、同乗していた聖騎士ウィルと共に崖から落ちた。
誤字脱字があると思います。見つけ次第、修正を入れています。
恋愛要素は完結までほぼありませんが、ハッピーエンド予定です。
辺境伯聖女は城から追い出される~もう王子もこの国もどうでもいいわ~
サイコちゃん
恋愛
聖女エイリスは結界しか張れないため、辺境伯として国境沿いの城に住んでいた。しかし突如王子がやってきて、ある少女と勝負をしろという。その少女はエイリスとは違い、聖女の資質全てを備えていた。もし負けたら聖女の立場と爵位を剥奪すると言うが……あることが切欠で全力を発揮できるようになっていたエイリスはわざと負けることする。そして国は真の聖女を失う――
出来損ないと言われて、国を追い出されました。魔物避けの効果も失われるので、魔物が押し寄せてきますが、頑張って倒してくださいね
猿喰 森繁
恋愛
「婚約破棄だ!」
広間に高らかに響く声。
私の婚約者であり、この国の王子である。
「そうですか」
「貴様は、魔法の一つもろくに使えないと聞く。そんな出来損ないは、俺にふさわしくない」
「… … …」
「よって、婚約は破棄だ!」
私は、周りを見渡す。
私を見下し、気持ち悪そうに見ているもの、冷ややかな笑いを浮かべているもの、私を守ってくれそうな人は、いないようだ。
「王様も同じ意見ということで、よろしいでしょうか?」
私のその言葉に王は言葉を返すでもなく、ただ一つ頷いた。それを確認して、私はため息をついた。たしかに私は魔法を使えない。魔力というものを持っていないからだ。
なにやら勘違いしているようだが、聖女は魔法なんて使えませんよ。
聖女の妹、『灰色女』の私
ルーシャオ
恋愛
オールヴァン公爵家令嬢かつ聖女アリシアを妹に持つ『私』は、魔力を持たない『灰色女(グレイッシュ)』として蔑まれていた。醜聞を避けるため仕方なく出席した妹の就任式から早々に帰宅しようとしたところ、道に座り込む老婆を見つける。その老婆は同じ『灰色女』であり、『私』の運命を変える呪文をつぶやいた。
『私』は次第にマナの流れが見えるようになり、知らなかったことをどんどんと知っていく。そして、聖女へ、オールヴァン公爵家へ、この国へ、差別する人々へ——復讐を決意した。
一方で、なぜか縁談の来なかった『私』と結婚したいという王城騎士団副団長アイメルが現れる。拒否できない結婚だと思っていたが、妙にアイメルは親身になってくれる。一体なぜ?
【完結】王都に咲く黒薔薇、断罪は静かに舞う
なみゆき
ファンタジー
名門薬草家の伯爵令嬢エリスは、姉の陰謀により冤罪で断罪され、地獄の収容所へ送られる。 火灼の刑に耐えながらも薬草の知識で生き延び、誇りを失わず再誕を果たす。
3年後、整形と記録抹消を経て“外交商人ロゼ”として王都に舞い戻り、裏では「黒薔薇商会」を設立。
かつて自分を陥れた者たち
――元婚約者、姉、王族、貴族――に、静かに、美しく、冷酷な裁きを下していく。
これは、冤罪や迫害により追い詰められた弱者を守り、誇り高く王都を裂く断罪の物語。
【本編は完結していますが、番外編を投稿していきます(>ω<)】
*お読みくださりありがとうございます。
ブクマや評価くださった方、大変励みになります。ありがとうございますm(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる