11 / 23
結果オーライでいいじゃない
しおりを挟む
フロラリアが、エモンド侯爵令息に惹かれた。
そのことで、私の相手は自然とローイン公爵令息になる。
そもそもこの婚約話は、フロラリアに相手を見つけるためのものだ。
ヴェルザンディ公爵家の娘、しかも聖女でありながら、今までフロラリアには婚約話が出て来なかった。
それがジュリアーノ殿下が牽制していたから?
考えてもいなかった情報に、私もフロラリアも目を見開く。
ローイン様の言葉に、エモンド様も頷く。
「『フロラリア嬢に近付くな。話しかけるな。近づこうとしたら家にそれなりの罰を与える。これは王家の意思だ』そう言っていました」
「「はぁ?」」
いやいやいや。
思わずはしたない声が出てしまったわ。
王家の意思?
馬鹿じゃないの?ジュリアーノ殿下の単なる私情でしょ?
「陛下を信じてしなかったわけではありません。第一王子殿下も素晴らしい方ですし、ただの脅しだとは思いましたが、第二王子殿下の婚約者にユースティティア嬢がなったのは、ユースティティア嬢が望んだからだと。いずれ本来あるべき姿に戻るのだから手出し無用と」
「信じらんない!あの馬鹿王子!」
「フロラリア!言葉遣い」
「だって!お姉様。私がアレと婚約したくないと断ったのに!そのせいでお姉様がアレと婚約することになったのに!お姉様だってイヤイヤだったのにぃ!」
地団駄を踏みそうなほど、フロラリアが悔しそうな顔をするのを見て、エモンド様が飲み物を手渡している。
あら、気がきくわ。
フロラリアは怒ってくれてるけど、私は本当にそういうところの情緒障害というか、なんというか。
女神だからなのかもしれないけど、あまり腹が立ったりとかないのよね。
執着心もないし。
まぁ、この生がそういうことを勉強するためのものらしいなっていうのは理解ってきたけど、中々簡単には、ね。
「ジュリアーノ殿下は、フロラリアを自分に相応しいと思ってらしたものね」
「アレが私に相応しくないわ!というか、アレに相応しいまともな令嬢なんていないわよ!」
「ちょっと不敬が過ぎるわよ。でも、これでフロラリアに縁談が来なかった理由が分かったわ。ジュリアーノ殿下のしたことはよくないことだけど、そのおかげでエモンド様とお知り合いになれたんだから、結果としては良かったじゃない」
あまりに酷い物言いに、フロラリアを注意する。
離れてるけど、国王陛下と王妃様もいるのよ。
どんな愚行をしたとしても、王妃様からしたらお腹を痛めて産んだ子供。
お二人の気持ちに塩を塗り込むような真似は駄目よ。
そのことで、私の相手は自然とローイン公爵令息になる。
そもそもこの婚約話は、フロラリアに相手を見つけるためのものだ。
ヴェルザンディ公爵家の娘、しかも聖女でありながら、今までフロラリアには婚約話が出て来なかった。
それがジュリアーノ殿下が牽制していたから?
考えてもいなかった情報に、私もフロラリアも目を見開く。
ローイン様の言葉に、エモンド様も頷く。
「『フロラリア嬢に近付くな。話しかけるな。近づこうとしたら家にそれなりの罰を与える。これは王家の意思だ』そう言っていました」
「「はぁ?」」
いやいやいや。
思わずはしたない声が出てしまったわ。
王家の意思?
馬鹿じゃないの?ジュリアーノ殿下の単なる私情でしょ?
「陛下を信じてしなかったわけではありません。第一王子殿下も素晴らしい方ですし、ただの脅しだとは思いましたが、第二王子殿下の婚約者にユースティティア嬢がなったのは、ユースティティア嬢が望んだからだと。いずれ本来あるべき姿に戻るのだから手出し無用と」
「信じらんない!あの馬鹿王子!」
「フロラリア!言葉遣い」
「だって!お姉様。私がアレと婚約したくないと断ったのに!そのせいでお姉様がアレと婚約することになったのに!お姉様だってイヤイヤだったのにぃ!」
地団駄を踏みそうなほど、フロラリアが悔しそうな顔をするのを見て、エモンド様が飲み物を手渡している。
あら、気がきくわ。
フロラリアは怒ってくれてるけど、私は本当にそういうところの情緒障害というか、なんというか。
女神だからなのかもしれないけど、あまり腹が立ったりとかないのよね。
執着心もないし。
まぁ、この生がそういうことを勉強するためのものらしいなっていうのは理解ってきたけど、中々簡単には、ね。
「ジュリアーノ殿下は、フロラリアを自分に相応しいと思ってらしたものね」
「アレが私に相応しくないわ!というか、アレに相応しいまともな令嬢なんていないわよ!」
「ちょっと不敬が過ぎるわよ。でも、これでフロラリアに縁談が来なかった理由が分かったわ。ジュリアーノ殿下のしたことはよくないことだけど、そのおかげでエモンド様とお知り合いになれたんだから、結果としては良かったじゃない」
あまりに酷い物言いに、フロラリアを注意する。
離れてるけど、国王陛下と王妃様もいるのよ。
どんな愚行をしたとしても、王妃様からしたらお腹を痛めて産んだ子供。
お二人の気持ちに塩を塗り込むような真似は駄目よ。
227
あなたにおすすめの小説
聖女の妹、『灰色女』の私
ルーシャオ
恋愛
オールヴァン公爵家令嬢かつ聖女アリシアを妹に持つ『私』は、魔力を持たない『灰色女(グレイッシュ)』として蔑まれていた。醜聞を避けるため仕方なく出席した妹の就任式から早々に帰宅しようとしたところ、道に座り込む老婆を見つける。その老婆は同じ『灰色女』であり、『私』の運命を変える呪文をつぶやいた。
『私』は次第にマナの流れが見えるようになり、知らなかったことをどんどんと知っていく。そして、聖女へ、オールヴァン公爵家へ、この国へ、差別する人々へ——復讐を決意した。
一方で、なぜか縁談の来なかった『私』と結婚したいという王城騎士団副団長アイメルが現れる。拒否できない結婚だと思っていたが、妙にアイメルは親身になってくれる。一体なぜ?
【 完 結 】言祝ぎの聖女
しずもり
ファンタジー
聖女ミーシェは断罪された。
『言祝ぎの聖女』の座を聖女ラヴィーナから不当に奪ったとして、聖女の資格を剥奪され国外追放の罰を受けたのだ。
だが、隣国との国境へ向かう馬車は、同乗していた聖騎士ウィルと共に崖から落ちた。
誤字脱字があると思います。見つけ次第、修正を入れています。
恋愛要素は完結までほぼありませんが、ハッピーエンド予定です。
妹に裏切られた聖女は娼館で競りにかけられてハーレムに迎えられる~あれ? ハーレムの主人って妹が執心してた相手じゃね?~
サイコちゃん
恋愛
妹に裏切られたアナベルは聖女として娼館で競りにかけられていた。聖女に恨みがある男達は殺気立った様子で競り続ける。そんな中、謎の美青年が驚くべき値段でアナベルを身請けした。彼はアナベルをハーレムへ迎えると言い、船に乗せて隣国へと運んだ。そこで出会ったのは妹が執心してた隣国の王子――彼がこのハーレムの主人だったのだ。外交と称して、隣国の王子を落とそうとやってきた妹は彼の寵姫となった姉を見て、気も狂わんばかりに怒り散らす……それを見詰める王子の目に軽蔑の色が浮かんでいることに気付かぬまま――
偽聖女として私を処刑したこの世界を救おうと思うはずがなくて
奏千歌
恋愛
【とある大陸の話①:月と星の大陸】
※ヒロインがアンハッピーエンドです。
痛めつけられた足がもつれて、前には進まない。
爪を剥がされた足に、力など入るはずもなく、その足取りは重い。
執行官は、苛立たしげに私の首に繋がれた縄を引いた。
だから前のめりに倒れても、後ろ手に拘束されているから、手で庇うこともできずに、処刑台の床板に顔を打ち付けるだけだ。
ドッと、群衆が笑い声を上げ、それが地鳴りのように響いていた。
広場を埋め尽くす、人。
ギラギラとした視線をこちらに向けて、惨たらしく殺される私を待ち望んでいる。
この中には、誰も、私の死を嘆く者はいない。
そして、高みの見物を決め込むかのような、貴族達。
わずかに視線を上に向けると、城のテラスから私を見下ろす王太子。
国王夫妻もいるけど、王太子の隣には、王太子妃となったあの人はいない。
今日は、二人の婚姻の日だったはず。
婚姻の禍を祓う為に、私の処刑が今日になったと聞かされた。
王太子と彼女の最も幸せな日が、私が死ぬ日であり、この大陸に破滅が決定づけられる日だ。
『ごめんなさい』
歓声をあげたはずの群衆の声が掻き消え、誰かの声が聞こえた気がした。
無機質で無感情な斧が無慈悲に振り下ろされ、私の首が落とされた時、大きく地面が揺れた。
(完)聖女様は頑張らない
青空一夏
ファンタジー
私は大聖女様だった。歴史上最強の聖女だった私はそのあまりに強すぎる力から、悪魔? 魔女?と疑われ追放された。
それも命を救ってやったカール王太子の命令により追放されたのだ。あの恩知らずめ! 侯爵令嬢の色香に負けやがって。本物の聖女より偽物美女の侯爵令嬢を選びやがった。
私は逃亡中に足をすべらせ死んだ? と思ったら聖女認定の最初の日に巻き戻っていた!!
もう全力でこの国の為になんか働くもんか!
異世界ゆるふわ設定ご都合主義ファンタジー。よくあるパターンの聖女もの。ラブコメ要素ありです。楽しく笑えるお話です。(多分😅)
辺境伯聖女は城から追い出される~もう王子もこの国もどうでもいいわ~
サイコちゃん
恋愛
聖女エイリスは結界しか張れないため、辺境伯として国境沿いの城に住んでいた。しかし突如王子がやってきて、ある少女と勝負をしろという。その少女はエイリスとは違い、聖女の資質全てを備えていた。もし負けたら聖女の立場と爵位を剥奪すると言うが……あることが切欠で全力を発揮できるようになっていたエイリスはわざと負けることする。そして国は真の聖女を失う――
【完結】王都に咲く黒薔薇、断罪は静かに舞う
なみゆき
ファンタジー
名門薬草家の伯爵令嬢エリスは、姉の陰謀により冤罪で断罪され、地獄の収容所へ送られる。 火灼の刑に耐えながらも薬草の知識で生き延び、誇りを失わず再誕を果たす。
3年後、整形と記録抹消を経て“外交商人ロゼ”として王都に舞い戻り、裏では「黒薔薇商会」を設立。
かつて自分を陥れた者たち
――元婚約者、姉、王族、貴族――に、静かに、美しく、冷酷な裁きを下していく。
これは、冤罪や迫害により追い詰められた弱者を守り、誇り高く王都を裂く断罪の物語。
【本編は完結していますが、番外編を投稿していきます(>ω<)】
*お読みくださりありがとうございます。
ブクマや評価くださった方、大変励みになります。ありがとうございますm(_ _)m
悪女と呼ばれた聖女が、聖女と呼ばれた悪女になるまで
渡里あずま
恋愛
アデライトは婚約者である王太子に無実の罪を着せられ、婚約破棄の後に断頭台へと送られた。
……だが、気づけば彼女は七歳に巻き戻っていた。そしてアデライトの傍らには、彼女以外には見えない神がいた。
「見たくなったんだ。悪を知った君が、どう生きるかを。もっとも、今後はほとんど干渉出来ないけどね」
「……十分です。神よ、感謝します。彼らを滅ぼす機会を与えてくれて」
※※※
冤罪で父と共に殺された少女が、巻き戻った先で復讐を果たす物語(大団円に非ず)
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる