拝啓、婚約者様。婚約破棄していただきありがとうございます〜破棄を破棄?ご冗談は顔だけにしてください〜

みおな

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気持ち悪いしムカつきます

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「アデライン子爵令嬢様でしょうか?」

 後ろから声をかけられて、チラリとユリウス様と視線を交わしました。

「どちら様でしょう?」

 私は、すでにアデライン子爵令嬢ではありません。

 それを知らないということは、ダリー伯爵家の人間ということですわ。

 言質を取られないようにそうだとは答えず、質問で返します。

「アデライン子爵令息様から伝言をお預かりしました。婚約者が体調を崩しているので手を貸して欲しいと」

「まぁ!それは大変ですわ。お兄様はどちらに?」

 そんな事実があるわけがありません。
お兄様の婚約者は、ラナリス様。王女殿下の体調が悪いのなら、王宮医師が看病にあたりますし、そもそもお兄様は、そんなことを他の爵家に漏らしたりしません。

「すぐに案内してくれ」

「あ、あの、ご令嬢相手なので、アデライン様のみに来て欲しいと」

「む?しかし、アデライン殿はいらっしゃるのだろう?君も彼女を案内して行くんけだし。部屋に入らなければかまわないだろう?」

「ええ、そうですわよね。さぁ、ご案内下さいませ」

 ユリウス様と私にそう言われて、ダリー伯爵子息は躊躇っていましたが、ここで断るより部屋に私だけ引き込めばいいと考えたのでしょう。

 こちらへ、と歩き始めました。

 近くにいた王宮侍女と視線を交わすと、侍女は頷いてスッとその場から立ち去りました。

 お父様やお母様、お兄様たちに連絡してくださることになっています。

 案内されたのは王宮の客室で、こういうパーティーの際に具合の悪くなった方に休憩していただくためのお部屋として使われています。

「ご令嬢はこちらへお入り下さい」

 扉に手をかけて、私を促します。
ユリウス様に視線を向けると、小さく頷かれました。

 子息は、私を押し込むようにしながら自分も部屋の中へと入ると、すぐに鍵を閉めます。

「お兄様はどちらですの?それに、何故貴方まで部屋に?そこをどいてください」

「ははっ!やっと!やっとだ!やっと貴女を手に入れられる!」

嘘ですのね?」

 ダリー子息は、私をベッドに追い込むように、じわじわと近づいて来ます。

「いや、あながち嘘でもありませんよ。貴女のお兄様が呼んだというのは嘘ですが、今頃あなたのお兄様の婚約者は、婚約者以外に可愛がってもらってる頃ですからね」

「どういうことですか」

「全部、全部、貴女を手に入れるためです。デルモンドなんかに貴女は勿体ない。だから、婚約破棄を突きつけさせたのですよ。まさか、あの馬鹿が貴女の顔も覚えてないとは思わなかった。しかも、再度婚約を結びたいなどと。だからね、婚約者だと思い込んでいる相手を襲わせることにしたんです。そうすれば、貴方のお兄様も貴女から目を逸らすことになる。その間に、僕が貴女をモノにすれば良い」

 ああ。聞いていてムカつきますわ。
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