はっきり言ってカケラも興味はございません

みおな

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第一話

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 紅茶のカップを戻すと、ふぅと息を吐きます。そろそろ時間ですわね。

 ここは、王都にある人気のカフェで、私は目の前に座る女性ににっこりと微笑みかけました。

「美味しかったわね、ミリア。そろそろ帰りましょうか」

「はい、エリザベス様」

 ミリアがスッと立ち、お会計をしてくれている間に、私はゆっくりと立ち上がります。

 私、エリザベス・カリスタは、カリスタ伯爵家の一人娘です。

 カリスタ伯爵家は爵位こそ伯爵ですが、やり手と言われるお父様のおかげで、たくさんの商会を手がけ、クレメンタイン王国イチの資産家でございます。

 そんなカリスタ伯爵家に援助を求めて来られたのが、ブレンディ侯爵家。

 ブレンディ侯爵家は、長男のイーサン様と私の婚約を打診して来られました。

 一人娘である私に、本来なら侯爵家を継ぐイーサン様を差し出すことで、援助を強固にしようと考えられたみたいです。

 うちのお父様は、いくつかの条件を出された上で、私の同意のもとで婚約を受け入れました。

 というわけで、私とイーサン様は十三歳の年に婚約したのです。

「ミリア、お顔に皺を寄せては駄目よ」

 カリスタ伯爵家の馬車に乗り、ミリアと向かい合って座ると、ツンとミリアの眉間を指で突きます。

 ミリアは私付きの専属侍女で、私と同い年です。

 護衛を兼ねられる腕前もあり、侍女としても優秀なのですが、表情筋があまりお仕事をしない子なのです。

 ですが、そのミリアが婚約者との交流日だけは、ムッとした表情をするのです。

 本来なら侯爵となられるはずだったイーサン様ですが、私との婚約が成ったことで騎士を目指し始めました。

 イーサン様がどうお考えになったのかは分かりませんが、カリスタ伯爵家は私が継ぐのでご自分の目指す夢を見つけることが、お父様の出した条件のひとつでもありましたの。

 結論として、イーサン様は騎士としての資質があったようです。

 現在は、王家に仕える近衛騎士となられています。

 ミリアの不機嫌は私のことを思ってのことですし、気持ちは理解できますから叱ったりはしませんわ。

「申し訳ございません」

「ふふっ。怒ってはいませんわ。ですけど、私は全く気にしていませんからミリアも気にしなくて良いのよ」

 まぁそう言っても、この事態に怒っているのはミリアだけではないのですけど。

 カリスタ伯爵家に仕える使用人たちは、庭師に至るまで全員がイーサン様を嫌っております。

 実はイーサン様が、私との婚約者としての交流をからなんです。

 私は本当に、全く気にしていないのですけどね。
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