15 / 126
第十四話
しおりを挟む
ブレンディ侯爵家。
人がいいと言えば聞こえはいいけれど、どうにも自分にも家族にも他人にも『甘い』侯爵ご夫妻。
当然の結果、ご夫妻は信用していた領地の家令にお金を使い込まれて、領地経営が立ち行かなくなってしまいました。
そこでブレンディ侯爵夫妻は、クレメンタイン王国筆頭の資産家であるカリスタ伯爵家に融資をお願いすることにしました。
カリスタ伯爵家には、ちょうど息子と同い年の一人娘がいるから、息子と婚約すれば融資を快諾してくれるだろう、もしかしたら返却もしなくても済むかもしれない。
そんな『甘い』考えで、嫡男であるイーサン様を私の婚約者にしたのです。
はっきり言って、あり得ません。
カリスタ伯爵家は貴族ではありますが、多くの商会を手掛けております。
商人の基本は、信用と対価。
対価なくして物を売ることはありません。
当然のことながら、ブレンディ侯爵家への融資にも契約書というものが存在します。
契約書通り、融資したお金は期限までに全額返金していただきますわ。
踏み倒すなんて、絶対にさせません。
こちらはしたくもない婚約をして、時間をかけて解消するための労力を使っているのです。
イーサン様の有責で破棄して、慰謝料もいただきたいくらいですわ。
まぁそこは我慢しますけど。
破棄になると、今以上証拠集めが大変になりますもの。
しかも相手が、国王陛下のご息女。
すんなり、アチラの有責を認めてくださるとは思えません。
これ以上、余計な時間はかけたくありません。
融資金の返済期日に合わせて、必ず解消いたしますわ。
ですが、お父様たちのお話や王子殿下たちのご様子を見ていると・・・
無事に解消できるのでしょうか?
婚約の解消には、最終的に書類に陛下の玉璽が必要なんですけど。
心配になって来ましたわ。
後で確認しておきましょう。
「第二王子殿下、国王陛下と王妃殿下は、王女殿下とイーサン様のことをどうお考えなのでしょうか?」
「すまない、愚妹ばかりか両親がちゃんと叱責しないばかりにカリスタ嬢には迷惑をかけている」
いえ。謝っていただく必要はありません。
婚約者を放置しているのは、こちらなのですから。
「謝罪は不要ですわ。私は単に、陛下たちがこの先どうするおつもりなのかが知りたいだけなのです」
「・・・ドロシーの婚約者は、クシュリナ王国の王太子殿下だ。ドロシーが陛下の生誕祭に訪問してくださっていた殿下に一目惚れして、父が頼み込んで成立した婚約なんだ。このままではこちらの有責で破棄されるのではないかと兄上もおっしゃっていた。父にも何度か苦言を呈したんだが・・・」
あら、まぁ。
学園の成績がCクラスでは、王太子妃にはなれませんわよ。
人がいいと言えば聞こえはいいけれど、どうにも自分にも家族にも他人にも『甘い』侯爵ご夫妻。
当然の結果、ご夫妻は信用していた領地の家令にお金を使い込まれて、領地経営が立ち行かなくなってしまいました。
そこでブレンディ侯爵夫妻は、クレメンタイン王国筆頭の資産家であるカリスタ伯爵家に融資をお願いすることにしました。
カリスタ伯爵家には、ちょうど息子と同い年の一人娘がいるから、息子と婚約すれば融資を快諾してくれるだろう、もしかしたら返却もしなくても済むかもしれない。
そんな『甘い』考えで、嫡男であるイーサン様を私の婚約者にしたのです。
はっきり言って、あり得ません。
カリスタ伯爵家は貴族ではありますが、多くの商会を手掛けております。
商人の基本は、信用と対価。
対価なくして物を売ることはありません。
当然のことながら、ブレンディ侯爵家への融資にも契約書というものが存在します。
契約書通り、融資したお金は期限までに全額返金していただきますわ。
踏み倒すなんて、絶対にさせません。
こちらはしたくもない婚約をして、時間をかけて解消するための労力を使っているのです。
イーサン様の有責で破棄して、慰謝料もいただきたいくらいですわ。
まぁそこは我慢しますけど。
破棄になると、今以上証拠集めが大変になりますもの。
しかも相手が、国王陛下のご息女。
すんなり、アチラの有責を認めてくださるとは思えません。
これ以上、余計な時間はかけたくありません。
融資金の返済期日に合わせて、必ず解消いたしますわ。
ですが、お父様たちのお話や王子殿下たちのご様子を見ていると・・・
無事に解消できるのでしょうか?
婚約の解消には、最終的に書類に陛下の玉璽が必要なんですけど。
心配になって来ましたわ。
後で確認しておきましょう。
「第二王子殿下、国王陛下と王妃殿下は、王女殿下とイーサン様のことをどうお考えなのでしょうか?」
「すまない、愚妹ばかりか両親がちゃんと叱責しないばかりにカリスタ嬢には迷惑をかけている」
いえ。謝っていただく必要はありません。
婚約者を放置しているのは、こちらなのですから。
「謝罪は不要ですわ。私は単に、陛下たちがこの先どうするおつもりなのかが知りたいだけなのです」
「・・・ドロシーの婚約者は、クシュリナ王国の王太子殿下だ。ドロシーが陛下の生誕祭に訪問してくださっていた殿下に一目惚れして、父が頼み込んで成立した婚約なんだ。このままではこちらの有責で破棄されるのではないかと兄上もおっしゃっていた。父にも何度か苦言を呈したんだが・・・」
あら、まぁ。
学園の成績がCクラスでは、王太子妃にはなれませんわよ。
4,140
あなたにおすすめの小説
さようなら、わたくしの騎士様
夜桜
恋愛
騎士様からの突然の『さようなら』(婚約破棄)に辺境伯令嬢クリスは微笑んだ。
その時を待っていたのだ。
クリスは知っていた。
騎士ローウェルは裏切ると。
だから逆に『さようなら』を言い渡した。倍返しで。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ】伯爵令嬢の責務
ごろごろみかん。
恋愛
見てしまった。聞いてしまった。
婚約者が、王女に愛を囁くところを。
だけど、彼は私との婚約を解消するつもりは無いみたい。
貴族の責務だから政略結婚に甘んじるのですって。
それなら、私は私で貴族令嬢としての責務を果たすまで。
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】記憶を失ったらあなたへの恋心も消えました。
ごろごろみかん。
恋愛
婚約者には、何よりも大切にしている義妹がいる、らしい。
ある日、私は階段から転がり落ち、目が覚めた時には全てを忘れていた。
対面した婚約者は、
「お前がどうしても、というからこの婚約を結んだ。そんなことも覚えていないのか」
……とても偉そう。日記を見るに、以前の私は彼を慕っていたらしいけれど。
「階段から転げ落ちた衝撃であなたへの恋心もなくなったみたいです。ですから婚約は解消していただいて構いません。今まで無理を言って申し訳ありませんでした」
今の私はあなたを愛していません。
気弱令嬢(だった)シャーロットの逆襲が始まる。
☆タイトルコロコロ変えてすみません、これで決定、のはず。
☆商業化が決定したため取り下げ予定です(完結まで更新します)
【完結】恋は、終わったのです
楽歩
恋愛
幼い頃に決められた婚約者、セオドアと共に歩む未来。それは決定事項だった。しかし、いつしか冷たい現実が訪れ、彼の隣には別の令嬢の笑顔が輝くようになる。
今のような関係になったのは、いつからだったのだろう。
『分からないだろうな、お前のようなでかくて、エマのように可愛げのない女には』
身長を追い越してしまった時からだろうか。
それとも、特進クラスに私だけが入った時だろうか。
あるいは――あの子に出会った時からだろうか。
――それでも、リディアは平然を装い続ける。胸に秘めた思いを隠しながら。
【完結】「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と言っていた婚約者と婚約破棄したいだけだったのに、なぜか聖女になってしまいました
As-me.com
恋愛
完結しました。
番外編(編集済み)と、外伝(新作)アップしました。
とある日、偶然にも婚約者が「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」とお友達に楽しそうに宣言するのを聞いてしまいました。
例え2番目でもちゃんと愛しているから結婚にはなんの問題も無いとおっしゃっていますが……そんな婚約者様がとんでもない問題児だと発覚します。
なんてことでしょう。愛も無い、信頼も無い、領地にメリットも無い。そんな無い無い尽くしの婚約者様と結婚しても幸せになれる気がしません。
ねぇ、婚約者様。私はあなたと結婚なんてしたくありませんわ。絶対婚約破棄しますから!
あなたはあなたで、1番好きな人と結婚してくださいな。
※この作品は『「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と婚約者が言っていたので、1番好きな女性と結婚させてあげることにしました。 』を書き直しています。内容はほぼ一緒ですが、細かい設定や登場人物の性格などを書き直す予定です。
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……
2番目の1番【完】
綾崎オトイ
恋愛
結婚して3年目。
騎士である彼は王女様の護衛騎士で、王女様のことを何よりも誰よりも大事にしていて支えていてお護りしている。
それこそが彼の誇りで彼の幸せで、だから、私は彼の1番にはなれない。
王女様には私は勝てない。
結婚3年目の夫に祝われない誕生日に起こった事件で限界がきてしまった彼女と、彼女の存在と献身が当たり前になってしまっていたバカ真面目で忠誠心の厚い騎士の不器用な想いの話。
※ざまぁ要素は皆無です。旦那様最低、と思われる方いるかもですがそのまま結ばれますので苦手な方はお戻りいただけると嬉しいです
自己満全開の作品で個人の趣味を詰め込んで殴り書きしているため、地雷多めです。苦手な方はそっとお戻りください。
批判・中傷等、作者の執筆意欲削られそうなものは遠慮なく削除させていただきます…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる