婚約者から婚約破棄されたら、王弟殿下に捕まった件

みおな

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元婚約者に絡まれた件

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 私と王弟殿下・・・キッド様との婚約が結ばれて半月後。

 王宮で、元婚約者である王太子殿下と遭遇した。

 ちなみに私が王宮に訪れていたのは、王妃様に呼び出されたからである。

 私は王太子殿下と会いたくなかったので、基本的にキッド様に会いに来ていただいていた。

「ルチル!」

 王妃様のお部屋に向かっている途中、背後からかけられた声に、思わず舌打ちしそうになった。

 しないけどね。公爵令嬢が王宮で舌打ちとか、しないけどね。

 一瞬、聞こえなかったふりをしようかと思ったけど、足を止めてしまったので不可能と判断。

 仕方ない。

 振り返り、カーテシーをした。

「ルチル」

「・・・」

 私はカーテシーを崩さず顔を上げない。

 私はもう、王太子殿下の婚約者じゃない。

 だから、今までのような対応はとれない。

「・・・顔を上げてくれ、ルチル」

「王太子殿下に申し上げます」

「なんだ?」

「私たちの婚約は、すでに白紙撤回されております。ですので、私のことはどうかクォーツ公爵令嬢とお呼びください」

 一々こんなことを、言わなきゃ分からない人だったかな?

 というか常識で考えても、名前呼びはダメでしょ。

「ぼ、僕たちは五年も婚約者として・・・」

「はい。ですが、今は王太子殿下には真に愛する方がいらっしゃいますし、私もすでに別の方と婚約しております。お互いの相手のことも考慮すると、名前で呼ぶのは正しくないと思われます」

「そ、それだ!」

 ん?どれ?

「叔父上と婚約したと聞いた!ルチル、君は僕のことを好きでいてくれたんじゃなかったのか!王家に縁付きたいだけなのか!」

「・・・」

 うーん、殴ってもいいかしら?

 なんで私が、責められてるわけ?

 婚約破棄を宣言してきたのはあっちなのに。

 こっちは円満?に、お父様の力を借りて白紙撤回にして、しかも慰謝料も請求しなかったのに。

 大体、キッド様との婚約だって、アチラからのゴリ押しだし。

 私が願ったわけじゃないし!

 それにもし私が願ったとしても、王太子殿下には関係ないことだし!

 どうしよう。イライラ指数が振り切れそうだわ。

「人の婚約者の名前を呼ぶな。それに、ルチルに求婚したのは俺の方だ」

「叔父上!」

「王弟殿下」

「ルチル、キッドだろ?」

「ふふっ。王太子殿下のいる公の場で、お名前では呼べませんわ。それより私、王妃殿下に呼ばれておりますの。あとは婚約者様にお任せしてもよろしいでしょうか?」

 王太子殿下との婚約中だって、他の貴族の方がいる時は王太子殿下と呼んでいたわ。

 それがマナーだもの。

 でもいいところに来てくださったわ、キッド様。

 この面倒な甥っ子の相手、してくださいね。
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