婚約者から婚約破棄されたら、王弟殿下に捕まった件

みおな

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甘やかしてご機嫌を直す件

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 キッド様は大人だと思っていた。

 実際、私よりも年上で御歳二十六歳。

 なりたくはなかったというか、尊敬するお兄様のお子であるランスロット殿下に陛下の後を継いで欲しかったみたいだけど、なると決めたら決めたで、ちゃんと王太子として頑張っていらっしゃる。

 でも、自分が私を守れなかったからって、拗ねてる様子のキッド様を見ていると・・・

 何だか胸の奥がポカポカしてくるわ。

 愛されているのだと、全身で感じるわ。

 私は、クォーツ公爵家の娘として、お母様にも妹のローズにも、使用人にも愛されてきたと自負している。

 お父様に関しては、まぁ・・・嫌われてはいないわ。

 愛するお母様の娘だから。

 国王陛下や王妃殿下にも可愛がっていただいたし、それに婚約者の時は、ランスロット殿下にも大切にされていたと思う。

 お互いに、真実の愛ではなかったけど。

 でもキッド様の執着に似た愛情は、他の誰とも違う。

 お父様の、お母様に対する愛情に近い気がするわ。

 お母様がなんだかんだいっても、お父様のことを愛している気持ちが理解できる気がする。

 私、この方のお嫁さんになるのね。

「キッド様、ご機嫌を直してください」

「・・・別に怒ってない」

「でも、ご機嫌ななめですよね?キッド様が私を想ってくださっていることは理解っていますから。でも、キッド様には、誰が見ても公平な王太子殿下でいて欲しいんです。私を優先してくれるキッド様は、私と二人きりの時だけでいいんです。そうでなくても、うちのお父様が暴走しがちなので・・・」

 お父様のストッパーはお母様がいらっしゃるからいいけど、私はまだキッド様のストッパーになれる気がしないわ。

「キッド様」

「うん?」

「キッド様が大好きです。私のことを大切に思ってくださり、ありがとうございます。でも、キッド様が私を思ってくださるように、私もキッド様のことを思っているんです。誰にも、カケラも、キッド様のことを悪く言われたくないんです」

 嫌々だけど、お兄様である国王陛下のために王太子になったキッド様。

 たとえ、くだらない戯言でも、キッド様が悪く言われるのなんて嫌。

 それが私のためだったりしたら、私は自己嫌悪でキッド様の隣に立つことができなくなるかもしれない。

 胸を張って、隣にいたいの。

「・・・分かってる。ごめん、ルチルよりも年上なのに、子供みたいな真似をして。俺もルチルのことが大好きだよ」

 キッド様の手が伸びて、私の頬に触れる。

 ええ。キッド様のお気持ちを疑ったことなんてないわ。

 私はそっと、キッド様の唇を受け入れた。
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