婚約者から婚約破棄されたら、王弟殿下に捕まった件

みおな

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番外編:幸せな肖像な件

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「少し落ち着いて?ランスロット様」

 そう熊のように、右に左にとウロウロ歩かれても困るわ。

「だ、だけど・・・」

「貴方がここでオロオロしても、何の役にも立たないわ。チェリー様が頑張っているのよ。貴方もちょっと落ち着いて座っていて」

 キッド様は、執務室でずっと座ってらしたと聞いたわ。

 気を紛らわせるためにお仕事をしたらしたそうだけど、一日半ずっと眠らずに待っていてくださったと。

 一時間前、チェリー様は陣痛が来て部屋に入られた。

 私の時はここからが長かったわ。

 これだけは、どれだけ時間がかかるか予想がつかないから、心配な気持ちも分かるけど。

 目の前で、右に左にとウロウロされたら目障りで仕方ないわ。

「貴方は父親になるのよ?少しは落ち着いて」

「・・・分かってはいるんだが、心配で。ルチル嬢は強いな」

「私は経験済みだもの。大丈夫よ、チェリー様は強いわ」

「あ、ああ」

 もちろん何事にも絶対はないけれど、チェリー様は今、一生懸命頑張っているんだもの。私たちは信じて待つしか出来ないわ。

 椅子に座ったものの、ランスロット様はソワソワと今にも立ち上がって歩き出しそう。

 仕方ないわね。

 そうして待つこと三時間。

 思っていたよりも早く、その声は聞こえた。

「お生まれになりました!可愛らしい姫君です」

「!」

「ランスロット様、おめでとうございます」

「あ、ああ・・・チェリー・・・」

「待って。身綺麗にしたら呼んでくれるから。誰か、陛下たちとキッド様にもお知らせして」

「はいっ!」

 ふらふらと、扉に近付くランスロット様を止めて、近くに控えていた侍従を伝令に飛ばす。

 陛下たちもきっと、心待ちにされてるはず。

 私の子供、ルイが産まれて十ヶ月。

 私の出産からすぐに、チェリー様の妊娠が分かった。

 キッド様の子供が出来れば、ランスロット様は王籍から抜けて公爵になる予定だったけど、チェリー様の妊娠が分かったことで、まだ王子のままだ。

 慣れない公爵家での生活より、王宮の方が初めての妊娠のチェリー様には良いと判断されたのよ。

 それに、陛下と王妃殿下にとっては、初孫。

 王宮に居れば、すぐに会わせてあげられるもの。

 あ。お二人ともルイのことはとても可愛がってくれるわ。

 それこそ、初孫を可愛がるおじいちゃんおばあちゃんのように。

 まぁ、本当のおじいちゃんであるお父様は、初孫にも興味がないみたいだからありがたいけれど。

 たった一人の愛息子の子供だもの。

 できるだけ会わせてあげたいわ。産後の肥立ちのこともあるし、しばらくは王宮暮らしを続けてもらわなきゃ。
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