婚約者から婚約破棄されたら、王弟殿下に捕まった件

みおな

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婚約者に婚約破棄を告げられた件

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「ルチル・クォーツ公爵令嬢。君との婚約を破棄させてもらう」

 そう発言したのは、私の婚約者でありこのオブシディアン王国の王太子殿下のランスロット様だ。

 今日は定例の婚約者同士のお茶会の日であり、私はいつも通りお茶会の会場、先週は我が家だったので今週は王宮、へと赴いた。

 そしていつも通り王宮の馬車降り場で待っていて下さったランスロット様の手を借りて馬車を降り、いつも通りお茶会の会場である王族の居住区にある王妃様自慢の中庭のガゼボに赴き、いつも通りたわいもない会話をしながらお茶をいただいていた。

 そして、いつも通りお別れするはずだったのだけど・・・

 いつもと違うことが起きた。

 別れの挨拶をする間際になって、思い詰めた表情のランスロット様が、言葉にしたのが婚約破棄だった。

「ランスロット・・・王太子殿下?」

 突然の思いもしない発言に、私もいつも通りにランスロット様と呼べず、王太子殿下と言葉を繋いだ。

「すまない、ルチル。僕は、真実の愛を見つけてしまったんだ」

「・・・」

 真実の愛。

 最近、平民の間で流行っている娯楽小説の中で出てくる言葉だ。

 身分のある男性が平民の少女と出会い恋に落ちて、多くの困難を乗り越えて結ばれる、という物語。

 そして、身分のある者には婚約者がいて、その婚約者は悪役令嬢と呼ばれるらしい。

 私は目の前のランスロット様に気付かれないように、扇子で隠して小さくため息を吐いた。

 ランスロット・オブシディアン王太子殿下。

 御歳十六歳。

 オブシディアン王家の黒髪と、王妃様と同じ青い瞳をした優男な容姿。

 十一歳の時から五年間、婚約者として交流してきたわけだけれど・・・

 まさか、こんな馬鹿だとは思わなかった。

 婚約破棄や解消された令嬢の行き先が、修道院か歳の離れた相手の後妻くらいしかないことすら知らないのだろうか。

 ランスロット様有責の白紙撤回ならば、まだ機会はあるかもしれないが、白紙撤回には両家の当主の許可がいる。

 というか、破棄した時点でクォーツ公爵家と王家の関係性にヒビが入るとは考えなかったのだろうか。

 父親であるクォーツ公爵は、別段私のことを溺愛しているわけではないけど、ごくごく普通の親子関係だ。

 普通、娘が理不尽な理由で婚約破棄を告げられたら、親は怒ると思う。

 そして、これは王太子殿下の治世を考えての、政略的な婚約。

 国王陛下も怒ると思う。

 真実の愛に目が眩んでいるランスロット様には見えてないみたいだけど?

 私はもう一度ため息を吐いてから、口を開いた。
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